イラストで副業を始めようと思って調べてみると、こんな言葉が並びます。
- 「ストックイラストを登録して放置で稼ぐ」
- 「SNSで発信してファンから依頼をもらう」
- 「クラウドソーシングで案件を受ける」
どれも間違ってはいないのですが、いざ始めようとすると「結局、自分は何から手をつければいいのか」で止まってしまう。時間は限られているのに、あれもこれもと手を出して、どれも中途半端になる——。副業を始めたばかりの人から、いちばんよく聞く悩みです。
この記事では、イラストの副業でよく挙がる「素材販売」「SNS発信」「受託」の3つを、「お金がどういう単位で入ってくるか」という視点で比べます。単位が分かると、自分がどれから始めるべきかも、どこで単価が上がるのかも見えてきます。発注する側(広告制作会社)として日々イラストレーターに仕事を依頼している立場から、現場の実感も交えてお話しします。
イラスト副業の入り口は、大きく3つ

やり方は無数にあるように見えますが、お金の入り方で整理すると3つに集約されます。
- 素材販売(ストックイラスト)— 作った絵を素材サイトに登録し、誰かがダウンロードするたびに報酬が入る
- SNS発信 — 作品を投稿してファンや依頼主を集め、そこから依頼やグッズ販売につなげる
- 受託 — クラウドソーシングや直接の依頼で、「この絵を描いてほしい」という注文を受けて納品する
ポイントは、この3つは「どれが正解か」ではなく、お金が入ってくる仕組みがそれぞれ違うということです。まずは1つずつ、相場も含めて見ていきます。
① 素材販売|「使われるたびに入る」ストック型
イラストACやPIXTA、Adobe Stockといった素材サイトに絵を登録しておき、誰かがダウンロードするたびに報酬が発生する仕組みです。
1ダウンロードあたりの単価は、一般的にはサイトによって数円から百数十円ほどとされています。無料ダウンロード型のサイトは1回あたり数円と小さく、有料販売型のサイトは1点で百数十円になることもあります。1回の金額は小さいですが、登録した絵が増えるほど、また時間が経つほど、ダウンロードの総数が積み上がっていきます。
収入の目安としては、始めたばかりの時期は月に数千円、点数を増やして続けた人で月5万〜10万円ほどという声が多く見られます(いずれも一般的に言われている水準です)。
向いているケース
素材販売の強みは、一度作った絵が、寝ている間も働いてくれることです。納期に追われず、自分のペースで描き溜められます。本業が忙しい人の「並行して積み上げる資産」として向いています。
逆に短所は、成果が出るまでに時間がかかること。数十点では動きが鈍く、数百点の規模になって初めてまとまった収入になる世界です。「今月いくら欲しい」という即効性はありません。
ただ、時間をかけて積み上げた在庫は、見直し方次第でもう一度お金を運び始めます。9,000点の在庫を棚卸しして売上を立て直したストックイラストレーターのマツさんのnoteを、当サイトを運営する株式会社粕田屋の代表が紹介していました。

ストックサイト以外にも「描いた絵を売れる場所」はある
素材として売る先は、ストックイラストのサイトだけではありません。たとえばEtsy(エッツィ)は、ハンドメイド品やデジタルデータを世界中の人に販売できるマーケットです。イラストなら、印刷して使う塗り絵・切り抜きシート・ポスター用のアートなどをデータで出品できます。
ストックサイトとの違いは、「何に使える素材か」を自分で商品として設計して、値段も自分で決められることです。そのぶん、売れ筋を調べてから作るリサーチが欠かせません。粕田屋の代表も副業時代に、子ども向けのゲームシートや切り抜きシートを出品していたそうです。

② SNS発信|収入そのものではなく「入り口」
X(旧Twitter)やInstagramに作品を投稿し、気に入ってくれた人から依頼を受けたり、グッズを買ってもらったりする方法です。
SNS経由で受ける依頼は、内容によって幅がありますが、1件あたり5,000円〜10万円程度が一般的な相場とされています。アイコン1枚のような小さな依頼から、しっかりしたキャラクター制作まで含めての幅です。
ただ、現場の実感として押さえておいてほしいことが2つあります。
- SNSは「収入源」ではなく「集客の入り口」です。投稿そのものがお金になるわけではなく、そこから受託や販売につながって初めて収入になります。SNSは②だけで完結せず、①や③とセットで効いてくるものだと考えてください。
- フォロワー数と受注は、必ずしも比例しません。発注する側は、バズっているかどうかより「頼みたい絵柄か」「連絡が取れて納期を守れるか」を見ています。フォロワーが少なくても、作風と実績がはっきりしていれば依頼は来ます。
また、SNS経由の依頼は相手の素性が分かりにくく、条件のすれ違いやトラブルにつながることもあります。募集しているアカウントが信頼できるか、支払い条件は明確か、を確認してから受けるのが安全です。
③ 受託|「1案件いくら」で単価が上がりやすい
クラウドソーシング(クラウドワークス、ランサーズ、ココナラなど)や、企業・制作会社からの直接の依頼で、注文を受けて描く方法です。3つの中で1件あたりの金額がいちばん大きくなりやすいのがここです。
種類別の相場は、一般的に次のように言われています。
| 依頼の種類 | 1点あたりの目安 |
|---|---|
| アイコン | 数千円〜3万円ほど(簡単なものはクラウドソーシングで1,000円台〜) |
| 挿絵・カットイラスト | 1枚3,000円〜 |
| キャラクターデザイン | 2万〜10万円ほど(三面図・表情差分・設定資料まで含めると上限寄り) |
制作会社を通したしっかりした案件になると、イラスト1点で3万〜10万円以上になることも一般的とされています。
受託の良いところは、実績が積み上がるほど単価を上げやすいことです。「前回この価格で、この品質で、この納期で納めた」という事実が、そのまま次の交渉材料になります。素材販売やSNSと違って、相手の顔が見え、継続の依頼につながりやすいのも特徴です。
短所は、納期と修正に自分の時間を直接使うこと。本業のある副業では、受けられる件数に上限があります。だからこそ、あとで触れる「1件あたりの単価をどう上げるか」が効いてきます。
3つを「お金の単位」で並べてみる
ここまでの3つを、お金がどういう単位で入ってくるかで並べると、性格の違いがはっきりします。
| お金の単位 | 向いている役割 | |
|---|---|---|
| ① 素材販売 | 使われるたびに入る(ストック) | 時間をかけて積む資産 |
| ② SNS発信 | 直接は入らない(集客の入り口) | ①③につなぐ土台 |
| ③ 受託 | 1案件いくら | いちばん単価を上げやすい本命 |
この「単位」の考え方は、副業に限らずイラストで食べていくうえでの根っこになる話です。当サイトを運営する株式会社粕田屋の代表も、Xで同じことを書いていました。
同じ「イラストレーター」なのに、年収300万円の人と1,000万円の人がいる。
この差は、画力や手の速さよりも「何の単位でお金をもらっているか」のほうが大きいと思っています🤨
・1枚いくら → 描いた枚数が上限
・1案件いくら → 案件の大きさで上限が上がる
・使われるたびに入る →… pic.twitter.com/9DUPzR1C49— イラストレーター生存戦略の粕田 (@ksd_illust) September 26, 2026
「1枚いくら」から「1案件いくら」へ、さらに「使われるたびに入る」へ。同じ絵の力でも、どの単位でお金をもらうかで、行ける高さが変わります。
では、何から始めるか
結論から言うと、時間が限られている副業なら、③の受託を軸に、②のSNSで入り口を作り、①の素材販売を資産として並行させる——この順番が現実的です。
- まずSNSで作風を見える形にする(②)。投稿そのものを収入にしようとせず、「この人にこういう絵を頼める」と分かるアカウントとポートフォリオを用意する。これが依頼の入り口になります。
- 受託を1件ずつ受けて、実績と単価を上げる(③)。小さな案件でも、納期を守って納品した実績は必ず次につながります。副業は件数を増やしにくいぶん、1件あたりの単価を上げる方向に力を使うのが効率的です。
- 空いた時間で素材を積む(①)。受託で描いたものの派生を素材化するなど、手を止めている時間も働いてくれる仕組みを少しずつ増やします。
3つは競合しません。SNSで集めて、受託で稼ぎ、素材で積む。役割を分けて組み合わせるのが、副業の限られた時間でいちばん無駄が出ないやり方です。
受託の「単位」は、もう一段上げられる
受託を軸にすると決めたとして、ここでもう一歩踏み込みます。同じ受託でも、単価の単位はもう一段上げられるからです。
「イラスト1点いくら」で受けている仕事に、「動き」を1つ足せると、受けられる案件が変わります。企業のサービス紹介動画、商品のWEB CM、SNS用のショート動画——こうした案件は、そもそも「1枚いくら」ではなく「1本いくら」で動くため、単価の桁が変わってきます。
そして、いま広告の制作現場では「絵も描けて、動かせる人」が足りていません。イラストを外注し、別の人に動かしてもらう分業には手間もコストもかかるので、1人で両方できる人に仕事が集まります。絵が描ける人は、その位置にいちばん近いところにいます。
「アニメーションは自分には無理」と思うかもしれませんが、広告で使う動きの多くは、描いた絵のパーツを分けて動かす手法が主流で、何百枚も描くわけではありません。イラストレーター向けに最短ルートを設計した講座として、粕田屋は AdAnimeSTUDIO を運営しています。副業の受託を、もう一段上の単価で受けたくなったときの選択肢として知っておいてください。
まとめ
イラストの副業は、手段の多さに迷いがちですが、お金の単位で見れば3つに整理できます。
- 素材販売=使われるたびに入る(時間をかけて積む資産)
- SNS発信=直接は入らない(受託・販売につなぐ入り口)
- 受託=1案件いくら(いちばん単価を上げやすい本命)
限られた時間で始めるなら、SNSで入り口を作り、受託を軸に単価を上げ、素材を並行して積む。そして受託は、絵に「動き」を1つ足すことで、単価の単位そのものをもう一段上げられます。
どれか1つに賭けるのではなく、役割を分けて組み合わせる。これが、副業の時間をいちばん無駄なく収入に変える考え方です。
副業でイラストを描くとき、いちばんもったいないのは、時間ではなく「どの単位でお金をもらうか」を決めないまま手を動かしてしまうことです。素材で積むのか、受託で1件ずつ上げていくのか。決めるだけで、同じ作業量でも行ける場所が変わります。
そして、その単位は絵に「動き」を1つ足すだけで、もう一段上げられます。次の一歩を探しているなら、下のバナーからのぞいてみてください。
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