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100年愛されるイラストレーターになるための独自性について

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柴山英昭
ゲーム会社勤務・映像デザイナーを経てイラストレーターに。 「100年後も古くならない」をポリシーに、動物や自然物など不変のモチーフをファンタジックなイラストに仕上げる。 趣味はマラソンとスパイスカレーの調理。
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フリーランスイラストレーターの柴山 英昭です。

突然ですが、プロのイラストレーターにとって必要なものは何でしょう?

  • 求められるものや想像したものを自由自在に描き出せる技術?
  • どんなお客さんのニーズにも応えられる信用?
  • 契約書を読み解いたり権利を守ったり申請を完璧にこなす知識?

正解は「どれも必要」。

イラストレーターは資格が必要ない職業なので、誰でもいつでも名乗ることができますが、”プロ”となると、上記の3つは必須です。

でなければ”自称”イラストレーターで終えてしまうでしょう。

しかし、これら3つを身につけている”プロ”イラストレーターであっても、生き残るのは容易ではありません。

何しろ現在は”自称”イラストレーターが次から次に現れては仕事を取り合っている需要過多な状況です。

おそらく、今一番生存競争が激しい職業のひとつではないかと思います。

これを生き抜くために必要な4つ目の要素、それが「独自性」です。

この記事ではイラストレーターとして現代を生き抜くための独自性について解説していきます。

イラストレーターとして生計を立てられるようになりたい、もっと稼ぎたい!と考えてる方は是非最後までご覧ください。

 

なぜイラストレーターに独自性が必要か

あなたが昼食時に「ラーメンが食べたい」と思ったとしてください。

まずい店は当然除外するとして、ただ「ラーメンを食べる」という目的を果たせばいいのなら、

  • 一番近い店
  • 一番安い店

のどちらかを選ぶのではないでしょうか?

さらに、近いか安いかどちらかを選ぶなら

  • お昼を食べる時間があまりない
  • ちょっとお財布の中が寂しい

という理由でどちらにするかを考えるはずです。

しかし、どうせだったら自分が好きなラーメンを食べて、幸せな昼食を済ませたいと思うことのほうが多いのではないでしょうか?

そのときあなたはきっと”この味が好き”という理由でお店を決めるのだと思います。

あなたがそのお店を選んだのは「他の店ではこの味が楽しめない独自性があったから」でしょう。

このお話は、イラストレーターを探して選ぶお客さんの心理そのものです。

下手なイラストレーターは当然除外するとして、

  • “急いでイラストがほしい”なら→内容はともかく描くのが早い人
  • “安いイラストがほしい”なら→内容はともかく安く描いてくれる人

を選ぶはずです。

しかし世の中にタダでイラストを提供しているようなサービスもあります。

ただ「イラストがほしい」だけなら、わざわざお金も時間もかける必要はなく、タダで提供してくれるサービスを選ぶでしょう。

ですから、そんな理由で選ばれるイラストレーターが長生きできるかと言えば、もちろんノーです。

我々は長く活動すればやがて年を取ります。

描くスピードは落ちますし、生産力は徐々に下がっていきます。

そのなかで、制作速度や薄利多売を売りにして、フリーイラストもあふれる中で生き残るのは至難の業です。

しかし“その人にしか描けない絵”を売りにしたイラストレーターならどうでしょう?

代わりがいないなら、筆が遅くても多少高くても、必要とする人はずっといてくれるはずです。

これが「独自性」です。

噛み砕いて言えば自分にしか描けないイラストを早く身につけることが重要ということです。

選ばれるイラストレーターになるためには独自性が必要なのです。

 

流行と独自性

自分の絵は、

他の”誰か”に似ていないか?

“誰か”が真似できてしまえるようなタッチではないか?

と考えてみてください。

この”誰か”はあなたがいつも競わねばならない相手であり、その人数が多いほど、戦いは苛烈になるでしょう。

イラストの世界にも流行は大いに存在します。

そして流行のイラストは一時的にたくさんの需要が発生するので、依頼も予算もそこそこ多くなります。

そこに集まってきたイラストレーターは、皆似たようなイラストを描いて、その需要を満たしていくでしょう。

お客さんからしたら今流行のイラストであれば誰が描いてもいいという心理ではないかと思います。

しかし流行が過ぎてしまったら?

少し前に流行ったタピオカ屋を思い出してください。今、どうなったでしょうか?

結局、流行が過ぎると需要は移ろい、大量生産された類似イラストレーターは途方に暮れるしかないのです。

もちろん、流行の波に常に乗りながら、タッチを変えて活動するのもアリだと思います。それができるならば。

タッチを変えるという事自体、容易ではないですが、流行を追うにはタッチ以外のいろんなことを毎回切り替えるので、莫大な体力と時間が必要になります。

一番の問題はその人の印象がどんどん薄れてしまうということ。

イラストレーターとは一種のタレント業なので「この人=この絵」という図式をできるだけ多くのお客さんに憶えてもらうことが仕事を増やす秘訣なのですが、毎度毎度”この絵”が変わることで、お客さんはそのイラストレーターを憶えてくれることが困難になります。

それより、新しく現れた若くてセンスのある流行の最先端のイラストレーターに目が奪われるでしょう。(もっとも、そのイラストレーターも、流行を追っていたら同じ運命をたどることになるのですが)

独自性を持ったイラストレーターは、そんな流行の波に影響されずに同じペースで生きていくことが可能です。

流行のイラストのような爆発的需要には恵まれませんが、常にその絵を必要とする人はそのイラストレーターの元に集まり、ずっと離れません。

なぜなら、他のどのイラストレーターにもその独自性のある絵は描いてもらえないからです。

そして独自性は時代にも左右されません。

真似されにくい絵はいつの時代も若い新人であろうとベテランであろうと敵となりえず、競う必要がないからです。

 

余談ですが、近年、音楽界も似たような声の似たような曲をリリースする新人が出ては消える一方で、なかなか長く生き残る人がいません。

それはプロデュース側がいつも流行を追っているからです。

プロデュース側もお客さんも、流行の供給と需要がマッチングしていればシンガーの存亡には興味ないからです。

そんななか、たとえば10年その前線で生き残れるシンガーがいたら、その人の声や曲をよく観察してみてください。

メディアに露出する姿でもいいです。何か強い独自性があるはずです。他の誰も真似できないような。

そうして、いつまでも廃れない名曲や根強く活動するアーティストが生まれるわけです。

これは全くイラストレーターと同じなんですよね。

 

 

私の独自性例

とはいえ、独自性もまた、生み出すのも維持するのも簡単ではないのです。

私の話をさせてもらいますね。

私にも「〇〇さんのようなイラストレーターになりたい!」という夢があって、同じようなイラストレーターを目指していたことがありました。

しかしながら、その方を目指す以上、それより上にはいけません。

なぜなら〇〇さんの独自性は常に〇〇さんしか作れないからです。

自分がそのスタンスで活動していくなら、早さとか安さで売るしかなく、そこにあるのは常に〇〇さんの廉価版でしかありませんでした。

それに気づいて、タッチを水彩風デジタル画に変えたこともありました。

しかしまもなく、割と描きやすいデジタルの水彩は、経験を積まねば描けない本物の水彩の持つ魅力には敵わないことを知り、またもや廉価版作家に収まってしまった自分に愕然としました。

そしてたどり着いたのが現在のタッチです。

水彩のようなにじみや染め物のような白抜きの技法を使って、鳥や動物や風景を中心に描くことを、自分の「独自性」と定めました。

きっかけは、図書館で見た10年前のイラストレーター年鑑で、かつての人気イラストレーターの作品を「古いなあ」と感じたことでした。

つまりは、流行に乗ることができても「古い」と感じるような絵は、もはやその次代に使うことができないのです。

ずっと愛され、時代に左右されない独自性ってなんだろう?と考えたとき、

むしろ100年以上前からある水彩や染め物のような塗り方をし、100年前から100年後も変化のなさそうなモチーフを選んだら、少なくとももう100年は愛してもらえる絵になるのでは

と編み出しました。

これが実際に100年後も愛されるかどうかはわかりません。

しかし、流行の波に左右されず、ブレない信念を持ち続けることこそが独自性を育てる骨子であると考えています。

※このタッチとは別に、クライアントワーク用として複数のタッチを用意しておりますが、これは「こういうイラストを描いてほしい」という”用途ごとの注文に応じるため”です。

 

自分にしか作れない世界を

独自性は、イラストレーターの生存に必要な要素である以上に、イラストレーター自身に「楽しさ」をもたらしてくれます。

類似性のある作家同士の勝負や、時代や若さとの戦いに無縁のところで、自分にしか描けない世界を切り開き、それを人々が愛してくれることには、これ以上ない幸福感があります。

理想としては、すべてのイラストレーターが、それぞれ独自性を持って活動できること。

自分にしか描けない絵を互いに見せあい、切磋琢磨して、みんなが幸福感を得て描いていけるような世界です。

これを読んでくださった方々が、それぞれ独自性を模索し始め、それぞれが戦わずして生き残れるような、幸せなイラストレーター業界になることを期待しています。

 



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