イラストレーターの仕事

書籍・専門書のイラスト仕事について|大量の挿絵を描く時の注意点

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引野裕詞
島根県出身・福井県在住。イラ通会員。 世界最大級水族館「海遊館」30周年広告TVCM。大阪マラソンメインビジュアル公募 最優秀賞。色鉛筆で楽しくワクワクさせる世界観作りを目指しています。Pinterest
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はじめまして、イラストレーターの引野裕詞( @yujihikinoと申します。

普段は広告、Web、冊子、空間などのイラストレーションを制作しています。

僕の奥さんも同じくイラストレーターをしています。

以前、奥さんが書籍の大量挿絵(約50点と100点並行)を担当しているのを横から見ていて

引野裕詞
いつものイラストの受託制作とは違うな

と思ったので、この記事ではその点を紹介していきます。

ちなみに僕が20歳そこそこの頃、イラストレーターの先輩で書籍をメインにやっていた方がおり

引野裕詞
何やら苦労されているな…

と思っていたのですが、その理由がようやく分かったような気がします。。

特に若手やまだ書籍の大量挿絵をやったことがないイラストレーターさんに参考にして欲しい内容です。

 

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書籍・専門書等の挿絵の仕事について解説

ここでの大量挿絵の内容ですが「簡単な小物」を描くというよりは「説明シーン」をたくさん描くイメージです。

気づいた点は大きく分けて4つ。

  1. ラフのスピード
  2. 資料の把握・管理
  3. 著者のチェックのタイミング
  4. 入金のタイミング

それぞれ解説していきます。

 

ラフのスピード

一番はじめの難関「ラフの作成」。

小物イラストに関しては、指示された資料を参考に描けば早めに描けますが、「説明シーン」は与えられた資料だけでは描ききれないことも多々あるので、色々とさらに調べて描くことになります。

著者の意図を読み解くためにはどうしても時間がかかってしまいます。

これに関しては、どのイラスト案件でも同じ流れかと思いますが、「大量のラフ」をある程度短期間で描く必要があるので、スピード感が求められる仕事だなと思いました。

僕は説明シーンなどはちょっと苦手で手が遅いので、、

奥さんのサササッと描くスピードに感心しておりました。。

提出日に間に合わせるために

●自分の描ける早さを把握する
●ペース配分・スケジュールをきちんと考える

必要があるなと思いました。

制作プロセスの中で、ラフが一番頭を使いつつ、スピードを求められるので量が多いと大変ですね。

 

資料の把握・管理

そして、進めていくうちに発生する挿絵内容の「把握・管理」。

描く量が多いということで、やりとりが増え、メールや資料が膨大になり把握・管理も大変になってきます。

数が少なければ、簡単な管理でも全体を把握できますが、大量の挿絵になるとそうもいきません。

●添付資料などはダンロードして整理
●イラストカットリストを作ってラフ・清書・修正・修正待ち・完了などステータスごとに分ける

などの工夫で混乱せずに把握しやすくなります。

普段そこまでの量をこなしていない人は管理作業が必要になってくることは心づもりしておいた方が良いです。

ちなみに編集担当者さんによってはきちんとしたイラストリストを作ってくれる人がいるようなので、その場合は比較的管理も楽になります。

ただ、編集担当者さんは「著者」「デザイナー」「イラストレーター」の橋渡し役で、猛烈に忙しく、途中から

きちんとしたイラストリスト送る余裕がないよー!

となる場面もあるようなので、その時はイラストレーター側できちんと管理するようにしましょう。

 

著者のチェックのタイミング

これは書籍の特性上しょうがないと思いますが、著書は本業の傍ら、書籍の執筆・監修をしています。

なので、書籍案件にベッタリ張り付いて作業出来ずラフを送った後などのチェックバックのタイミングがいつになるかハッキリ分からないこともしばしば。

ざっくりは編集担当者さんから教えてもらえたりしますが、著者の忙しさによってラフのチェックバック連絡が予定より大きくズレたりします。

同時進行で別案件も抱えている場合、忙しいときにラフの修正がドバッと来てしまった!なんてこともあるので、そこは気を付けておいた方が良いですね。

修正の連絡が忙しいタイミングで来てしまったときには極力無理のない範囲で編集さんにスケジュール調整お願いしてみましょう。

「長期間のお仕事」になるので、無理しないことが大切です。

 

入金のタイミング

書籍のお仕事である意味一番ヒヤッとするのが「入金のタイミング」。

大量挿絵を書くということは「長期間のお仕事」になります。

ケースバイケースですが、半年から長くて一年以上かかってしまいます。(もっと短いのもあると思いますが)

なので、基本的にはイラスト納品時もしくは書籍が出版される月にお金が振り込まれます。

ということは、半年ないし1年くらい振り込まれるのを待たないといけません。

途中で半金もらうなど対応してもらえる会社さんもあるかもしれませんが、基本は納品後お金が振り込まれることを想定してお仕事を受けた方が良いと思います。

貯金があまりない状態でこれを知らずに受けてしまうと頑張ってるのに半年間お金が振り込まれないー!どうしよう…となってしまいます。。

ちなみに今回受けた案件ですが、制作スタートから入金までの期間は以下になります。

  1. 約50点 2020年3月頃制作スタート→入金2020年12月(約9ヶ月)
  2. 約100点 2020年3月頃制作スタート→入金2021年2月(約11ヶ月)

うーん、なかなか長い道のりでした。。

 

大量挿絵案件は納品した時の達成感がすごい!

以上の4点が僕が感じた書籍の大量挿絵案件ならではのポイントでした!

おそらく初めに紹介したイラストレーターさんは上記のポイントで苦労されていたんだろうなーと今更ながらに思いました。

特に何十万円分のお仕事してるのになかなかお金が振り込まれない…と言っていたので、入金タイミングは本当に意識しておいた方が良いと思います。

大量挿絵案件がきたら、上記のポイントを気をつけながらバシバシイラスト描いていきましょー!


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