イラストレーターの稼ぎ方

アニメーターの年収とイラストレーターの年収|同じ「絵の仕事」でお金の入り方はどう違うか

アニメーターの年収とイラストレーターの年収
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絵の仕事を志すとき、どうしても最初に引っかかるのが「それで食べていけるのか」ですよね。

  • 「アニメーターは薄給」という話を聞いて、憧れと不安が半々になっている
  • 平均年収を調べても、サイトによって数字がバラバラで、何が本当なのか分からない
  • 自分がやっているイラストの仕事と比べて、収入の面でどう違うのかが見えない

どれか一つでも当てはまったら、それは調べ方のせいではありません。同じ「絵の仕事」でも、アニメーターとイラストレーターではお金の入り方そのものが違うので、年収という一つの数字では比べにくいだけです。

この記事では、厚生労働省の公的データと、業界団体(JAniCA)の実態調査という出典のはっきりした数字だけを使って、アニメーターの年収を職種別・年代別に整理します。そのうえで、アニメーターは「出来高」、イラストレーターは「単価」や「固定給」という、報酬の仕組みの違いまで解剖します。数字はすべて出どころを示すので、進路や単価を考えるときの土台にしてください。

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アニメーターの年収は「平均」だけ見ると見誤る

タブレットで絵を描くイラストレーター。コインと右肩上がりのグラフが、絵の仕事のお金の入り方を表す

いきなり結論ですが、「アニメーターの平均年収は◯万円」という一行を、そのまま信じないほうがいいです。公的な数字と、現場に近い数字で、かなり開きがあるからです。

まず公的データから。厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、アニメーターの平均年収は497.7万円(1か月の労働時間165時間)とされています。数字の出どころは令和7年の賃金構造基本統計調査です。(出典:厚生労働省 job tag「アニメーター」)

この数字だけ見ると「意外と普通じゃないか」と思いますよね。ところが、業界団体が現場のアニメーターに直接聞いた調査では、景色が変わります。

一般社団法人 日本アニメーター・演出協会(JAniCA)の「アニメーション制作者実態調査2026」(令和7年度 文化庁「メディア芸術連携基盤等整備推進事業」と経済産業省の実態調査の一環。2026年3月公表)によると、制作者全体の平均年収は444.6万円、中央値は400万円。ここまでは近いのですが、職種をいちばん下(動画)に絞ると227.5万円まで下がります。(出典:JAniCA アニメーション制作者実態調査2026)

なぜ、公的な平均(497万円)と、駆け出しの実態(約228万円)がこんなに違うのか。これは数字が間違っているのではなく、見ている人の集まりが違うからです。賃金構造基本統計調査は雇われて働く人を集計する統計なので、業務委託やフリーランスで出来高の仕事を受けている人は、そもそも含まれていません。

ちなみにJAniCAの実態調査は、国(文化庁・経済産業省)の事業の一環として行われている業界団体による正式な調査です。制作現場の人に直接アンケートを取っているので、求人サイトの「推定年収」よりも実態に近いと考えてよいものです。公的な賃金統計(job tag)と、現場に近い実態調査(JAniCA)の両方を並べて見ると、数字の意味がぐっと読みやすくなります。

だから「アニメーターの年収」を知りたいときは、平均の一行ではなく、職種と年代で分けて見るのが正解です。次でその中身を出します。

職種別・年代別に見るアニメーターの年収【JAniCA 2026】

アニメーターは、入ってすぐ全員が同じ仕事をするわけではありません。ざっくり動画 → 原画 → 作画監督 → 監督と段階が上がり、そのたびに年収も変わります。JAniCAの実態調査2026(調査全体の有効回答983件)から、職種別の平均年収を並べると次のようになります。

職種 主な役割 平均年収
動画 原画と原画の間をつなぐ絵を描く。入り口の職種 約228万円
原画 動きの要になる絵を描く 約415万円
作画監督 作画全体の品質をまとめる 約522万円
監督 作品全体を統括する 約734万円

こうして見ると、同じ「アニメーター」でも入り口と頂点で3倍ほど開くのが分かります。年代別でも同じ傾向で、20代前半は約200万円、30代前半で約412万円、50代前半で約602万円、いちばん高い60代前半で約651万円と、経験を積むほど上がっていく職種です(2023年の前回調査とは調査の条件が異なるため、前回との単純な比較はできません)。

労働時間も押さえておきましょう。同じ調査で、1か月の平均労働時間は190.6時間(中央値180時間)。入り口の数字だけを取り出して「薄給」と語られがちですが、実際は下積みの時期が低く、続けて役割が上がると伸びるという構造です。この「最初が低い」理由こそ、次に説明する報酬の仕組みにあります。

なお、アニメ業界には作画以外にも絵の仕事があります。たとえば背景の制作会社は給与の出かたがまた少し違います。そちらの事情は下の記事にまとめています。

なぜ下積みの年収は低いのか|「出来高制」という仕組み

動画の年収が低く出るのは、腕やがんばりの問題ではありません。多くのアニメスタジオが、報酬を出来高制(または固定給+出来高の歩合)で払っているからです。

出来高制とは、かんたんに言えば「描いた分だけお金になる」やり方です。動画は1枚あたりいくらで計算され、その単価はおおむね1枚200〜350円ほどとされています(これは業界で一般に言われる相場で、公的な統計値ではありません)。仮に1枚300円で、1日10枚描けたとすると、その日の報酬は3,000円。これが低く見える正体です。

ここで大事なのは、出来高制には「速さ」と「枚数」がそのまま効くということ。慣れて1日に描ける枚数が増えれば収入は上がりますし、原画に上がれば1カットあたりの単価が変わります。つまり最初が低いのは、まだ枚数が出せない時期だからで、ずっとその水準という意味ではありません。

もう一つ知っておきたいのは、出来高制は「働いた時間」ではなく「仕上げた量」で払われる点です。会社員のように「月◯万円」が約束されているわけではないので、体調を崩したり手が止まったりすると、そのまま収入に響きます。安定という面では弱い。ここが、次に見るイラストレーターの「会社員か、フリーか」の話ともつながってきます。

補足しておくと、近年は、経済産業省がアニメ制作の就業環境について実態調査を行う(JAniCAの2026年調査もその一環です)など、下積みの低さは業界の課題として広く知られるようになってきました。とはいえ出来高が基本という構造は多くの現場で残っているので、志す側としては「最初は出来高で低く出やすい」という前提で生活設計をしておくと安心です。

イラストレーターの年収はどうなっているか

では、同じ絵の仕事であるイラストレーターはどうでしょう。こちらも公的データから見ると、厚労省 job tag のイラストレーターの平均年収は492.2万円(1か月の労働時間159時間/令和7年賃金構造基本統計調査)です。(出典:厚生労働省 job tag「イラストレーター」)

数字だけ見ると、アニメーター(497.7万円)とほとんど変わりません。ところが、この492万円も額面どおりには受け取れません。理由は2つあります。

1つめ。この賃金統計が映しているのは、主に「会社に雇われて絵を描いている人」です。会社勤めの人が対象で、フリーランスで1点いくらで受けている人の実態は、ここには含まれていません。アニメーターの動画が低く出るのと同じ構造です。

2つめ。そして、ここがアニメーターとの大きな違いなのですが、フリーランスのイラストレーターには、公的機関や業界団体による継続的な実態調査が見当たりません。アニメーターにはJAniCAの実態調査という「現場の物差し」がありますが、フリーのイラストレーターには同じものがない。だから自分の年収は、公的平均を参考にしつつ、最終的には「単価×受注数」を自分で設計するしかないのです。

イラストレーターの年収が何で決まるのか(会社員・フリーランス・副業でどう違うのか)は、下の記事でさらに踏み込んで整理しています。この記事とあわせて読むと、自分がどの位置にいるかが見えてきます。

同じ「絵の仕事」でも、お金の入り方の“単位”が違う

絵の仕事のお金の入り方は3つの単位。枚(出来高・アニメーターの動画や原画)、点(単価×受注・フリーのイラストレーター)、時間(固定給・会社員)

ここまでの話を一つにまとめると、年収の数字そのものより、「何を単位にお金が入ってくるか」を見たほうが、2つの仕事の違いがはっきりします。同じ絵の仕事でも、お金の入り方の単位が3通りあります。

(上で紹介した記事では「1枚いくら/1案件いくら/使われるたびに入る」と、上限の伸び方で分けました。ここではアニメーターと比べるために、雇われ方も含めて「枚・点・時間」で分けます)

  1. 枚(出来高)…アニメーターの動画・原画。描いた枚数×単価で決まる。速さと量がそのまま収入になるぶん、手が止まると収入も止まる
  2. 点(単価×受注)…フリーランスのイラストレーター。1点いくら×受けた数で決まる。単価交渉と受注の安定が収入を左右する
  3. 時間(固定給)…会社員として絵を描く人(社内のアニメーター・イラストレーター)。月いくらで、安定する代わりに上限も決まりやすい

具体的にイメージすると、こうです。枚でもらう動画マンは、1日に10枚描けるか15枚描けるかで月収が変わります。腕が上がって速くなれば増える一方、体調を崩して描けない日は丸ごとゼロ。点でもらうフリーのイラストレーターは、1点3,000円の仕事を10件受ければ3万円、1点3万円の仕事を10件受ければ30万円。単価が10倍違えば、同じ10件でも収入が10倍変わります。時間でもらう会社員は、忙しい月も暇な月も給料は同じ。安心ですが、どれだけ速く描いても月給の枠は変わりません。

どれが偉いという話ではありません。職人として腕一本で続けるうえで、自分がいま「どの単位」でお金をもらっているかを知っておくことが大事なんです。単位が分かると、「年収を上げたい」と思ったときにどこを動かせばいいのか(枚数を増やすのか、単価を上げるのか、受注を安定させるのか)が具体的に見えてきます。

この「単位」という見方は、僕自身がずっと大事にしているところで、Xでも反応が大きかった話です。

上の図に、3つの単位の「決まり方」と「天井のでき方」を整理しました。自分がどこにいるか、指でなぞってみてください。

「天井」はどこにあるか|単価を上げる・単位を変える

単位ごとに、収入の天井のでき方が違います。

出来高(枚)の天井は、「1日に描ける枚数」×「日数」です。どんなに速くなっても、1日は24時間しかないので、枚数には限界が来ます。単価(点)の天井は、「1点の単価」×「受けられる数」。こちらは単価を上げれば天井も上がりますが、1人で描ける数には限りがあります。

だから、年収を上げる現実的な打ち手は大きく2つです。

  1. 単価を上げる…指名で頼まれる、継続で任される、上流(原画・作画監督・ディレクション)に回る。「代わりがいない」状態をつくるほど、単価も交渉力も上がります
  2. 単位そのものを変える…「1枚」「1点」から、「1案件いくら」「1本いくら」へ移る。企画・構成まで含めて受けると、同じ絵の力でも入り方の単位が変わります

イラストレーターが年収1,000万円に届くときに実際にやっていることも、突き詰めるとこの「単価を上げる」か「単位を変える」かです。具体策は下の記事にまとめています。

「単位を変える」のいちばん分かりやすい例が、絵を動かせるようになることです。静止画の「1枚」「1点」から、動画の「1本いくら」へ単位が移ると、天井の作られ方そのものが変わります。この発想をイラストレーター向けに体系立てて扱っているのが AdAnimeSTUDIO で、記事の最後でもう一度だけ触れます。

これからアニメーター・イラストレーターを目指す人へ

「アニメーター なるには」で調べている人向けに、進路の考え方も整理しておきます。お金の面でいちばん最初に決まるのが、会社員として入るか、フリーランスで受けるかです。

  • 会社員(社内のアニメーター・イラストレーター)…固定給で収入が安定する。下積みの時期も生活が崩れにくい。代わりに、上限は決まりやすい
  • フリーランス…出来高や単価で伸びしろは大きいが、最初は不安定。実力と営業がそのまま収入に出る

アニメーターは、多くがスタジオに所属して動画から始めます。下積みの時期は出来高で低く出やすいので、生活の土台をどう確保するかを先に決めておくと続けやすいです。イラストレーターなら、まず会社員として絵を描く仕事に就いて基礎と人脈をつくり、あとで独立する道もあります。会社員で絵を描く仕事の種類は、下の記事にまとめました。

どちらを選んでも、自分の絵の価値を深めていくことが土台なのは変わりません。年収は、その土台の上で「どの単位でもらうか」を選んだ結果についてくるものです。

イラストレーターでも、絵を動かせたほうがいい

もう一つ、これから絵の仕事を目指す人に伝えておきたいことがあります。イラストレーターとしてやっていくにしても、動画の制作はできたほうがいいということです。

SNSも広告も、いまは動画が中心になりつつあります。サイバーエージェントの調査では、2025年の国内動画広告市場は8,855億円(前年比122%)で、2029年には約2倍の1兆6,336億円に達すると予測されています。(出典:サイバーエージェント 2025年 国内動画広告の市場動向調査)

静止画の仕事がなくなるわけではありません。ただ、これだけ動画が増えている中で、描いた絵を自分で動かせる人は、受けられる仕事の幅がまるで変わります。同じ1枚の絵が、そのまま動画の素材にもなるからです。

描いた絵を自分で動かすやり方は、AdAnimeSTUDIO でイラストレーター向けに一から整理しています。

アニメーターを目指すなら「個人スタジオ」という道もある

アニメーターを目指す人なら、なおさらです。スタジオに所属して動画から下積みを積むのは、技術も人脈も身につく王道で、もちろんいい選択です。

ただ、それだけが道ではありません。自分で描いて、自分で動かして、自分で納める。個人スタジオとして活動するやり方もあります。企業の広告やSNS向けのアニメーションのように、短い尺の動画を1本単位で受ける仕事なら、企画から納品まで1人で回すこともできます。これは、上で書いた「1枚いくら」から「1本いくら」へ単位を変えることそのものです。

この「描いた絵を自分で動かして、1本単位の仕事にする」ための学び場が AdAnimeSTUDIO です。広告アニメーションの制作現場のやり方を、ビデオ講座と質問を通して、イラストレーターやアニメーター志望の人向けに整理しています。

よくある質問(アニメーター・イラストレーターの年収)

Q1. アニメーターの平均年収はいくらですか?

厚労省 job tag では約497.7万円(令和7年賃金構造基本統計調査)です。ただしこれは会社勤めが中心の数字で、業界団体JAniCAの実態調査2026では制作者全体で444.6万円、入り口の動画職では約228万円でした。平均の一行より、職種・年代で分けて見るのが実態に近いです。

Q2. 新人のアニメーターはなぜ収入が低いのですか?

多くのスタジオが出来高制(描いた枚数×単価)を採っていて、動画1枚の単価はおおむね200〜350円ほどとされる(業界で一般に言われる相場で公的な統計値ではありません)ためです。慣れて枚数が出せるようになり、原画・作画監督と役割が上がると年収も伸びていきます。最初が低いのは、まだ枚数を出せない時期だからです。

Q3. アニメーターとイラストレーター、年収が高いのはどちらですか?

公的な平均(job tag)ではほぼ同水準(アニメーター約497万円・イラストレーター約492万円)です。ただしお金の入り方が違うので単純比較は向きません。アニメーターは出来高(枚)、フリーのイラストレーターは単価(点)、会社員は固定給(時間)で決まります。

Q4. フリーランスのイラストレーターの平均年収は調べられますか?

アニメーターにはJAniCAの実態調査がありますが、フリーランスのイラストレーターには公的機関や業界団体の継続的な調査が見当たらず、公的な平均も会社勤めが中心です。そのため「自分の単価×受注数」で設計するのが現実的です。

Q5. 年収を上げるには何を変えればいいですか?

まず自分が「枚・点・時間」のどの単位でもらっているかを把握します。そのうえで、単価を上げる(指名・継続・上流へ)か、単位そのものを変える(1案件・1本いくらへ)かを選びます。打ち手が具体的になるので、やみくもに枚数だけ増やすより効きます。

まとめ|年収より先に「お金の入り方」を知る

アニメーターの年収を、出典のはっきりした数字で整理してきました。要点はこうです。

  1. 「平均年収」の一行を鵜呑みにしない。公的平均(約497万円)と現場の入り口(動画約228万円)は、見ている集まりが違うだけで、どちらも事実
  2. 職種(動画→原画→作画監督→監督)と年代で分けて見る。入り口は低く、続けて役割が上がると伸びる構造
  3. アニメーターは出来高(枚)、イラストレーターは単価(点)か固定給(時間)。同じ絵の仕事でも、お金の入り方の単位が違う
  4. 年収を上げる打ち手は「単価を上げる」か「単位を変える」かの2つに集約される

数字そのものに一喜一憂するより、自分がどの単位でお金をもらっているかを知ること。それが、腕一本で長く続けていくための、いちばん地味で確かな一歩だと思います。

この記事のテーマを深めるなら、手元に置いておきたいもの

そして、もし「単位を変える」ほうに興味が出たなら、絵を動かせるようになるという道があります。静止画の「1枚いくら」から、動画の「1本いくら」へ。描ける絵はそのままに、お金の入り方の単位を増やすという考え方です。何年もかけて別の職種になるのではなく、いま持っている画力の上に「動かす」を一つ足すだけです。

その足し方を、広告アニメーションの制作現場の視点で、イラストレーター向けに整理しています。自分の絵を深めながら、受けられる仕事の幅を少し広げてみたい方は、のぞいてみてください。

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