絵がうまければイラストレーターになれる、というわけではないんですよね。
実際、メチャクチャ高い画力を求められる仕事って全体のなかのほんの少しだったりします。
イラストレーターのほとんどの仕事で求められるのは「伝わる絵」を描くことなんです。
今回はこの辺を掘り下げてお伝えしたいと思います。
イラストレーターの伝える力とは?
そもそもイラストレーションが単体で商売になることってほとんどありません。
イラストレーターが絵を描くのは、何かしらメインの情報があって、それをわかりやすく伝えるためのビジュアル補強であることがほとんどです。
つまりその”何かしらメインの情報”を わかりやすく伝えるためのイラストを描いているってわけ。その情報媒体が
- 雑誌
- テレビ
- WEB
- 広告
などだったりします。
例えば雑誌の特集で「10歳若返る!お風呂あがりの簡単フェイスマッサージ」みたいな”情報”があるとしましよう。
そのフェイスマッサージの方法を文字でツラツラ書くよりもイラストを交えて説明した方がわかりやすいですよね。
そこでイラストレーターの仕事が発生するのです。
ここでの仕事はメチャクチャ高い画力でフェイスマッサージをしている女性を描くことではありません。
フェイスマッサージがどういう手順・動きで行われるのかを、わかりやすく理解できる絵を描くことなんですね。
もちろんフェイスマッサージの動きをわかりやすく伝えるための絵の技術は必須ですが、いわゆる”画力の高い絵”は必要ではないのです。
プロのイラストレーターは皆、この「絵で伝える力」が優れている人たちであるといえます。
そのうえでメインの情報を伝えたい人たちに好まれるテイストの絵を描けるイラストレーターが採用されます。
先のフェイスマッサージの例で言えば、この情報を伝えたいターゲットは美意識を持った女性層ですよね。なので
- 細かい手の動きなどをわかりやすく描写できる(伝えられる)イラスト
- 美意識の高い女性に好まれるテイストのイラスト
このふたつのポイントを抑えられるイラストレーターに依頼されるのです。
依頼内容が何を誰に伝えるのか読み取れないと厳しい
”何かしらメインの情報”ありきのイラストレーションなので、その情報を誰に伝えるのか、何を伝えたいのか読み取れないとイラストレーターとして仕事をするのは難しいかもしれません。
情報の内容とターゲットによって絵の表現方法はまったく変わってくるからです。
例えば、「バスケットの選手がシュートをしているイラスト」を描いて欲しいという依頼があった場合。
児童書に掲載するカットだったら・・・
児童書内のにぎやかしとして掲載されるカットの一枚だとしたら、元気に明るくバスケットを楽しんでる描写となるでしょう。
対象が小学校低学年あたりであれば、細密な絵よりダイナミックで楽しいテイストが好まれそうです。
バスケットボールの指南書用イラストだったら・・・
正しいシュートフォームとして解説するのだとしたら、クライアントから指示されたフォームを正確に描写する必要があるでしょう。
余計な情報は入れずに、シンプルに伝えたい情報(=正しいシュートフォーム)が伝わるイラストでないといけません。
雑誌のオモシロ投書コーナーの挿絵だったら・・・
「大好きな彼がバスケの試合でシュートをしようとしたらユニフォームが脱げちゃって会場大爆笑。100年の恋も冷めちゃった・・・」みたいな投稿の挿絵として描くのであれば笑えるギャグテイストが望ましいでしょう。
ただ、投書内容のシチュエーションをパッと見でわかる(伝わる)イラストでないと意味がありません。
このように、同じ「バスケットの選手がシュートをしているイラスト」だとしても媒体が違って伝えたい情報とターゲットが違えば全く違う絵の表現になります。
重要なのは
- 伝えたいポイントを抑えた絵を描けるか
- ターゲットに好まれるテイストの絵が描けるか
なのです。
「伝わる絵」には画力も必要!
ここまでイラストレーターにとって重要なのは伝える絵で画力を求められる仕事はそんなに無い、という話をしてきました。
でも「伝わる絵」は巧さや技術が無いと描けないのも事実です。
背景にはビル群を描く必要がある
シチュエーション的に筋肉マッチョの男性を描写する必要がある
イケメンとブ男を描きわける必要がある
みたいな、これを描かないと成立しない(伝わらない)ということはイラストレーターの仕事をしているとよくあります。
どれだけデフォルメしても、これはビル群なんだな、この人はマッチョなんだな、こっちがイケメンでこっちがブ男なんだな、と見た人に伝えられる描写ができなくてはいけません。
どんなものでも あなたのテイストで描き分けることができますか?
イラストレーターっていろんな絵柄を書き分けた方がいいの?アンケートとってみた結果!
コミュニケーション能力も必要!
イラストレーターというと、家に引きこもって絵を描き続けているから人と接することがない、というイメージが先行しがちです。
まぁ合ってるっちゃ合ってるんですが、絵を描く前には必ず打ち合わせがあります。その時に
- どういうことを伝えたいのか
- ターゲットはどういう層なのか
この辺を依頼主から引き出す必要があります。
打ち合わせがちぐはぐだと何度も修正を強いられたりするので、お互いの考えをすり合わせておくことは結構重要。
そして、”まだ無いもの”をこれから作り出すためのイメージを話し合うにはまずまずのコミュニケーション能力が求められるわけです。
制作以外にも営業・提案やスケジュール調整、金額交渉など割とコミュニケーションする機会は多いですよ!
好きなことネットで発信してたらそれを描く仕事に繋がった実体験
イラストレーターは伝える絵を描く仕事
イラストレーターにとって必要なのは「画力の高い絵」を描くよりも「伝わる絵」を描くこと。そして「伝わる絵」を描くためには相応の画力が必要である。
というお話でした。
自分がどんなジャンルのテイストで絵を描くのが好き・得意なのかを考え、そのテイストで「伝わる絵」が描けているのかを今一度見直してみるといいかもしれません。