イラスト上達法

ペン画がうまくなりたいイラストレーターへ。天才5人の画集と、線の技法・道具・練習法まとめ

ペン画の天才アイキャッチ
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カスダ(@kasudatatsuya)です。

僕はペン画が好きで、自分でも時々描きます。

よかったらフォローしてもらえると嬉しいです^^ちょくちょく作品をあげてます→@kasudatatsuya

 

「ペン画を描いてみたいけど、線がうまく引けない」「どうしても自分の絵は平坦になってしまう」「そもそも何を参考にすればいいのか分からない」。

ペン画に憧れて描き始めた人の多くが、このあたりでつまずきます。でもこれは、センスや才能の問題ではありません。ペン画は、良い画面をどれだけ浴びたかで伸び方が変わる世界だからです。

というわけでこの記事では、

  • ペン画に必要な道具(まずはこれだけ)
  • 僕が参考にしてきたペン画の天才5人と、その良書(画集)
  • 線で濃淡をつくる4つの基本テクニック
  • 上達が早い練習のコツと、よくある質問

をまとめて紹介していきます。技法書で手順を覚えるのも大事ですが、僕は天才の描く画面から直接学び取ることを一番オススメしたいです。

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そもそもペン画とは?今あえて学ぶ理由

ペン画は、鉛筆のようにぼかしや消しが使えないぶん、線の強弱・向き・重なりだけで濃淡や質感を表現する絵のことです。一本一本が消せない一発勝負だからこそ、独特の緊張感と力強さが生まれます。

デジタルが当たり前になった今でも、ペン画的な線づくりの感覚は強い武器になります。CLIP STUDIO PAINTなどで線画やペン入れをするときも、結局は「どの線を太くして、どこに影を集めるか」というペン画の判断がそのまま効いてくるからです。アナログでペンの感覚を掴んでおくと、デジタルの線にも芯が通ります。

ペン画に必要な道具(まずはこれだけ)

最初から道具を揃えすぎる必要はありません。ペン画でよく使われるのは、大きく分けて次の2系統です。

  • ミリペン(ドローイングペン)…サクラの「ピグマ」やコピックの「マルチライナー」など。0.05〜0.8mmと太さが分かれていて、線幅が安定するので初心者が最初に握るのに向いています。
  • つけペン(Gペン・丸ペン)+製図用インク…力の入れ方で極細から極太まで出せるのが魅力。コールや伊藤彦造のような強弱のある線を目指すならこちら。漫画のペン入れでも定番です。

紙はまずはコピー用紙やケント紙で十分です。鉛筆と消しゴムで薄くラフを描いてから、その上をペンでなぞる。これだけで「消せない不安」はかなり減ります。

どのペンを選ぶかは描きたい線で変わるので、僕が実際に使っているペンは別の記事で詳しく紹介しています。

参考までに、僕が長く使っているつけペンと製図用インクも置いておきますね。

ペン画が上手くなる一番の近道は「天才の画面を浴びること」

道具が揃ったら、次は目を肥やすことです。ペン画は線の判断の連続なので、「うまい線とは何か」を目が知らないと、手はそこへ向かいません。

技法書も役立ちますが、僕がそれ以上にオススメしたいのは、天才が描いた画集を、線の1本1本を追いかけるように眺めること。ここからは、僕がこれまで本気で参考にしてきたペン画の天才を5人、彼らの良書(画集)といっしょに紹介します。まずは全体像をどうぞ。

ペン画の天才5人早わかり(J.C.コール/アレックス・ニーニョ/メビウス/伊藤彦造/井上雄彦の時代・画風・学べる点の比較表)

Joseph Clement Coll(ジョセフ・クレメント・コール)

ペン画の巨匠ジョセフ・クレメント・コールのイラスト

ペン画の巨匠といわれたイラストレーターです。

とにかく極細線から極太線まで縦横無尽に操り、大胆に重ねられた線が生き生きとしています。

ベタ部分にも細かく表情が描かれていて、画面の隅々まで見入ってしまいます。

ジョセフ・クレメント・コールのペン画作品

縁を線で囲って描く日本的な描き方とは違って、ザクザクと面を形取っていく描き方です。ペンでデッサンしている感じでしょうか。

オススメしたいのは「JOSEPH CLEMENT COLL -A LEGACY IN LINE-」という画集。

ちょっと値段は張りますが、掲載されている絵は超ボリューミーです。

そのひとつひとつを大きく繊細に見ることができますので、線の1本1本を追いかけるように観察するととても勉強になりますね!

Alex Nino(アレックス・ニーニョ)

アメコミアーティスト、アレックス・ニーニョのペン画

こちらはJoseph Clement Collと比べて、より漫画感の強い絵を描くフィリピン出身のアメコミアーティストです。

白と黒のバランス感覚が抜きん出ていて、切り絵のような独特なベタとペンタッチのハーフトーンが魅力的です。

また、アレックス・ニーニョというと、そのぶっとんだ色彩感覚も評価されていますので、ぜひそちらも見ていただきたい!

アレックス・ニーニョのカラー作品

そこでオススメなのが「THE ART of ALEX NINO」という画集です。

唯一無二のペン画が多数掲載されていて、かつ後半に少しカラー作品も載せてあります。

漫画作品も一部あります。全編英語ですが、意味が分からなくても、ただ絵を見ているだけで面白いです。

MOEBIUS(メビウス)

フランスの漫画家メビウスのペン画

言わずと知れた、世界中に影響を与えたフランスの漫画家メビウスです。

宮崎駿、鳥山明、浦沢直樹、荒木飛呂彦、大友克洋、寺田克也、松本大洋……などなど、日本の名だたる漫画家たちも影響を受けまくっています。

想像力・世界観が卓越していて、それを繊細な描写力で描いた作品は、見るものを圧倒します。

誰も見たことが無い世界を、この人は知っているんです。きっと。

メビウスの繊細なペンタッチの作品

メビウス(別名義:ジャン・ジロー)作品はすべて見てほしいのですが、ペン画のススメというところでひとつ挙げるのであれば

「MOEBIUS 40days dans le desert B砂漠の40日間」でしょうか。

この画集はひとつの物語になっているのですが、信じられないことに、全編下書きなしの一発描きで、修正もなしで仕上げられたらしいです。

シンプルなのに独特で不思議なペンタッチは、まさに神業です!

伊藤彦造(いとう ひこぞう)

日本ペン画のレジェンド、伊藤彦造の挿絵

日本ペン画のレジェンドです。なんと剣豪・伊藤一刀斎の末裔で、自らも剣の師範だったとか。漂うバガボンド感……!

2004年に100歳の天寿を全うされました。でも、まったく古さを感じさせない格好いい作品を残されています。

当時はスクリーントーンのような便利な道具が無かったはずですが、今では普通にトーン処理をするような表現を、ペンタッチで細かく描写していて圧巻です。

繊細なタッチが織りなす陰影は、まさに一級品。

伊藤彦造の細密なペン画

オススメしたいのは「伊藤彦造イラストレーション」。

昭和初期〜昭和45年頃に描かれた挿絵を中心に掲載されています。

ときどき「あれ……?バガボンド?」とならざるを得ないほど格好良く、古臭くない画集です。井上雄彦ファンも満足できるはず。

井上雄彦(いのうえ たけひこ)

天才漫画家・井上雄彦の力強い線

伊藤彦造先生の流れでぜひ。まあ、ご存知の方も多いでしょうが。

バスケ漫画の金字塔「スラムダンク」や、連載中の「バガボンド」「リアル」など、名作を生み続ける天才漫画家です。

僕の青春は、イノタケ先生とともにありました。

井上雄彦のバガボンド画集の筆致

ペン画というテーマから少しそれてしまいますが、紹介したいのは「バガボンド画集 墨」。

『バガボンド』は14巻あたりからペンではなく筆を使って描かれているので、正確にはペン画ではないかもしれません。ですが、その一筆一筆が格好良くてやばいです(ペン画作品も掲載されています)。

線で絵を立ち上げるという意味では、ペン画を学ぶ人にも大きなヒントになります。

ペン画の線づくり|4つの基本テクニック

天才たちの画集を眺めていると、やっていることは意外とシンプルだと気づきます。線の濃淡は、おもに次の4つの引き出しの組み合わせで作られています。

ペン画の4つの基本テクニック(ハッチング/クロスハッチング/点描スティップリング/輪郭線の強弱)の図解
  1. ハッチング…一定方向に平行線を並べて濃淡を出す、いちばんの基本。線の間隔を詰めると暗く、空けると明るくなります。
  2. クロスハッチング…ハッチングを角度を変えて重ねる技法。層を増やすほど深い影になり、立体感が出ます。コールはこれが神がかっています。
  3. 点描(スティップリング)…点の密度で明暗を表します。時間はかかりますが、やわらかく繊細な質感に向いています。
  4. 輪郭線の強弱…同じ一本でも、力を抜く/込めるで太さが変わります。手前や影側を太くすると、線そのものが生き生きします。つけペンが活きる場面です。

まずはこの4つを、一つずつ四角いマスを塗りつぶす練習から始めると、濃淡のコントロールが一気に安定します。

ペン画が上手くなる練習のコツ

道具とテクニックが分かったら、あとは手を動かすだけ。遠回りに見えて効く順番は、次の通りです。

  • まずは線に慣れる…均一な直線、筆圧を変えた線、曲線、重ね線。この4つをウォーミングアップに。消せないペンの感覚に、手を馴染ませます。
  • 鉛筆ラフ→ペン…いきなり本番を描かず、鉛筆で薄く構図とバランスを決めてからペンを入れる。これだけで失敗が激減します。
  • 天才の画集を模写する…ここで上の5冊が効いてきます。うまい線をなぞることで、「どこを太くして、どこにベタを置くか」という判断が体に入ります。
  • 毎日少しずつ続ける…一度にたくさんより、短くても毎日。線の判断は反復でしか速くなりません。

ペン画のよくある質問(FAQ)

Q. ミリペンとつけペン、どっちから始めるべき?

まずは線幅が安定するミリペンからで大丈夫です。濃淡や強弱に物足りなさを感じてきたら、Gペンや丸ペンといったつけペンに進むと、表現の幅が一気に広がります。

Q. 消せないのが怖くて手が止まります。

鉛筆で薄く下描きをしてから、その上をペンでなぞれば大丈夫です。最初のうちは下描きを濃いめに取り、慣れてきたら少しずつ減らしていきましょう。

Q. デジタルでもペン画っぽく描けますか?

描けます。CLIP STUDIO PAINTなどのペンブラシは、強弱やかすれをかなり再現できます。ただし「どこを太くするか」という判断自体はアナログと同じなので、アナログで一度ペンの感覚を掴んでおくと、デジタルの線にも芯が通ります。

Q. 独学でもイラストの仕事にできますか?

ペン画そのものは独学で十分伸ばせます。ただ、それを仕事につなげるとなると、見せ方や発注者の目線といった別の技術も必要になってきます。描く力と届ける力は、分けて考えると近道です。

まとめ

いかがでしょうか。この記事が、気になるアーティストや、描きたい線との出会いの場になれば嬉しいです。

最後にもう一度だけ整理すると、ペン画の上達は①道具を絞る → ②天才の画集で目を肥やす → ③4つの線テクを手に入れる → ④毎日少しずつ描く、この順番がいちばん遠回りがありません。

さらに、下書きなしで筆ペンを使ったライブドローイングを描きあげる天才、キム・ジョンギさんの紹介記事も書いています。ペン一本で世界を驚かせた人なので、よかったらこちらもどうぞ^^

今回ご紹介した天才たちは、ペン画を描くなら間違いなく押さえておきたい方々です。ぜひチェックして、たっぷり画面を浴びてみてくださいね!