イラストレーターの仕事

フリーランスイラストレーターのビジネスライクな人間関係を構築する方法

イラストレータービジネス

ABOUT US

イラストレーター南姫
12年イラストレーターとして活動中。元アニメーター。書籍の表紙、挿絵、企業や店舗のチラシ用漫画、LINEスタンプの作成など幅広いグラフィックを提供している。2011年から5回に渡って新宿において個展を開催するほか、ペットグッズのオリジナルブランド「NAMILABOナミラボ」を立ち上げ、オーダー制作サービスも行っている。東京・池袋の専門学校にてイラスト制作授業講師として就任。人材育成に努めている。
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意外かもしれませんがイラストレーターという仕事をするうえで人間関係はかなり重要です。

これが原因でイラストレーターを辞めてしまう人もいるほどです。

イラストレーター12年の経験から、自分の体験や友人・知人のイラストレーター、アニメーターの経験談を元にトラブルの原因と対処法をまとめてみました。

 

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意外と人間関係が大事なイラストレーターという仕事

フリーランスのイラストレーターと言うと在宅で、しがらみもなく自由に働いているイメージがあるかもしれません。

しかし、フリーランスと言うのはいわば「個人事業主」。一つの会社を持っていることと同義語と言っても良いと思います。

どの仕事をするのか、いくらで請け負うのかを決済できる=「営業」「マネージメント」「総務」など3役、4役やっているのと同じことです。

ビジネス相手となる企業の担当者としっかりした人間関係を構築することはとても大切なことです。

クライアント側が法人の場合は

  • 絵の内容については〇〇さん
  • 金額交渉は□□さん
  • 請求書の書式や口座に関しての質問は▲▲さん

など、1つの仕事に対して複数の人間とかかわらなければいけない場合もあります。

フリーランスのイラストレーターは、ひとりで自由気ままに仕事をしているように見えて実はたくさんの人と関わる機会が多い職業なのです。

自分に対して好意的な態度の人ばかりではない!

私が過去に関わったことがある企業の担当者の中には、原稿料の桁が間違っていようと、振込日が遅れようと関係ないと思っている人もいました。

支払いの遅れがあったため指摘したところ、お詫びも説明も無く処理されたことがあります。

もちろん、こういう人ばかりではありませんが、関わりづらいと思える人も中にはいます。

そういう人間と渡り合っていけるコミュニケーション能力が必要です。

 

ビジネスとしてしっかりとした人間関係を築く方法

「絵を描く仕事」は趣味感覚でやっていると勘違いされ、適当な扱いをされることがあったりします。

イラストレーター南姫
絵を描くことの対価として報酬を受けるビジネスとして関係を構築するためには、仕事の依頼がきた際、以下の3点を確認するといいでしょう。

 

  1. 契約書(あるいは金額と納期を明確に表す書類や文面)を交わすか
  2. 決済は確定しているか
  3. 話が来た時点で支払いの金額と納期、原稿料の振込時期が確定しているか

これらが曖昧だと、その仕事は難航する可能性があります。

※コンペの参加依頼だと、これらが決まっていない場合もあります。

どうしても仕事が欲しい、と藁にもすがる思いで受けても、結局支払いが行われなかったり遅れたりすれば損失です。

金銭的に損失を受ければ、そこからモチベーションが下がり、次の仕事がスムーズに行かないなどデメリットがあります。

駆け出し時期は仕事の良し悪しが分からないことも多いかと思いますが、受ける仕事の参考にしてください。

参考記事>>
イラストレーターが『この仕事、請けなきゃよかった』と後悔しない受注の考え方

仕事の選定が分からない場合はクラウドソーシングを活用しよう

仲介でクラウドソーシング会社が入ってくれれば、仕事をしたのに支払いが行われないような事態を避けることができます。

クラウドソーシング大手のクラウドワークスランサーズを活用しましょう!

 

人間関係でトラブルを回避するために

若くても、実績が無くても、イラストレーターとして仕事をしているのですから、本来は対等に扱われなければならないにも関わらず、えてして業界の中では軽く見られがちです。

そんな中で確実に収入を手にして生活していくためには自分を守る術が必要です。

クライアントと交渉する上でトラブル回避する技術、それは

  • 文章力
  • 最低限のお金と労働に関しての知識
  • 相手と同等かそれ以上だと思う気概

です。

イラストレーター南姫

お金や労働条件について不遇の扱いをされた場合、それらを指摘できるだけの知識と、伝えるための文章力を持っていなくてはいけません。

ビジネスパートナーとして対等に仕事を進めていくんだという気持ちを強く持ちましょう!

「知識」と「言葉」と「態度」は大切です!

 

対処例

私が実際に体験したことです。

初めて仕事を請けたクライアントから修正の指示、追加のイラストの打診があったのですが、そのメールが・・・

さっきはきついこと言ってごめんなさーい、できれば・・・の努力目標でいーですよー(^_^;)あとひとつお願い、下書きあと2、3、よろです

こんな感じでした。

とてもビジネスをしている雰囲気ではないですよね。

追加のイラストを描くにあたっての対価なり、その作業が増える事へのリスケに関する補足等なんの情報もありませんし、部下かなんかと勘違いしているようです。

これに対して・・・

〇〇様いつもお世話になっております。

本日の修正指示についてはお電話でお話した内容で承ります。

追加のイラストをご希望とのことですが、新たにキャラクターデザインを起こす場合は別途依頼書をお送りください。

追加の場合は費用がかかり、スケジュールが伸びることになります。

ご予算もあるかと思いますのでご検討の上、どの程度追加をご希望か改めてご連絡ください。何卒よろしくお願い致します。

と返しました。

きちんとしたビジネスメールとしての文章であることが肝心です。さらに

追加のイラストをご希望とのことですが、新たにキャラクターデザインを起こす場合は別途依頼書をお送りください。

追加の場合は費用がかかり、スケジュールが伸びることになります。

しっかりと自分の主張を伝え、変に下手に出るのではなくビジネスパートナーとして毅然とした態度で臨むこと。

こういった処世術を身につける必要があります。

 

ひどい仕事に取り掛かってしまう前に、担当者がどういう人なのか、その仕事を受けて大丈夫なのか、しっかり自分の目で見極める力をつかんでほしいと思います。

万が一、ひどい仕事にあたってしまっても、しっかりと対処できる術を身につけることも必要です。

 

イラストレーターもビジネスライクな付き合いを

フリーのイラストレーターを長年やっていくうちに、会社に雇用されているだけでは知からなかった会社の仕組みや、付き合うべき会社、担当者の良し悪しが分かってきました。

請求書を発行し、仕事を行う方法。契約書を作ってそれにのっとって原稿を収める方法・・・などなど、仕事の進行の仕方はクライアントによって千差万別です。

安心できるクライアントは「(イラストレーターなど)制作物をつくってくれるクリエイターに負担にならないように」と考えてくれる方です。

  • 情報を提示してくれる
  • 金額を明確にしてくれる
  • スケジュールを無理なく立てて、連絡を密に取ってくれる

このような方と多くお付き合いし、ご縁を大事にするべきです。

逆にこれらが守れない人がクライアントの場合、その仕事は本来受けるべきではありません。

「良い仕事」とは、「金額の高い仕事」ではありません。人の質=仕事の質なのです。

せっかくクリエイティブなお仕事を選ばれたその才能とやる気を、人間関係でダメにしないためにも、人を見定めて良質な仕事を選べる審美眼と対処できる術を是非身に着けてください。