イラストレーターの営業

イラストレーターが海外クライアントから仕事を依頼されるための営業方法と準備

イラストレーターが海外クライアントから依頼されるために

ABOUT US

El Pino
フリーランスイラストレーター。制作会社・アパレルブランドを経てフリーランスに。 映画とアメコミが好きなのでいつかアメコミ絡みの仕事がしたいです。好きなヒーローはアイアン・フィストとタンク・ガール。 BASEでグッズ販売中!ココナラでイラスト制作承ってます!
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はじめまして。フリーランスイラストレーターのEl Pinoと申します。

アメコミ・カートゥーン風タッチとヴィンテージ風タッチのイラストを得意とし、国内外問わずさまざまな媒体で活動しています。

  • 海外のお仕事を請けてみたいけど、どこから手を付けたら良いのかわからない。
  • 海外のお仕事に興味があるけど、英語力に自信が無い

という方も多いかと思います。

私自身もそうで、今も良い方法を模索している最中ではありますが、

  • 海外からの仕事を受注するために私が実践してきた営業方法
  • 海外のクライアントのお問合せから受注、納品までの事

を私の経験から簡単にお話ししたいと思います。

ワールドワイドにイラスト制作の仕事を受注したいと思っているあなたの参考になれば幸いです。

 

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instagramで海外クライアントにゆるく営業する方法

数年前まではdeviantART経由でのお問合せが比較的多かったのですが、最近ではめっきり減ってinstagramからのお問合せが圧倒的です。

また、twitterはどうしても文字情報がメインになってしまうように思いますので、私は「イラストを見てもらう」という事を意識してinstagramを中心に利用しています。

ここでは自分からは営業せず、あくまで「なんとなく見てもらえる方法でお問合せがくれば良いな」というスタンスでのゆるい営業のお話しをします。

 

ハッシュタグを活用せよ!

多くの方が既に実践している事かとは思いますがハッシュタグは最大限活用しましょう。

イラストの内容に則したハッシュタグを英語で入れる事は当然ですが、その時々で盛り上がっている絵描き向けのハッシュタグに乗ってみるのも良いかと思います。

少し前ですが「私のオリキャラをあなたのタッチで描いてみて!」という内容の“#drewthisinyourstyle”というハッシュタグが盛り上がっていました。

その他には私も出来るだけ参加するようにしているのですが、毎年10月にインクを使って描いたイラストを10月の間毎日投稿する“#inktober”(※1)や、10月の間毎日モンスターの絵を投稿する “#drawlloween”(※2)というハッシュタグも盛り上がります。

この二つは出来るだけ毎日描いて投稿するチャレンジなので絵の訓練にもなります。

これらのハッシュタグはTwitterでも使われていますので、Twitterをメインにされている方も是非挑戦してみて下さい。

※1 inktober:”31days, 31drawings”をコンセプトに米国のイラストレーターJake Perker氏が2009年に自身のスキル向上の為にスタートしたチャレンジ。
年々参加するアーティストが増えている。毎日のテーマは自由だが、公式で毎日のテーマも設定しており9月中に発表されるのでテーマに沿って描くのも楽しい。
mrjakeparker.com
inktober.com

※2 #drawlloween:米国のグラフィックデザイナーBrian Soria氏が2012年に上記inktober同様のドローイングチャレンジとしてスタートした。
テーマについてもinktober同様に公式が9月中に発表しているが基本的には自由。
briansoria.net
drawlloween.blogspot.com

 

ファンアートでアピールをせよ!

また、私はたまに映画やバンドの似顔絵なども自分のタッチで描いて投稿するのですが、そういったファンアートを投稿する時には本人に見て頂けるようタグ付けしています。

初めは本人へのタグ付けは図々しいような気がして少し抵抗がありましたが、見てもらえなければ何にもならないと思いタグ付けするようにしました。

実際に本人に見てもらえるだけでなく、お仕事に繋がる事もありましたのでバカにはできないと思います。

一方で肖像権や著作権の問題が起きる可能性もゼロではないので注意も必要ですが、大抵の場合リポストしていただけるなど何かしらポジティブな反応が頂ける事が多いです。

 

プロフィール文を海外向けにも用意せよ!

見てもらう機会が増えたとしても、次に問題になるのがプロフィールです。

「SNSプロフィールもポートフォリオサイトも全部日本語」だとどうしても海外からのお問合せに繋げるのは難しいので、出来るだけ英語併記しましょう。

私はinstagramは全て英語、ポートフォリオサイトを英語併記にしていますが、「大まかに伝わればいいかな。(伝わってますよね…?)」くらいの感覚で英文プロフィールを作っています。

ゼロから英文プロフィールを書くのは難しいので私の場合は自分と似た方向性や、目指している方向性に近いイラストレーターさんのサイトからプロフィールの文章の構成や表現を参考にして文章を作っています。(※3)

※3 私はHire An Illustratorというサイトから色々なアーティストさんのサイトを見て参考にしています。

 

海外案件受注の為にする準備

書類は英語テンプレートの用意を!

海外からのお問合せの有無にかかわらず請求書や見積り書、工程表など普段の仕事で使う書類については英語版のテンプレートを事前に準備しておくと効率的です。

既に日本語版のテンプレートを持っている場合は語句を英語に置き換えるだけで体裁は整いますので、手の空いた時に作ってみると良いでしょう。

これからフリーランスとして働くことを考えていてまだテンプレートを持っていないという方も是非日本語の書類テンプレートを用意する際にあわせて英語版も作ってみて下さい。

工程表については、ガントチャートだと英文の記入がしやすく且つ視覚的にわかりやすいので多少説明に自信が無かったとしても伝わりやすいかと思います。

相手から見ると私は「直接会って人となりを確認する事が難しく、たどたどしい英語を話す謎の日本人」ですので、せめてお渡しする資料くらいはしっかりしたものを用意して信頼して頂けたら嬉しいなという思いがあります。

 

報酬振込みはPaypal口座で!

また、事前にPaypalの口座は作っておくと便利だと思います。

私はフリーランスになって初めて海外のお仕事を請けた際にPaypal口座を持っていなかったのでギャラは銀行口座に入金して頂いてました。

でも、国際送金の為のSWIFTコードを調べて、口座番号を連絡して…と入金先を伝えるだけでも手間がかかり、また先方にご負担頂く送金手数料も高いという問題がありました。

ちなみに私はこのお客様から2回目にご依頼頂いた際に手数料の事を指摘され慌ててPaypal口座を開設しました。

その一方でPaypal口座さえあれば問題無いというわけでもなく、Paypal Japanが対応していない国や通貨もあるので確認は必要です。

 

海外クライアント受注の難しさ

私の場合、お問合せ件数に対し受注に至る件数は残念ながらかなり少ないです。

上記のようにPaypal非対応で入金方法の目処が立たずというケースもありましたが、様々な国や地域からお問合せがあるので物価や様々な事情の違いで(ある程度は相手の要望に合わせるとしても)折り合いをつけるのが難しいという事があります。

もちろん条件的に厳しかったとしてもせっかくイラストに興味を持ってコンタクトしてくれているのでやってみたい案件であればチャレンジしてみるのも良いかと思います。

 

英語力について

私の英語力は中高の6年間と大学1~2年の授業で勉強した程度、留学経験もありません。

それでも案外何とかなっています。恐らく相手から見ると変な英語になっていたりセンテンス毎に文体が違っていたりするのでしょうが、悩んだところでどうしようも無いのでそこは開き直るしかありません。

私は大抵初めてのやりとりの際に

  • 自分は英語が得意ではない
  • 稚拙な文章だけど伝わっていると嬉しい

といった事を文末に一言書いておくようにしています。

あらかじめ伝えておくと相手もある程度平易な言い回しをしてくれるようになる事が多いのでかなり助かります。

また、多少文章が難しかったとしてもGoogle翻訳などを駆使すればある程度相手の言っている事のアウトラインは把握出来ます。

それでも意味を取り違える事やニュアンスが伝わってこない事は起きます。そういった時や、くだけた言い回し・略語などのわからない事は放置しない方が無難です。

誤解があるまま進めて後で修正が嵩む方が相手にも迷惑がかかるので、私はなるべく早く確認・質問するようにしています。

簡単な質問であればEメールではなくSNSのDM機能でさっと質問してさっと答えてもらう事が多いです。

 

言葉の壁をイラストは越える!

次にこちらからラフを提案する段階など、こちら側から相手に英語で説明する必要がある場合「しっかり意図を伝えないといけない」と肩に力が入ってしまいますが、ラフのイラストを添えて相手に連絡する事になるので、私が中途半端な英語で説明をするよりもイラスト自体が多くの情報を示してくれます。

説明が必要な箇所かがあれば矢印を引っ張って箇条書きでイラストを補助する程度の簡単な文章を添えれば何とかなる事が多いです。

もちろん文章で説明出来るならそれに越した事は無いので、私もなるべく文章で説明出来るようチャレンジし、出来るだけ英語に触れるように意識しています。

絵で伝えられるイラストレーターは海外のクライアントと仕事がしやすい職種なのかもしれません。

 

海外のクライアントと仕事をするメリット/デメリット

海外の企業や個人からの依頼を受ける一番のメリットは国内の案件とは違う刺激が得られるという事だと思います。

私の経験上ストレートに誉めて頂ける事が多く、良い刺激になりモチベーションも向上しますし、ポートフォリオに海外案件が入っていると少し箔がつき「自分のイラストが海外でも受け入れられた」という事で自信にもつながります。

デメリットとしては、webコンテンツであれば問題ありませんが、印刷物などの場合「せっかくイラストを納品してもなかなか実物を目にする事が出来ない。」という事があると思います。

実物をサンプルとして送ってもらえた場合は大いにアピール出来ます。

そうでない場合でも先方から写真を送ってもらったりネットで探したりして実績として見せる事は出来ます。

また、長文メールのやりとりが多くなるとどうしてもメールを書く時間が同じ内容を日本語で書く場合の2倍3倍とかかってしまいます。

ここは語学力の問題なので個人差が出る部分かとは思いますが、私は「ギャラを貰ったうえに英語の勉強も出来る」と前向きに捉えています。

つまり私はこれと言ってデメリットを感じていません。

 

英語が不安なら翻訳してもらうのもアリ!

スキルを売り買いできるWEB上のフリーマーケットココナラなら語学堪能な方々が翻訳サービスを出品しています。

しかも結構安く利用できるのでプロフィール文作成など自信がない場合はお願いしてみてはいかがでしょうか?

 

おわりに

語学力に自信が無かったり海外のビジネスへの知識が無いとき、海外案件を受ける体制を取るだけでも勇気がいるし戸惑う事だらけだとは思います。

私自身まだまだ未熟で国内外関係無く仕事では苦戦する事だらけで日々戸惑いと失敗の連続です。

それでもとにかく根拠の無い自信と多少の厚かましさで一歩踏み出してみると案外どうにかなるものだと思います。

この文章が何かしら参考になり、少しでも踏み出すためのきっかけになれば幸いです。