イラストレーターやデザイナーが制作を請け負う中で、切っても切り離せないのが「制作費」の問題。
たくさん貰える割の良い案件ばかりならいいのですが、そうではない案件も少なくありません。
少し寂しい金額の場合「もう少し上げてくれたら…」と考えることもあるのではないでしょうか。
でもいざ制作費の交渉をするといっても
- どうやって切り出せばいいの?
- 相手に嫌がられるのでは?
- そもそも交渉ってどうしたらいいの?
と考えて、ついつい切り出せないんですよね。
でも、ご安心ください!制作費の交渉は怖くありません。
むしろ上手に交渉することで、金額を上げてもらいつつ相手に信頼してもらうことも可能です。
ここでは上げてもらいやすい交渉の仕方と落とし所、また相手からどう思われるかについて解説します。
前提:自分の中でベースとなる金額を設定する
イラストの仕事は内容や状況に変わり、金額に大きなばらつきがあります。
まずは自分の中でベースとなる金額感を決め、それにあわせて制作費を判断しましょう。
そうすると価格交渉の際に具体的な金額を提案しやすいのと、普段も案件の選択や判断が出来るようになります。
ベースがあるとこちらもクライアントも落とし所が決めやすいです。
また金額は自分のホームページやポートフォリオに記載しておくと事前にクライアントが確認して、制作をお願いするかどうかの判断材料にすることも出来るので無駄な相談が減るといったメリットもありますよ!
制作費のベースを決めるときに参考になる記事>>
絶対に損しない!クリエイターの金額交渉術と見積もりの計算方法
制作費はどのくらいアップしたらいいの?
自分の中で基準を決められたら、まずはその金額をベースに提案をしてみると良いでしょう。
しかしいきなり提案された額の倍以上の金額を提示するのは失敗の元になります。
元の金額にもよりますが、成功しやすいのはクライアントから提案された制作費の1~2割くらいになります。
その範囲ならクライアントも検討余地に入れやすいので、快くアップしてくれることがあります。
別の方法として具体的な金額をこちらから提案せずにもう少しあげてくれませんか?ということで、クライアントが無理のない範囲で少し上げてくれることもあります。
その場合は自分の思うような金額にならないこともありますので自分の中で納得する金額がある場合は、最初にこちらから金額を提案したほうがベターです。
自分の事情とあわせて、進めやすいやり方で金額アップを提案してみましょう。
条件を提示しよう
金額を交渉するにはそれにあわせた交渉材料があると説得力が増し、成功しやすくなります。
ベーシックな交渉では、自分の定めた制作費を提示しながら
「こういった案件は普段○○○円でお引き受けしているのですが、この金額にして頂く事は可能ですか?」
と相談をするのが一番スムーズです。
また、制作期間が短い案件の場合や、仕様が複雑な案件の場合はそれも交渉材料にすることが出来ます。
こちらから
「この○○の場合は、この金額でお引き受けをしています」
といって交渉をしてみましょう。
わかりやすいコストを提示することで、クライアントも納得しやすいです。
ときには駆け引きも必要に
基本的にクライアントは制作費を安く出来るのなら安く収めたいと思っていますので出来れば上げてほしいクリエイターとは意見が真っ向にぶつかってしまうものです。
金額交渉をする中で、決裂し案件の相談そのものが無くなる可能性も少なからずあります。
もしあなたがその案件をどうしても引き受けたい場合は無理に金額交渉をして「それじゃあいいです」と切られてしまう可能性は避けたいものですよね。
金額交渉で切られてしまうのを避けたい場合は交渉の前に
「可能ならば」
と一言置くだけで、すぐに切られてしまう可能性はぐっと減ります。
クライアントも金額交渉が出来ない場合に断りやすくなるので、案件の話を続けやすくなります。
また、大きな金額を提示して少しずつ下げていく、といった方法はクライアントもやり取りが増えて疲弊してしまうので、交渉としてはおすすめできません。
逆に案件を断りたい場合に大きな金額を提示することも出来ますが今後仕事の相談がそのクライアントから来にくくなる事もあります。
関係を切りたいクライアント相手の場合は有効な手段になりますが今後も関係を続けたいクライアント相手の場合は、きちんと自分の事情を話して断ったほうがよいでしょう。
金額が上がらなくてもへこたれない
あなたが制作費を上げてほしい一方で、クライアントにも予算の都合など様々な事情があります。
どうしても元々の予算が低く、上げたいけど上げられないという事もあるのです。
そういった場合、こちらも無理に交渉はせずうまく双方が納得する金額を落とし所にするのが良いでしょう。
基本的に金額交渉は「出来れば儲けもの」くらいの意識でいると、こちらも疲れることがありません。
制作途中でやっぱり交渉をしたくなった場合はどうするの?
制作を進めていく中で、思ってたよりも作業量がかさんでしまい、このままだとこの金額では割に合わない…という状況になることもあるでしょう。
そんな場合も、臆せずクライアントに相談してみましょう。
こちらも当初の予定よりもどれにどれくらいの作業がかかっているので、などと分かりやすくコストや条件、金額を提示するとクライアントも判断しやすく、提案を飲んでくれやすくなります。
継続案件の場合の制作費交渉はしてもいいの?
継続して制作を続けている案件の場合、今更金額の交渉をしても大丈夫か気になりますよね。
制作費を交渉した事によって、今後制作自体がなくなってしまうのでは…と心配になるのではないでしょうか。
実は継続して制作をしている案件の方が、制作費の交渉はしやすいです。
ずっと継続して制作を続けている場合、発注元からも信頼されていますので、発注元も今後の付き合いや新たな制作担当を探すコストやリスクを取るくらいならと交渉に応じてくれやすい傾向にあります。
こちらも急にぐっと上がるような金額の提示はせず、あくまで少しというスタンスを取ると制作費アップが成功しやすいです。
また、発注元もどうしてもその金額でないといけない事情がある場合も考えられますので、もし可能なら…という切り込み方でお願いすると良いかもしれません。
金額交渉をすると相手にはどう思われてる?
お金の話はなんとなく苦手に感じている人も多いので、クライアントも嫌がるのではと思うかもしれませんがイラストを発注する側にとって、実は制作費の交渉は日常茶飯事です。
特別大きな金額を提示してこない限りは驚くようなことは殆どありません。
またクライアント自体も、日頃から制作費の交渉を行いお金を管理する立場にあるのでビジネスの一環として捉えている事がほとんどです。
むしろクライアントにとって制作費の交渉をするイラストレーターさんは「案件を受けることに慣れている人」という印象になります。
制作に慣れている事で安心感を持ってもらえるので、実はあまり悪い印象は抱きません。
なので安心して交渉を切り出してみると良いでしょう。
しかし中には制作費の交渉を嫌うタイプのクライアントもいます。
そういうクライアントはどちらかというと、良い関係を築きにくい傾向にありますので、それよりも快く交渉に応じてくれるクライアントと優先的に関係を築いていくと良いでしょう。
あなたのイラストを必要としているクライアント程交渉に応じてくれますので、そういった良いクライアントを見つけて大事にするのが今後もイラストレーターを続けていく上で大切だったりします。
無事に交渉ができたら
無事希望の制作費で交渉が成立した場合、一番大事にしないといけないのは「制作を予定通りきちんと行う事」です。
せっかく金額を上げたのに、肝心のイラストが納品されない場合クライアントの印象は一気に悪くなってしまいます。
クライアントはあなたを信頼して制作費の交渉を飲んでくれたのでその期待に応えるために、きちんと締切までに制作を終わらせましょう。
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