イラストレーターのなり方

イラストレーターの仕事内容|依頼から納品までの流れ・仕事の種類・描く以外にやること

イラストレーターの仕事内容
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「イラストレーターになりたい」と思ったとき、ふと手が止まる瞬間があります。好きな絵を描いて暮らせたらいいな、と思う一方で、実際の毎日が想像できないからです。

  • イラストレーターが1日中ずっと絵を描いているのか、それとも描く以外の仕事も多いのか分からない
  • 依頼を受けてから納品するまで、どんな順番で、誰と、何をやりとりするのかイメージがわかない
  • 調べても「挿絵・広告・ゲーム」と種類が並ぶだけで、自分に向いているのかどうか判断できない

もし思い当たるなら、それはあなたの調べ方が悪いのではありません。契約・修正・使用範囲・請求まで含めて、仕事の中身を書いた情報がなかなか見つからないだけです。

この記事は、広告アニメーションの制作会社として、実際にイラストレーターへ絵を発注している立場から書いています。

依頼から納品までの流れ、描く以外にやること、仕事の種類と働き方、必要なスキルと年収までを、発注する側の目線で順番に整理しました。

読み終えるころには、「イラストレーターの1件の仕事」が頭の中で最初から最後まで再生できるようになっているはずです。

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  1. イラストレーターの仕事内容とは?ひと言でいうと「頼まれた目的のために描く」仕事
  2. 依頼から納品までの流れ|イラストの仕事は7つのステップで進む
    1. ステップ2:私たち発注側が渡している指示書の6項目
    2. ステップ3:契約で決めておく5つのこと
    3. ステップ4〜6:ラフ→清書→修正は「確認をもらう」のが仕事
    4. 1件にかかる日数は「節目の日付」で決まる
  3. 描く以外にやること|イラストレーターの仕事時間の中身
  4. イラストレーターの仕事の種類|載る場所と描くもので8つに分かれる
    1. 描いた絵を動かして使う「動画用の絵」の仕事
  5. 働き方は3つ|会社員・フリーランス・副業で仕事内容はどう変わるか
    1. フリーランス・副業の仕事の入り口は6つ
  6. イラストレーターに必要なスキル・資格・道具
    1. 求められる3つの力
    2. 仕事で使う主な道具
    3. 資格は必要?
  7. 未経験からイラストレーターになるまでの3ステップ
  8. イラストレーターの年収の目安
  9. 1日の過ごし方の例|フリーランスのイラストレーターの場合
  10. イラストレーターに向いている人
  11. やりがいと大変なところ
    1. やりがい
    2. 大変なところ
  12. AIが広がる中で、イラストレーターの仕事内容はどう変わるか
  13. よくある質問
    1. Q1. イラストレーターになるのに資格は必要ですか?
    2. Q2. 美大や専門学校に行かないとなれませんか?
    3. Q3. イラストレーターとデザイナーの仕事内容の違いは?
    4. Q4. 副業でもイラストレーターの仕事はできますか?
    5. Q5. 未経験から仕事を取るには、何から始めればいいですか?
    6. Q6. 1件の仕事にはどのくらいの期間がかかりますか?
  14. まとめ|イラストレーターの仕事内容は「描く」の前後まで含めて考える

イラストレーターの仕事内容とは?ひと言でいうと「頼まれた目的のために描く」仕事

イラストレーターの仕事を一番短く言うと、依頼した人の目的を、絵で伝わる形にする仕事です。

本の内容を読者に分かりやすくする挿絵、商品を手に取ってもらうためのパッケージの絵、サービスの雰囲気を一目で伝える広告の絵。

どれも「何のために描くのか」が先に決まっています。

よく比べられるのが画家です。基本の違いを表にすると、次のようになります。画家は自分のテーマを表現するために描き、気に入った人が作品を買います。

イラストレーターは依頼が先にあり、描く前に報酬や使い方が決まるのが基本です。

比べる点 イラストレーター 画家
描く目的 依頼主の目的(伝える・売る・説明する) 自分のテーマの表現
お金の入り方 制作費・使用料として依頼主から受け取る 主に、完成した作品が売れたときに受け取る
完成の基準 依頼主の確認(OK)が出たら完成 自分が完成と決めたら完成
絵が載る場所 本・広告・Webサイト・ゲーム・商品など 展示・個人の所有

この表のいちばん大事な行は「完成の基準」です。イラストレーターの絵は、依頼主がOKを出して初めて完成します。

だからこそ、仕事の中身には「描く」だけでなく、相手の意図を聞き取る・確認してもらう・直す、というやりとりが必ず入ってきます。

次の章で、その流れを順番に見ていきます。

依頼から納品までの流れ|イラストの仕事は7つのステップで進む

イラストの仕事は、ジャンルが違っても大きな流れはほぼ同じです。依頼が来てから入金されるまでを7つに分けると、次のようになります。

イラストの仕事の7つのステップ(相談・見積もりから納品・請求まで)
  1. 相談・見積もり:何を・何点・いつまでに・どこで使うかを聞き、金額と納期を出す
  2. 打ち合わせ・指示書の確認:参考画像・サイズ・納品形式・NG表現など描くための材料を受け取り、足りない点を質問する
  3. 契約・条件の取り決め:金額・納期・使用範囲・修正回数・支払い時期を文字に残す
  4. ラフ作成・提出:構図や配置が分かる下描きを描いて出し、方向性の確認をもらう
  5. 清書(線画・彩色):OKが出たラフをもとに、完成まで描き込む
  6. 修正対応:確認で出た直しを反映する
  7. 納品・請求:指定の形式でデータを渡し、請求書を出して入金を確認する

このうち、多くの人がイメージする「絵を描く時間」は、主に4番と5番です(6番の修正でも手を動かします)。

1〜3番と7番は、描く前と描いた後のやりとり・取り決め・事務だということが分かります。

ステップ2:私たち発注側が渡している指示書の6項目

私たちが動画用のイラストを外部のイラストレーターさんにお願いするときは、毎回、決まった形の指示書を作って渡しています。

中身は次の6つです。

  • 案件の概要:どんな商品・サービスの、何のための絵か(認知を広げたい、使い方を説明したい、など)
  • 参考画像:「この線の雰囲気」「この色の明るさ」など、どこを参考にしてほしいかを添えて複数枚
  • 制作内容と仕様:点数(カット数)、サイズ、納品の形式(PSDなど)
  • NG表現:使ってはいけない色・表現・モチーフ
  • スケジュール:ラフ提出日、修正反映日、完成提出日、最終納品日
  • 報酬と支払い条件:金額と、いつ支払うか

イラストレーターの仕事内容としては、この指示書を読み込み、足りない情報を質問して埋めることまでが「描く前の仕事」です。

指示書がない相手から依頼されたときは、この6つを自分から聞いていけば、聞き漏れを防げます。

初めての案件でつまずくきっかけは、絵のうまさより、サイズや形式の聞き漏れだったりします。

ステップ3:契約で決めておく5つのこと

決めておくのは金額・納期・使用範囲・修正回数・支払い時期の5つです。特に「使用範囲」「修正回数」まで決めておくのが、揉めないためのコツです。

使用範囲とは、その絵をどの媒体で・どのくらいの期間・どこまで使うかのこと。SNSに1回載せる絵と、商品パッケージに何年も使う絵では、同じ1枚でも仕事の重さがまったく違います。

支払い時期は「月末締め・翌月末払い」のように、いつの分をいつ払うかまで決めておくと、入金を待つ間の不安が減ります。

なお、2024年11月に施行されたフリーランス法では、フリーランスに仕事を頼む事業者は、仕事の内容・報酬の額・支払期日などの取引条件を、書面やメールなどで明示しなければならないと定められています(頼む側がフリーランスの場合も含みます。

出典:公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」)。条件がはっきりしないまま始まりそうなときは、「念のため条件をメールでいただけますか」とお願いしてかまいません。

決め方の詳しい項目は、こちらにまとめています。

ステップ4〜6:ラフ→清書→修正は「確認をもらう」のが仕事

ラフは、完成させる前に方向性を確かめてもらうための下描きです。ここで構図や表情の認識を合わせておくと、清書の後の大きな描き直しが減ります。

ラフの段階で「人物は右向き」「背景は空を多めに」といった確認が出るのはよくあることです。

清書の後に修正が入るのも、珍しいことではありません。依頼主の頭の中にあるイメージと、一度でぴったり重なることはそう多くないからです。

修正は「否定された」のではなく、完成に近づけるための工程の一つと考えておくと、気持ちが楽になります。

ただし、修正を何回まで料金に含めるかは、最初に決めておきましょう。決め方と、超えたときの伝え方はこちらの記事が参考になります。

1件にかかる日数は「節目の日付」で決まる

1件の仕事に何日かかるかは、点数や描き込みの量で大きく変わります。ただ、どの仕事にも共通しているのは、依頼主がラフ提出日・完成提出日・納品日という「節目」を指定してくることです。

たとえば私たちが動画を1本作るときは、全体の工程の中で、デザイン・イラストの制作に3〜4週間ほどを見込んでいます(カット数によって前後します)。

その間にラフ確認と修正の往復が入るので、実際に描き込める日数は、全体の期間より短くなると考えておくと、スケジュールを組み立てやすくなります。

描く以外にやること|イラストレーターの仕事時間の中身

ここまでの流れを見ると分かるように、イラストレーターの仕事には描く以外の作業がたくさんあります。

特にフリーランスの場合、次の6つは自分でやることになります。

1人で描く以外の6つの作業(連絡・打ち合わせ/資料集め/見積もり・契約/修正の確認・やりとり/請求・経理/営業・発信)を同時にこなすイラストレーター
  1. 連絡・打ち合わせ:メールやチャットの返信、オンラインでの打ち合わせ。返信の早さは、そのまま信頼につながります
  2. 資料集め:描く対象(建物、道具、服装、動物など)の写真や資料を集める時間。専門的な絵ほど長くなります
  3. 見積もり・契約:金額を出し、使用範囲や修正回数を決めて文字に残す
  4. 修正の確認・やりとり:直しの内容を確かめ、どこまでが料金に含まれるかを判断して返事をする。ラフ段階で認識を合わせるほど短くできます
  5. 請求・経理:請求書の発行、入金の確認、経費の記録、確定申告
  6. 営業・発信:ポートフォリオの更新、SNSでの作品発信、新しい取引先探し

このうち、使用範囲の確認は特に見落とされがちです。納品した後に「この絵、別の用途にも使っていいですか」と聞かれることがあり、本来は追加の料金をもらってよい場面でも、つい無料で引き受けてしまいがちです。

請求や経理の作業は、会計ソフトを使うとかなり軽くなります。たとえば freee のような会計ソフトなら、請求書の作成から経費の記録までを1つにまとめられます。

描く以外の作業をどれだけ手早く片づけられるかで、同じ腕前でも、1か月に引き受けられる仕事の数が変わってきます。

イラストレーターの仕事内容を考えるときは、この「描く以外」まで含めて考えるのが現実的です。

イラストレーターの仕事の種類|載る場所と描くもので8つに分かれる

イラストレーターの仕事は、描いた絵がどこに載るか、何を描くかで分けると整理しやすくなります。

主なものは次の8つです。

種類 主に描くもの 特に求められること
書籍・雑誌 表紙、挿絵、カット 文章の内容を正しく読み取る力、まとまった点数をこなす力
広告・販促 ポスター、チラシ、バナー、キービジュアル 一目で伝わる構図、使用範囲の取り決め
Web・SNS Webサイトの挿絵、アイコン、SNS投稿用の絵 画面で見たときの見やすさ、更新の頻度に合わせた対応
ゲーム キャラクター、背景、アイテム、カード絵 世界観の設定に合わせる力、細かい仕様の理解
商品・グッズ パッケージ、雑貨、キャラクターグッズ 印刷や加工の知識、長く使われる前提のデザイン
図解・専門 説明図、医療・技術・学術のイラスト 正確さ、専門資料を読み込む力
キャラクターデザイン 企業や配信者のキャラクター、立ち絵 設定を形にする力、いろいろな角度・表情の描き分け
動画・アニメーション用 広告動画や説明動画に使う絵 動かす前提でパーツを分けて描く力

このほかにも、LINEスタンプ、素材サイトに登録して使われるたびに報酬を受け取るストックイラスト、3Dのキャラクターや背景といった仕事もあります。

1つのジャンルを専門にしている人もいれば、いくつかを組み合わせている人もいます。

ジャンルごとの相場や仕事の取り方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

ゲーム会社に勤めるイラストレーターの1日や仕事の分担については、こちらが参考になります。

描いた絵を動かして使う「動画用の絵」の仕事

表の一番下の動画・アニメーション用のイラストは、描いた絵をそのまま動かして、広告や説明の動画に使う仕事です。

ここでは、普通のイラストとの違いが一番出る「納品の形」まで説明します。

この仕事で普通のイラストと違うのは、納品の形です。1枚の絵として仕上げるのではなく、腕・顔・目・口・髪などを別々の層(レイヤー)に分けたデータで納めます。

後から動かす人が、パーツごとに動きを付けられるようにするためです。

私たちも、動画にするイラストは必ずこの形でお願いしています。そして、絵を描けて、なおかつ自分で動きまで付けられる人は、発注する側から見るととても頼みやすい存在です。

描いた絵を自分で動かす仕事に興味があれば、イラストを動かして稼ぐ方法をまとめた講座ものぞいてみてください。

働き方は3つ|会社員・フリーランス・副業で仕事内容はどう変わるか

同じ「イラストレーター」でも、働き方によって1日の仕事内容はかなり変わります。

大きく分けると3つです。

働き方 主な勤め先・仕事の入り方 描く以外の仕事
会社員 ゲーム会社、広告制作会社、デザイン事務所、印刷会社など。仕事は社内で割り振られる 社内の打ち合わせ・進行の報告が中心。見積もりや請求は会社が担当
フリーランス 企業や個人から直接、または制作会社・仲介サイト経由で受ける 営業・見積もり・契約・請求・確定申告まで全部自分
副業 本業の空き時間に、仲介サイトやSNS経由で受ける フリーランスと同じ作業を、限られた時間でこなす

会社員は、描くことと社内のやりとりに集中しやすいのが特徴です。決まった給料があり、チームで大きな作品に関われます。

社内では、ディレクターやアートディレクターの指示と確認を受けながら描き、ゲーム会社ならキャラクター担当・背景担当のように持ち場を分けて進めるのが一般的です。

会社員として絵の仕事に就きたい人は、レバテッククリエイターのようなクリエイター向けの転職サービスで、どんな求人があるかを眺めてみると、仕事内容の具体的なイメージがつかめます。

フリーランスは、仕事を選べる自由がある分、描く以外の作業がすべて自分にかかってきます。

前の章の「描く以外にやること」を一番多く抱える働き方です。

副業は、まず小さく試せるのが利点です。ココナラのような仲介サイトでアイコンや挿絵の依頼を受けるのは始めやすい入口で、「依頼から納品まで」の流れを一通り体験するにはちょうどよい規模です。

フリーランス・副業の仕事の入り口は6つ

会社員以外の働き方では、仕事を取ってくるところから自分の仕事です。入り口は大きく6つあります。

  1. 仲介サイト(クラウドソーシング・スキルマーケット):募集に応募する、または自分の出品に依頼をもらう
  2. SNS:作品を見た企業や個人から、直接依頼が届く
  3. 制作会社・デザイン事務所:外部のイラストレーターとして登録する、作品集を持ち込む
  4. コンペ・公募:採用されると仕事や賞金につながる
  5. クリエイター向けのエージェント:条件に合う案件を紹介してもらう
  6. ストックイラストサイト:描きためた絵を登録し、使われた分だけ報酬を受け取る

最初は1と2から始め、実績がたまったら3の制作会社との取引を増やしていく、という順番が組みやすいです。

私たちも、一度お願いしてやりとりがスムーズだった方には、次の案件でもまた声をかけます。

イラストレーターに必要なスキル・資格・道具

求められる3つの力

仕事として続けるには、次の3つの力が求められます。

  1. 画力:デッサンや色の基礎の上に、依頼に合わせて描き方を調整できる力
  2. 意図を汲む力:指示書や会話から「何のための絵か」を読み取り、足りない情報を質問できる力
  3. 締め切りを守る力:節目の日付から逆算して、自分の作業を組み立てる力

発注する側の本音を言うと、2と3は、画力と同じくらい次の依頼を決める材料になります。

絵が少し好みと違っても、意図をすぐ汲んで期限どおりに直してくれる人には、また頼みたくなるからです。

仕事で使う主な道具

  • パソコンとペンタブレット(板タブレット・液晶タブレット):私たちがイラストレーターさんから受け取るのも、すべてデータです
  • お絵描きソフト:CLIP STUDIO PAINT(イラスト・漫画)、Photoshop(イラストの彩色・写真加工。PSD形式での納品にも使う)、Illustrator(ロゴや図解などの線で描く絵)が代表的です
  • 連絡と管理の道具:メール、チャット、オンライン会議、データ受け渡しのためのクラウドストレージ

資格は必要?

イラストレーターに必要な資格はありません。名乗るのに免許も試験もいらない仕事です。

学んだことの目安として「Illustrator®クリエイター能力認定試験」「Photoshop®クリエイター能力認定試験」「CGクリエイター検定」「色彩検定」などを受ける人もいます。

ただし、依頼主が見るのは資格よりもポートフォリオ(作品集)です。

未経験からイラストレーターになるまでの3ステップ

ここまでの仕事内容を踏まえると、未経験から仕事にするまでの道のりは、次の3ステップに整理できます。

  1. 受けたい仕事に合わせたポートフォリオを作る:「どこに載る絵を描きたいか」を決め、その種類の作品をそろえる。指示書があるつもりで、サイズや用途を決めて描くと実際の仕事に近づきます
  2. 小さな依頼で「依頼から納品まで」を一通り経験する:仲介サイトや知人からの依頼で、見積もり・ラフ・修正・請求までを自分で回してみる
  3. 取引先を増やし、繰り返し頼まれる相手を作る:制作会社への登録や持ち込み、SNSでの発信で入り口を増やす

美大や専門学校で学ぶ道も、独学の道もあります。どちらを選んでも、仕事として求められるのはこの3ステップです。

進路や学校の選び方は、こちらの記事で詳しく整理しています。

イラストレーターの年収の目安

会社員として働くイラストレーターの場合、求人情報をもとにした集計では、正社員の年収はおよそ446万円(求人に書かれた給与の中央値)とされています(出典:求人ボックス 給料ナビ、2026年10月時点)。

同じ集計では、派遣社員の時給は1,597円、アルバイト・パートは1,227円です(いずれも求人の中央値)。

フリーランスや副業の場合は、1件の単価×引き受けられる件数で収入が決まるため、人によって大きく差が出ます。

ここで効いてくるのが、さきほどの「描く以外の作業」の速さです。同じ単価でも、やりとりや事務を手早く済ませられる人ほど、1か月にこなせる件数が増えます。

フリーランスとして年収をどう組み立てるか、単価と件数の考え方はこちらで具体的に解説しています。

1日の過ごし方の例|フリーランスのイラストレーターの場合

ここまでの仕事内容を1日に並べると、たとえば次のようになります。あくまで一例で、締め切りの重なり方によって毎日変わります。

時間 やること
9:00 メール・チャットの確認と返信、今日の作業の段取り
10:00 A社の案件の清書(集中できる午前に描く)
13:00 昼休み
14:00 B社とオンラインで打ち合わせ、指示書の確認と質問
15:00 B社の案件の資料集めとラフ作り
17:00 C社から届いた修正の反映、再提出
18:30 見積もりの作成、請求書の発行、SNSへの作品の投稿

この例のように、いくつかの案件を、それぞれ違う段階で同時に進めるのがフリーランスのよくある形です。

1件ずつ順番に片づけるのではなく、「Aはラフ、Bは清書、Cは修正待ち」と並べて進めます。

イラストレーターに向いている人

絵がうまいことは前提として、仕事内容から考えると、次のような人は特に向いています。

発注する側から見て「また頼みたい」と思う人の特徴でもあります。

  • 分からないことを質問できる人:指示書の足りない点をそのままにせず、描く前に聞ける
  • 締め切りから逆算できる人:ラフ提出日・完成提出日から、自分の作業を組み立てられる
  • 修正を工程の一つとして受け止められる人:直しを否定と受け取らず、完成に近づける作業として進められる
  • いろいろな描き方に合わせられる人:自分の好みだけでなく、依頼の目的に合わせて絵を調整できる
  • 描く以外の作業もこなせる人:連絡・事務・営業を、絵と同じように仕事として扱える

やりがいと大変なところ

やりがい

  • 自分の絵が本や広告、商品になって、たくさんの人の目に触れる
  • 依頼主から「イメージどおりです」「おかげで伝わりました」と言ってもらえる
  • 好きな絵の力を、そのまま仕事と収入にできる

大変なところ

  • 締め切りが重なると、作業時間が長くなりやすい
  • 修正が続くと、気持ちが削られることがある
  • フリーランスは仕事の量と収入が月によって変わる
  • 描く以外の作業(連絡・事務・営業)も自分で抱える

大変なところの多くは、最初の取り決めと段取りで軽くできるものです。修正回数を決めておく、節目の日付から逆算して作業を並べる、使用範囲を文字に残す。

この3つを習慣にするだけで、仕事の負担はかなり変わります。

AIが広がる中で、イラストレーターの仕事内容はどう変わるか

画像を作るAIが広がり、イラストレーターの仕事の現場にも変化が出てきています。

たとえば、依頼主がAIで作ったイメージ画像を「参考」として送ってきて、戸惑うイラストレーターさんがいるという話も聞くようになりました。

発注する側として感じるのは、AIで「それっぽい1枚」を出せるようになったからこそ、人に頼む価値は「描くこと」の周りに移ってきているということです。

  • 意図を汲んで形にする:参考画像のどこを生かし、どこを変えるべきかを判断し、提案できる
  • 確認と修正のやりとり:依頼主の言葉にならないイメージを、ラフと修正の往復で詰めていける
  • 権利と責任:使用範囲を取り決め、安心して使える絵として納められる
  • 動かす・展開する前提の制作:パーツ分けや複数サイズへの展開など、後工程まで考えたデータを作れる

つまり、この記事で見てきた「描く手前と描いた後」の仕事こそが、これからのイラストレーターの強みになっていきます。

よくある質問

Q1. イラストレーターになるのに資格は必要ですか?

必要ありません。名乗るのに資格や免許はいらない仕事です。依頼主が判断に使うのは、資格よりもポートフォリオ(作品集)と、やりとりのしやすさです。

Q2. 美大や専門学校に行かないとなれませんか?

学校に通わずに仕事をしている人もいます。学校では基礎を体系的に学べたり、仲間や就職先とのつながりができたりする利点があります。

独学の場合は、仕事の流れや契約の知識を自分で身につける必要があります。

Q3. イラストレーターとデザイナーの仕事内容の違いは?

イラストレーターは絵そのものを描く仕事、デザイナーは文字・写真・絵を組み合わせて紙面や画面全体を設計する仕事です。

たとえば広告では、イラストレーターが描いた絵を、デザイナーが文字と一緒にレイアウトする、という分担がよくあります。

Q4. 副業でもイラストレーターの仕事はできますか?

できます。仲介サイトやSNS経由で、アイコンや挿絵などの小さめの依頼から始めるのが始めやすい入口です。

ただし、会社の副業の決まりは先に確認しておきましょう。

Q5. 未経験から仕事を取るには、何から始めればいいですか?

まずは、受けたい仕事の種類に合わせた作品を集めたポートフォリオを作ることです。

そのうえで、仲介サイトへの登録やSNSでの発信、制作会社への持ち込みなど、仕事が来る入口を少しずつ増やしていきます。

Q6. 1件の仕事にはどのくらいの期間がかかりますか?

点数や描き込みの量で大きく変わります。どの仕事でも、依頼主がラフ提出日・完成提出日・納品日を指定してくるので、その節目から逆算して作業を組み立てます。

ラフ確認や修正の往復があるため、実際に描き込める日数は全体の期間より短くなると考えておきましょう。

まとめ|イラストレーターの仕事内容は「描く」の前後まで含めて考える

イラストレーターの仕事内容を、もう一度整理します。

  1. イラストレーターは、依頼した人の目的を絵で伝わる形にする仕事。完成の基準は依頼主のOK
  2. 仕事は相談・見積もり→打ち合わせ→契約→ラフ→清書→修正→納品・請求の7ステップで進む
  3. じっくり描くのは主にラフと清書(と修正)。それ以外は、聞き取り・取り決め・事務
  4. 仕事の種類は、絵が載る場所で8つに分けられる。動画・アニメーション用の絵のように、動かす前提の仕事もある
  5. 働き方は会社員・フリーランス・副業の3つ。フリーランスほど描く以外の作業が増える
  6. これからは、意図を汲む・確認と修正のやりとり・権利の取り決めが強みになる

「イラストレーターって毎日何をしているんだろう」という疑問の答えは、描くことと、描くために人とやりとりすることです。

この両方をイメージできたなら、もう仕事の入口には立っています。

この記事のテーマを深めるなら、手元に置いておきたいもの

イラストの仕事は、描く前と描いた後まで含めて一つの仕事です。

その流れが見えてくると、「この先、自分の絵をどこまで広げられるか」も考えられるようになります。

描いた絵にパーツ分けをして、自分で動きまで付けられるようになると、動画の仕事でも頼まれる側に回れます。

現場で使われている作り方を、順を追ってのぞいてみてください。

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