イラストレーターの転職

イラストレーターの就職・転職先|会社員で絵を描く仕事の種類

イラストレーターの就職・転職先。会社員で絵を描く仕事の種類。求人が出てこないのは探し方が違うだけ。5つの就職先と年収の目安。ペンタブでキャラを描く人・絵コンテを描く人・社内でバナーを作る人のコマ割りイラスト
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フリーランスを続けていて、ふとこう思うことはないでしょうか。

  • 毎月、来月の収入が読めなくて落ち着かない
  • 単価の交渉や請求のたびに消耗する
  • 安定した収入があれば、もっと落ち着いて描けるのに

それで「会社員として絵を描く仕事」を探してみると、今度は別の壁にぶつかります。求人サイトで「イラストレーター」と検索しても、正社員の募集がほとんど出てこない。

これは、絵を描く会社員の仕事が少ないからではありません。その仕事が「イラストレーター」という名前で募集されていないだけです。この記事では、会社員・正社員として絵を描ける就職・転職先にはどんな種類があるのか、年収の目安とあわせて整理します。

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「イラストレーター」という求人が少ない理由

まず知っておきたいのは、会社の中で絵を描く人の肩書きは、会社によってバラバラだということです。

同じ「キャラクターや背景を描く仕事」でも、ある会社ではグラフィックデザイナー、別の会社ではCGデザイナーや2Dデザイナー、ゲーム会社ならグラフィッカーやキャラクターデザイナーと呼ばれます。求人票のタイトルに「イラストレーター」という言葉が出てこないので、検索から漏れてしまうのです。

つまり、探し方を変えるだけで候補はぐっと増えます。「イラストレーター」ではなく、仕事の中身(キャラクター・背景・UI・販促物など)と、それを使う業種で探すのがコツです。

もうひとつ、求人サイトに出てこない募集があることも知っておいて損はありません。採用を公にしていない非公開求人や、「社内の雰囲気」「実際に任される絵の範囲」といった求人票からは読み取れない情報は、転職エージェントを通してしか手に入らないことがあります。クリエイター職の転職事情については、現役のキャリアアドバイザーに話を聞いた記事がありますので、あわせて読んでみてください。

では、業種ごとの就職・転職先を見ていきます。

会社員で絵を描ける就職・転職先の種類

会社員として絵を描ける就職・転職先は、おおまかに5種類。1ゲーム会社(キャラ・背景・UI、もっとも求人が多い)2広告・映像制作(絵コンテやアニメ素材、動きや構成まで関わる)3事業会社のインハウス(社内デザイナー、一社にじっくり関わる)4出版・教育(書籍・教材の挿絵、決まったテイストで安定して)5アプリ・Webサービス(アイコンやキャラ、画面に載る使える絵)

会社員として絵を描ける主な就職先は、おおまかに次の5つに分けられます。自分の描くものがどこで求められているかを、照らし合わせてみてください。

① ゲーム会社

もっとも求人が多い就職先です。キャラクター、背景、アイテム、UIなど、必要な絵の種類が多く、社内で絵を描く人を常に必要としているからです。会社の規模が大きいほど分業が進んでいて、キャラクター専門・背景専門といった形で、得意分野を活かしやすい傾向があります。

② 広告・映像制作会社

広告や動画のためのイラスト、絵コンテ、アニメーション用の素材などを作る仕事です。1枚絵だけでなく、動きや構成まで関わることが多く、幅広い絵のスキルが活きます。デザインと映像の両方に触れられるのが特徴です。

③ 事業会社のインハウス(Web制作・広報・販促)

一般企業の中で、自社サイト・SNS・販促物のための絵やデザインを作る仕事です。いわゆる社内デザイナー(インハウスデザイナー)で、絵だけでなくバナーや資料の制作も担当することが多いです。一社の商品やブランドにじっくり関われるのが魅力です。

④ 出版・教育

書籍・教材・雑誌の挿絵やカットを作る仕事です。編集部やデザイン部門に所属する形が多く、決まったテイストで安定して描ける力が求められます。

⑤ アプリ・Webサービス(UI/キャラクター)

アプリやWebサービスの中で使うアイコン、イラスト、キャラクターを作る仕事です。近年増えていて、画面に載せる前提の「使える絵」を作れる人が求められます。

年収の目安と、何で差がつくか

気になる年収ですが、就職先の業種と、会社の規模、担当する範囲で大きく変わります。求人情報や各種の解説を複数見ていくと、おおよその幅は次のようになっています。

  • 社内で絵を描く正社員の年収は、おおむね350万〜550万円が目安とされることが多いです
  • ゲーム業界はやや高めで、500万円前後、求人によっては600万円台という数字も見られます
  • 広告・販促系は会社や職種によって幅が広く、若手のうちは300万円前後から始まるケースもあります

ここで押さえておきたいのは、同じ「絵を描く会社員」でも、担当する範囲が広いほど評価されやすいということです。言われた絵を描くだけでなく、何を描くかを決める・複数人の絵の方向をそろえる・納期を管理するといった上流の仕事まで担えると、年収の上限が変わってきます。

これはフリーランスでも同じで、「1枚いくら」で受けている人と、案件全体を任されている人とでは、同じ画力でも収入の桁が変わります。会社員かフリーランスかという以前に、どの単位で仕事を任されているかが効いてくる、という話です。

就職・転職で見られるのは「ポートフォリオの揃え方」

会社に採用されるとき、見られているのは1枚の完成度よりも、ポートフォリオ全体の揃い方です。発注する側・採用する側は、次の3つを見ています。

  1. 一貫性 — テイストが揃っていて、安定して同じ品質を出せそうか
  2. 量産できるか — 1枚だけでなく、同じ世界観で何枚もそろえられるか
  3. 意図が読めるか — 何のための絵か(用途)が伝わるか

1枚のとびきりの力作より、平均点の高い10枚のほうが、会社員の仕事では評価されます。業務は「突出した1枚」ではなく「安定して出し続けること」で回っているからです。載せる枚数を増やすより、品質にばらつきのある絵を削るほうが効くこともあります。

受注につながるポートフォリオの考え方は、受注につながるポートフォリオの作り方でもくわしく扱っています。就職・転職の応募でも、考え方は共通しています。

ただし、会社に応募するときは、見せ方そのものが少し変わります。企業に出すポートフォリオは、表紙・プロフィール・目次をつけて1冊の本のように整え、1枚ごとに制作時間・使ったツール・コンセプトを書き添えるのが基本です。「作品を並べた写真集」ではなく、読んで中身が分かる1冊にするイメージですね。志望する会社の作風に合わせて載せる絵を入れ替えるだけでも、通過率は変わります。応募用の具体的な組み方は、転職のプロが解説している次の記事にまとまっています。

会社員・フリーランス・兼業、どれを選ぶか

最後に、就職そのものをどう位置づけるかの話です。フリーランスをやめて就職する、という二択で考える必要はありません。

実際、会社員として安定した月収を得ながら、副業で絵の仕事を続ける兼業という形に落ち着く人もいます。当サイトを運営する株式会社粕田屋の代表も、以前イラストを発注していた方が兼業になっていた話を、Xでこう書いていました。

案件が減り単価も下がって苦しくなった末の就職でしたが、本人は「不安が解消された」と話していたとのことです。就職は、絵をあきらめることではありません。収入の土台を安定させて、描き続けるための選択でもあります。会社員のメリットは、毎月の収入が読めること・社会保険や福利厚生があること・チームで大きな仕事に関われること。デメリットは、描くものを自分で選びにくいこと・時間の自由が減ることです。

どちらが正しいということはありません。今の自分が何に消耗していて、何があれば描き続けられるか——そこから、就職・フリーランス・兼業のどれが合うかを選べば十分です。

まとめ

会社員として絵を描く仕事は、思っているより多くあります。整理するとこうなります。

  1. 「イラストレーター」では求人が出てこない — 仕事の中身と業種で探す
  2. 就職先はおもに5種類 — ゲーム/広告・映像制作/事業会社のインハウス/出版・教育/アプリ・Webサービス
  3. 年収は業種・規模・担当範囲で変わる — 任される範囲が広いほど上がる
  4. 就職は「描き続けるための選択」 — フリーランスとの二択ではなく、兼業もある

収入の不安でペンが止まりそうなときは、就職や兼業で土台を安定させるのも、立派な生存戦略です。描くことをやめずに続けられる形を、自分のペースで選んでいきましょう。