イラストレーターのFLYACE(@FLYACE_JPN)です。
先日、大阪で参加作家 50 名規模のグループ展を企画しました!
RADMIXは8/4に無事終了しました!
12日間50名60作品以上ってゆうかなり無茶なイベントでしたが、みなさんのご協力で想像以上の盛り上がりになりました🔥 本当にありがとうございました!関わって頂けた皆さまに感謝です。
RADMIXは更にパワーアップしたvol.2を目指しますので、よろしくお願いします pic.twitter.com/Zqzmxp7Ows
— FLYACE アイコン替えました (@FLYACE_JPN) August 6, 2019
こんな感じのグループ展示会です!
今回はその経験をもとに「アートイベントの始め方」について書かせて頂きます。
- グループ展や展示会などアートイベントを企画してみたい
- 展示会に限らず何かイベントを企画したい
- イベント主催すると儲かるの?
- イベントに人を呼ぶためにはどうしたらいいの?
というクリエイターの参考になれば嬉しいです。
主催経験ゼロの初めてのアートイベント『RADMIX』
何かイラストレーターが集まるイベントをやりたいな、とは以前から漠然と考えてました。
いろいろ動機はあるんですが、SNS や Web で作品は公開して繋がっていくような日常に退屈さを感じてきていて、何かリアルのイベントで実感を得たい、みたいな飢えがあったんです。
既存のイベントに参加するのとは別に、ゼロからイベントを立ち上げたら面白さも大変さも、よりダイレクトに感じられたり、またクリエイターの方とも繋がりれたりするんじゃないか、と。
そういう自分の考えた「場」を作ったら、いろんな人が集まったり、作品を作るモチベーションに繋がったり、もしくは仕事にもなったりもするかもしれない。
これからの自分のイラストレーターの活動の一つに、そういう場があったらいいなと思ってました。
主な動機はこんな感じです。
- イラストレーター(クリエイター)の繋がりが欲しい
- 作品を公開する場所を作りたい
- ゼロからイベントを立ち上げてやりきる経験をしたい
ただイベントの主催なんてやったこともない。何から手をつけていいのかもさっぱりでした。
そんなある日、偶然別の仕事でギャラリーや貸しスペースを探す機会があって、たまたま大阪の新世界のギャラリー 1616 さんに足を運ぶことがありました。
ここが思ってたイメージにぴったりでその場で仮契約してしまいました。
まだ何の企画も考えていないのに。笑
開催 4 ヶ月前のことでした。
本来なら企画を考えてからギャラリーを選定するのが正しい流れかとは思います。。
それでは、私が主催した RADMIX (ラッドミックス)というイベントの作り方を解説していきます。
グループ展を主催するうえで決めること
企画タイトルを決める
タイトルの RADMIX は RAD(かっこいい)をとにかくたくさん集めてみたい、という理由で命名しました。
文字数的にも覚えやすいし、声に出した時の語感的にもいい!
個人的にはあんまり深く考えずキャッチーなのがいいと思います。
あと、ドメインとかTwitter のアカウントで使えるネーミングだとよりいいです。
開催場所を決める
今回は上述した通り、先に勢いで決めてしまいました。
インスピレーション大事!
参加人数や会期日程を決める
ギャラリーの壁の面積から展示できる作品数や参加費用を算出して、参加人数は約 50 名、期間は 12 日間に決めました。
開催期間中はいろんな人に足を運んでもらえるように、予算の許す限り長い方がいいと思ったので、ギャラリーのスケジュールとも相談して 12 日間に決まりました。
が、後から気づきましたがこれは結構長丁場です笑 もっと短くてもいいかも…
参加人数を 50 名にした理由としてはこんなかんじです。
- 一度にたくさんのいろんな種類の作品が観られる(RADMIXの企画趣旨に沿う)
- 告知や宣伝も 50 人分の拡散が見込めそう
- これ以上だと自分一人が管理するのも、お客さんが認識するのもムラがでそう
参加費は 1 点につき 3,500 円、1 人 2 点まで出展可能としました。
作品はもちろん販売可能ですが、成約時に 30%のマージン(手数料)をいただくことにしました。
作家の募集条件を決める
いろんな人に参加してもらいたいし観てもらいたいので、作風やジャンルなどは特に決めず、条件はとにかく RAD(かっこいい)なことだけにしました。
作家の募集開始
上記が決まったら簡単な募集画像を作って友人や参加してもらいたい作家さんに連絡していきます。
みなさんに興味を持って貰えたようで、あれよあれよと予定人数の 50 名には半月経たずに埋まりました。
今回が初めての企画にも関わらず有料でもあるのに、これは今考えてもありがたいことですよね。
あとは開催日まで 50 名の作家さん達のメーリングリストを作って、連絡事項をマメに(やりすぎにもならない程度に)連絡しつつ、ギャラリー側とも打ち合わせを重ねて準備を進めていきます。
これが地味に大変でしたが、やり取りを重ねる方が作家さん側の要望が聞けたり発見があるので面白かったです。大変でしたけど笑
作家さん達に「あれしてください、これしてください」ってお願いする連絡メールは、こまめにする必要はあると思うんですが、多すぎるとうざいのでタイミングを見て要所要所で送るようにしました。
また、こっちの要望を文面にすると往々にして長文になりがちなので、パッと見て内容が理解できるように要点をまとめたり、画像で補足したりして忙しくてもすぐ見てわかるようなメールになるように気をつけました。
自分が逆の立場だと長文のよくわからないメールがきたらまず後回しにしちゃうので。
タイトル、参加作家、日時、場所など全て決まって告知用の画像(フライヤー)を作りました。
グループ展の集客について
せっかくイベントを企画するならたくさんの人に来てもらいたいですよね。
今回のRADMIXでの集客についてはこんな施策を練りました。
- 参加する作家数を多くする
- SNSで告知する
- 物販ブースを設置する
- 自分と関係のあるメディアに宣伝してもらう
ひとつずつ解説していきます。
ちなみに、「フライヤーを刷って配布する」という王道な集客方法もありますが、
- 参加作家さんが開催地の大阪以外在住の方が半数以上だった(フライヤー配ってもらっても集客に結び付きにくい)
- コスト面や準備期間的に現実的じゃない
という理由で今回は最小限(ギャラリー近辺に配布する分)しかやってません。
参加する作家数を多くする
あえて50名と多めに参加作家さんを募ることで、各自の発信・拡散に期待しました。
参加作家さんのファンや、そこからのクチコミで広がっていけたら良いなと。
実際、来場者は、ふらっと来られる方よりも作家さん目当ての方がほとんどだったかと思います。
ただ初見さんへのアプローチも、もっとできたら良かったなと思います。
SNSで告知する
主催者である自分からの宣伝告知はSNSをマメに更新することだけやりました。
ツイッターとインスタのアカウントを作ってギャラリー内の様子や作家さんの作品を配信していました。
物販ブースを設置する
「作品を観る」以外の何かがあると、イベント自体の楽しみが増えて集客にも繋がります。
当たり前のことなんですけど展覧会となると結構見落としがちな点です。
RADMIX に関しては作家作家の希望者のみにグッズの物販を委託販売しました。
在庫やお金の管理が大変なので、物販は最後までやるか迷ったんですが、結果的に売り切れが出るものもあるぐらい好評でした。
売れることで作家さんにも売上を還元できる利点もあります。
物販以外にもライブペインティングや似顔絵、週末にはパーティーなど何か付加価値があるとお客さんは足を運びやすくなると思います。
こういう物販スペースがあると、お土産的に買って帰れる楽しみもできます。
自分と関係のあるメディアに宣伝してもらう
今まで仕事などでお世話になったメディア関係に宣伝してもらおうとメールを送ったりしたのですが、短い準備期間だったこともあり、どこも動いてもらえませんでした。。
こういう面でも準備期間はある程度確保した方がいいと思いました。
次回の目標としては、参加作家さんファンも見込みつつ、初見の方も取り込めるような宣伝活動もできたらなと思います。
次回に向けて改善したい点
12 日間の長〜い会期も大きなトラブルもなく無事終了しました。
最終日前日には作家さんも交えてのアフターパーティーを開くなど盛況のうちに終わることが出来てホッとしました。
改善点①平日の在廊はタイヘンです
これは当たり前なんですが、平日に在廊すると仕事にも影響が出たりなかなか大変です。笑
今回は凡ミスで常駐スタッフさんがいないギャラリーだったことに後から気づいたので、平日の在廊の負担がけっこう大きかったです。
よっぽど有名なギャラリーや企画じゃない限り客入りの 80%は土日に集中すると考えていいと思います。
なのでそれに合わせ会期日程を調整するか、平日もスタッフが常駐してくれるギャラリーを選ぶことをおすすめします。
改善点②準備期間は長い方がいい
これも当たり前といえば当たり前なんですが、長くじっくり準備できる期間があった方がいろんなアイディアを盛り込めたりしますので、準備期間は少なくとも半年以上はあった方がいい気がします。(ギャラリーのスケジュール的にも向こう半年はだいたい埋まってます)
改善点③参加者全員が共有できるような目的を作る
「ただ絵を展示する」意外に参加者全員が共有できるような目的があると、よりイベントとして参加者もお客さんも楽しめるものになったんじゃないかな、と思いました。
例えばありきたりですけど、
- コンペ形式で何か仕事に繋がるような仕組みにする
- テーマを設けて投票形式のコンテスト的な要素を持たせる
- 展示作品自体を購入できるプロダクト(T シャツとか)にする
そうすることで参加作家側のモチベーションも上がるんじゃないかな、とか思いました。
この辺りはまだまだいろんなやり方を発見できる気がしてます。
グループ展主催は儲かるの?
気になるお金事情についてですが、今回かかった費用はざっくりと
- ギャラリーのレンタル料(12日間)
- 設営、搬出の資材費用
- フライヤーやポスターなどの宣伝費用
- アフターパーティーの飲食代
で20万円ちょっとくらいでした。
参加作家さんには作品展示1点につき3,500円の参加費を頂いていて、60作品展示しているので21万円集まってますので、差し引きでいうとほぼトントンでした。
表面的にマイナスが出なかったのは良かったんですが、今回全日在廊する必要があったので、その分は自分の負担になってしまってます。汗
また、ほぼ土日に集客が偏ることが分かっていたら、会期を縮めてその分で捻出した費用を他に回せたはず。
など、意識してないところでいろんな支出が発生したりしますので、終わって清算して気付くこともたくさんありました。
お金についてはできるだけハードルを下げたいので次回はもっと改善したいです。
仕事に繋げられれば増収!
今回 SNS に限らずクライアントや友達などとにかく周りの人にも宣伝したので、久しぶりに連絡する機会にもなったりして、そこからまた仕事に繋がったりもしました。
また今回の参加作家さんのご紹介で別の企画にも参加させてもらえましたし、この『イラストレーター生存戦略』さんで記事にさせてもらえたのも仕事になったわけで。
一つの企画がいろんなところに波及していきました。
イベント自体で収益を狙うのもいいですが、そこからの展開を考えた方が面白い企画になるかもしれません。
やり終えた感想とイベントを企画したいあなたへ
今思うと本当に無謀な企画ではあったんですけど、思い切ってやってみて良かったと思いますし、やる前とやった後ではかなり心境も変わりました。
まず、「こんなことがやってみたい」って言い出したところからたくさんの作家さんに集まってもらえたことに感謝ですし、搬入、設営、搬出などもたくさんの作家さんに手伝ってもらえたことで実現させることが出来ました。
ここは妄想している一人の状態では到底出来なかったことですので、思い切って企画してみることでたくさんの協力を得られたことは大きな経験になりました。
当初の目標は達成できた
途中アフターパーティーなんかも開かせてもらったので、いろんな作家さんとも知り合うことが出来ましたし、イベント的にももっとこうすれば良かったと思うことたくさんありますが、「作品を発表する場を作る」という点では最初の目標はクリア出来たと思います。
また、主催することで客観的に「作家さんやお客さんに喜んでもらうにはどうすればいいか」を考える機会になったこともいい経験になったと思います。
相手の望むことを推察することは普段のイラストレーターの仕事にも活かせられるんじゃないかな、とか思ってます。
行動してみるといろいろ変わります
50 人規模とまでいかなくても、友達同士のグループ展とか、土日だけの展示会とか、何かやってみたいと思ったらできる範囲でまずやってみることをおすすめします。
やってみて思いましたけどお金の問題が多少ある程度で、それ以外ほとんどリスクがない気がします。
たとえ最悪失敗したとしても「この方法じゃなかった」ことがわかるので、失敗でもない気がします。
自分も RADMIX は改良を加えて第二段を企画中です。
最後に、真夏の開催は体力的にかなりきついし、客足にも影響した気がするのであんまりおすすめしません!笑
設営やイベント中の模様などFLYACEのブログの方でも記事を書いてますのでご興味あればご覧ください!