イラストレーターの稼ぎ方

イラストの仕事が減っていると感じたら|絵が「動く」と仕事の種類が変わる

イラストの仕事が減っていると感じたら。絵が動くと仕事の種類が変わる
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最近、こう感じていませんか。

  • 依頼の数が前より減った気がする
  • 単価が何年も上がらない
  • 似たような案件ばかりが回ってくる

もしそうなら、それは腕の問題ではない可能性があります。絵の需要そのものが減ったのではなく、ニーズの形が変わっただけかもしれないからです。

この記事では、広告の制作現場から見てイラストの仕事がいまどう変わっているのかと、絵が「動く」ようになると何が変わるのかをお話しします。

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いま起きている3つの変化

国内の動画広告市場。2025年は8,855億円、2029年には1兆6,336億円に達する予測

広告で使われるイラストの現場には、この数年ではっきりした変化が3つ起きています。

変化① 出稿先が動画中心になった

YouTube、TikTok、Instagramのリール、X。企業が広告費を使う場所が、ほぼすべて動画になりました。

数字で見ると、その勢いがよく分かります。サイバーエージェントの調査によると、2025年の国内動画広告市場は8,855億円で、前年から122%に伸びました。そして2029年には約2倍の1兆6,336億円に達すると予測されています。

中でも伸びているのが、スマートフォンで見る縦型の動画広告です。前年比155.9%の2,049億円に達し、スマホ向け動画広告のおよそ3割を占めるまでになりました。

出典:サイバーエージェント「2025年国内動画広告の市場調査」

バナー広告が消えたわけではありません。ただ、予算の大きい案件ほど動画に寄っているのが実情です。静止画の仕事が減ったように感じるのは、案件そのものが動画側へ移動しているからです。

変化② 「1枚絵」より「シリーズ」が求められる

1枚の完成度が高いイラストより、同じテイストで10枚、20枚そろうことが重視されるようになりました。広告は1回で終わらず、シリーズで展開されるからです。

これはイラストレーターにとって有利な変化でもあります。世界観を統一できる人でないと務まらないからです。

変化③ 生成AIが「それっぽい1枚」を出せるようになった

避けて通れない話です。単発の「それっぽい絵」は、もう誰でも作れます。

ただし現場で起きているのは「イラストレーターが要らなくなった」ではありません。「1枚だけなら誰でも作れるが、統一された20枚は作れない」という線引きが生まれただけです。ここは後ほど詳しく触れます。

現場で何が起きているか|「動かせる人」が足りていない

広告アニメーションの案件を受けていると、毎回同じところで人が足りなくなります。

制作の現場にいる人は、だいたい次の3つに分かれます。

  1. 絵は描けるが、動かせない人(イラストレーター)
  2. 動かせるが、絵は描けない人(モーションデザイナー・編集者)
  3. 両方できる人ここが圧倒的に少ない

1と2しかいない場合、制作は「イラストレーターに絵を発注し、別の人に動かしてもらう」という分業になります。これ自体は普通のことですが、発注側にとっては手間もコストも増えます。

だから、3番に該当する人がいると、そこに仕事が集まります。発注側から見れば、1人に頼めば終わるからです。

そして重要なのは、3番になるのに最も近い場所にいるのが、1番のイラストレーターだということです。

絵が「動く」と変わる3つのこと

アニメーションができるようになると、具体的に何が変わるのか。3つあります。

① 受けられる案件の「種類」が増える

これまで「イラスト1枚いくら」で受けていた仕事に加えて、企業のサービス紹介動画、商品のWEB CM、採用動画といった案件が視野に入ります。

案件の数が増えるのではなく、種類が変わるのがポイントです。動画案件は、そもそも予算の桁が違います。

② 「絵の対価」から「制作の対価」に変わる

イラストの仕事は、どうしても「1枚いくら」で評価されます。どれだけ時間をかけても、枚数という単位から逃れにくい。

動画になると、単位が「1本いくら」に変わります。企画も、構成も、動きの設計も含めた対価になるので、評価される範囲そのものが広がります。

③ 代わりが効かなくなる

イラストレーターの数は非常に多く、絵柄が近い人も必ずいます。しかし「この絵柄で、しかも動かせる人」となると、候補は一気に絞られます。

発注側は、代わりが効かない人に継続して依頼します。価格交渉の立場も変わります。

よくある誤解3つ

「アニメーションは自分には無理」と思っている人が挙げる理由は、だいたいこの3つです。いずれも広告アニメーションに関しては当てはまりません。

誤解① 「何百枚も描かないといけない」

テレビアニメの話と混同されています。広告アニメーションで主流なのは、描いた絵のパーツを分けて動かす手法です。

キャラクターの腕、目、口を別パーツにして、それぞれに動きを付ける。1枚の絵から、何十秒でも動かせます。枚数で勝負するやり方とは根本的に違います。

誤解② 「何年も専門の勉強が必要」

アニメーターとして劇場作品を作るなら、確かに年単位の修練が要ります。

ただ広告で求められるのは、絵が綺麗に、分かりやすく、意図どおりに動くことです。求められる動きの種類も限られています(後述しますが、最初は3つで足ります)。

当サイトを運営する株式会社粕田屋は、広告アニメーションの制作会社です。その現場の知見をもとに、イラストレーター向けにカスタマイズした最短ルートの講座として AdAnimeSTUDIO を運営しています。何年もかけずに、仕事として通用するところまで最短で届くよう設計しています。

誤解③ 「イラストレーターには向いていない」

これは完全に逆です。イラストが描ける人ほど、広告アニメーションでは有利になります。理由を次で説明します。

イラストが描ける人ほど有利な理由

アニメーション側から入ってきた人と比べて、イラストレーターにはすでに持っている武器が3つあります。

  1. キャラクターをゼロから作れる
    広告アニメでは、まずキャラクターの設計が要ります。これは絵が描けないと着手すらできません。動かす技術は後から学べますが、キャラクターを生み出す力は短期間では身につきません。
  2. 構図と画面設計が分かる
    どこに何を置けば視線が動くか。1枚の絵で伝える訓練を積んだ人は、この感覚をすでに持っています。動画は「絵が連続したもの」なので、そのまま応用できます。
  3. 世界観を統一できる
    先ほど触れた「AIでも1枚は作れるが、統一された20枚は作れない」という線引きが、ここで効いてきます。シリーズを通して同じ空気を保てることが、そのまま価値になります。

つまりイラストレーターにとってアニメーションは、ゼロから始める新しい分野ではなく、持っているものの上に1つ足す作業です。

最初に覚えるべき動きは3つだけ

広告アニメの基本となる3つの動き。移動、拡大・縮小、不透明度

「何から手をつければいいのか」という話をします。広告アニメーションで使う動きの大半は、実は次の3つの組み合わせでできています。

  1. 移動(位置を変える)
    キャラクターや文字が、右から左へ動く。画面外から入ってくる。最も多用します。
  2. 拡大・縮小(大きさを変える)
    商品がグッと寄る。文字が飛び出す。強調したい箇所で必ず使います。
  3. 不透明度(現れる・消える)
    ふわっと出る。パッと消える。場面の切り替えに使います。

この3つに「いつ、どのくらいの速さで」という時間の設計を加えると、広告アニメーションの基礎はほぼ成立します。

難しいのは技術そのものではなく、「どこを動かすと伝わるのか」という判断のほうです。そしてこれは、絵で伝える訓練を積んできた人のほうが早く掴めます。

まとめ

イラストの仕事が減っていると感じるとき、起きていることを整理するとこうなります。

  1. 需要が減ったのではなく、動画へ移動した
  2. 絵も描けて動かせる人が、現場で不足している
  3. イラストレーターは、その位置に最も近いところにいる

絵が描けることは、すでに大きな資産です。そこに「動かす」を足すと、受けられる仕事の種類と評価される範囲が変わります。

何百枚も描く必要はなく、覚えるべき動きも最初は3つで足ります。ゼロから別の分野を始めるより、はるかに短い距離です。