最近、こんなふうに感じていませんか。
- イラストの依頼は受けているのに、単価がなかなか上がらない
- 配信やゲームで“動く絵”の仕事が増えていて、自分だけ取り残されている気がする
- Live2Dは気になるけど、絵は描けても“モデリング”なんて専門職の世界に見えてしまう
もしそう感じているなら、それはあなたの絵の腕の問題ではなく、工程を知らないだけかもしれません。
結論から言うと、Live2Dの入口である「パーツ分け」は、絵が描ける人の延長でできる仕事です。そして、その先の「モデリング(リギング)」まで覚えると、受け取れる単価の帯が一段上がります。
この記事では、①Live2Dの仕事とは何か ②パーツ分けはどこまで絵描きの仕事か ③パーツ分けだけの仕事とモデリングまでの仕事で単価がどう違うか ④未経験からの始め方を、相場は複数の情報源の“幅”で、ソフトの仕様はLive2D公式を出典に整理します。静止画の絵描きから「動かせる絵描き」へ——その入口を具体的に見ていきましょう。
※本記事の金額は「イラストレーターが受け取る側」の相場を複数ソースの幅で示したものです。実績・クオリティ・商用範囲・修正回数で大きく変わります。ソフトのライセンスや料金は最終的にLive2D公式でご確認ください。
そもそも「Live2Dの仕事」とは?絵が動く仕組みを作る仕事
Live2Dは、株式会社Live2Dが開発した2Dの表現技術です。1枚のイラストをパーツごとに分け、それぞれに動きの設定をすることで、描いた絵をそのままの絵柄で動かせるのが最大の特徴です。3DCGのように立体を組み上げるのではなく、平面の絵を“動く絵”に仕立てる——ここがイラストレーターと相性のいい理由です。
Live2Dが使われている主な現場は、次のようなところです。
- VTuber・配信者のモデル…いちばん身近な用途。表情やまばたき、口パクが動く立ち絵。
- スマホゲームの演出…会話シーン、カードイラスト、ホーム画面でキャラがゆれ動く表現。
- MV・ライブ演出・アプリ…ミュージックビデオや配信アプリの中で動くキャラクター。
- 広告・プロモーション…商品やキャラクターを短い動画で動かす販促用途。
こうした「絵を動かす仕組みを作る人」を、VTuber界隈では親しみを込めて“ママ/パパ”と呼ぶこともあります。呼び名はさておき、仕事の中身はイラストの読解と、動きの設計。絵を描く力がそのまま効く領域です。
求人の面でも入口は広く、未経験可・社内研修ありの採用を出している会社があり、専門学校の卒業実績としてゲーム会社やVTuber事務所への就職も見られます(東洋美術学校の解説)。会社員として入る道も、フリーで受ける道も、学歴や企業経験が必須ではないのがこの仕事の特徴です(prismplaneの入門解説)。
制作工程は4つ|パーツ分け→モデリング→動かす、の順で単価が積み上がる

Live2Dの制作は、ざっくり次の4工程で進みます。どの工程を引き受けるかで、仕事の名前も単価も変わります。
- イラスト制作+パーツ分け…キャラクターを髪・目・口・腕・体などの“動かせる部品”に分けて描く工程。絵を描く力が直接効く。
- モデリング(リギング)…分けたパーツに可動域やパラメータを設定し、Live2D Cubism上で“動かせる状態”にする工程。
- モーション作成…まばたき・髪の揺れ・呼吸など、実際の動きを付ける工程。1モーション単位で受けることも多い。
- その他…三面図(参考図)、背景、ロゴなどの付随物。
工程を“積む”ほど単価が上がる
ここが大事なポイントです。この4工程は、手前の「パーツ分け」から奥の「動かす」へ進むほど専門性が上がり、受け取れる単価も積み上がっていきます。絵が描ける人は①から入り、②③を覚えるほど引き受けられる範囲が広がる——という地続きの構造になっています。
つまりLive2Dは「絵の仕事」と「動かす仕事」がひとつながりになった領域です。次の章から、まず入口のパーツ分けがどこまで絵描きの仕事なのかを見ていきます。
パーツ分けは「絵が描ける人」の延長でできる

パーツ分けとは、イラストを髪・目・口・眉・腕などの細かい部品に分割する作業です(ココナラマガジンの解説)。分け方が細かく丁寧なほど、あとで動かしたときの表情が豊かになります。
ここで知ってほしいのは、パーツ分けは特別なモデリング技術というより、“動かすことを前提にした絵の描き方”だということです。やることの大半は、ふだんイラストを描くときにも使っている作業の延長にあります。
やることは「レイヤー分け」と「塗り足し」が中心
具体的には、次のような作業になります。
- パーツごとにレイヤーを分ける…前髪・後ろ髪、右目・左目、上唇・下唇…のように、動かしたい単位でレイヤーを独立させる。
- 隠れている部分を描き足す(塗り足し)…前髪の下の額、口を開けたときの口内、まばたきで閉じるまぶたの裏など、動かすと見えてくる“今は隠れている箇所”を描いておく。
- はみ出しを意識して塗る…パーツの境目がズレても下地が見えないよう、輪郭の内側まで少し塗り込んでおく。
どれも、絵が描ける人なら理屈はすぐ分かる作業です。新しく覚えるのは「Live2Dでは何をどう分けると動かしやすいか」という勘どころであって、画力をゼロから鍛え直す話ではありません。
最初のつまずきは“分け方”と“塗り足し”
一方で、初めてだと必ずつまずくポイントもあります。レイヤーを一枚絵のまま提出してしまう/塗り足しが足りず、動かすと下地の白が見える——この2つが典型です。だからこそ、Live2Dの発注では「レイヤー分けの指定」や「psd形式での納品」が条件になることが多いのです。逆に言えば、この分け方の作法さえ身につければ、絵描きはすぐに入口に立てます。
動かす前提のパーツ分けを、基礎から身につけるなら
パーツ分けに初めて取り組むと、「どの単位まで分ければいいのか」「どこを塗り足しておけばいいのか」に迷いやすいものです。分けた絵を実際に動かして確認し、足りない部分を描き足す——これを繰り返すと、動きに合った分け方がつかめてきます。
粕田屋が運営するAdAnimeSTUDIOでは、キャラクターのイラストを効果的に動かすためのパーツ分けを、実際に動かす工程とあわせて学べます。「動かしたときにどう見えるか」から逆算して分ける考え方は、Live2D用のイラストを描くときにも活かせます。
単価はいくら?パーツ分けだけの仕事とモデリングまでの仕事の差
では、実際にいくら受け取れるのか。ここではイラストレーターが受け取る側(個人への依頼)の相場を、複数の情報源に共通して出てくる“幅”で整理します。実績・クオリティ・商用範囲・修正回数で大きく動くので、あくまで目安です。
① イラスト+パーツ分けだけを受ける場合
絵を描いてパーツ分けまでを納品する仕事は、個人への依頼でおおむね3万〜15万円が目安です(クラウドワークスの相場解説、ジーアングルの相場解説、ココナラマガジン)。これはふだんのイラスト1枚の単価に、パーツ分けの手間が上乗せされた金額と考えると分かりやすいです。
② モデリング(リギング)まで覚えて受ける場合
分けた絵を自分で“動かせる状態”にするモデリングまで引き受けると、単価の帯が変わります。現役モデラーの公開情報では、モデリング単体でも次のように段階が分かれています(現役モデラーakamaruproの単価解説)。
- 顔まわり中心の簡易なモデリング…3万〜8万円
- 全身・髪の物理演算・表情差分ありの標準的なモデリング…8万〜20万円
- パーツが多く可動域の広い高品質なモデリング…20万〜30万円以上
③ 絵+モデリングをセットで受ける場合
イラストからモデリングまで一式で引き受けると、個人〜経験者で10万〜50万円の帯に乗ってきます(クラウドワークス/ジーアングル/akamarupro/ココナラ)。参考までに、制作会社にまとめて発注する場合は一括で30万〜40万円が目安とされます。モーション追加は1点5,000円〜1万円、三面図は5,000円〜2万円がよく挙がる相場です。
差分をまとめると
同じ1体でも、パーツ分けだけ(3万〜15万円)で手放すか、モデリングまで握って一式(10万〜50万円)で受けるかで、受け取れる金額の帯が大きく変わります。絵の力はそのままに、動かす工程を1つ足すだけで単価が上がる——これがLive2Dを覚える一番の経済的メリットです。なお、はじめは実績がないと相場通りには売りにくいので、低めの価格から始めて、実績とともに段階的に上げるのが定石です(仕事の取り方の解説)。
ソフトは無料で始められる|Live2D Cubism FREE版とPRO版
「始めるのにお金がかかるのでは」と不安に思うかもしれませんが、Live2D Cubismには無料のFREE版があり、まずは0円で試せます。ここはイラストレーターに有利なポイントなので、公式情報で正確に押さえておきましょう。
商用利用は“年商1,000万円未満”ならFREE版でOK
Live2D公式のライセンスでは、一般ユーザーと、直近会計年度の売上高が1,000万円未満の小規模事業者・個人であれば、FREE版でも商用・営利目的で使えます(Live2D公式 使用許諾、Live2D公式ヘルプ(ライセンス))。つまり駆け出しの個人イラストレーターが仕事として受ける分には、まず無料の範囲で始められるということです。年商1,000万円以上の事業で使う場合はPRO版(businessライセンス)が必要になります。ライセンスは改定されることがあるので、最終的な条件は必ず公式でご確認ください。
FREE版とPRO版の違い
FREE版には、使える部品数などに上限があります。整理するとこうです(FREE版とPRO版の比較解説)。
- FREE版の主な上限…アートメッシュ100/パラメータ30/デフォーマ50/パーツ30/テクスチャ2048px/書き出し1280×720まで
- PRO版…これらの上限が実質無制限になり、高解像度の書き出しや高度な機能が使える。42日間の無料トライアルでPRO機能を試せる(Live2D公式ダウンロード)。
ざっくり言えば、操作を覚えてシンプルなモデルを1体作るところまではFREE版で十分。表情差分やパーツが増えて上限に当たり始めたら、PRO版を検討する——という順番で問題ありません。いきなり買う必要はないので、まず無料で1体、最後まで作ってみるのが一番の近道です。
FREE版のダウンロードも、PRO版の無料トライアルも、公式サイトから始められます。まずはLive2D
の公式サイトで、FREE版を入れて触ってみてください。
未経験から仕事を取るには|ポートフォリオと最初の受注
「live2d 仕事 未経験」で調べている人がいちばん知りたいのは、ここでしょう。結論は「1体作る→見せる→小さく受ける→実績で上げる」のくり返しです。
ステップ1:まず自分で1体作って“見せられる形”にする
未経験でまず必要なのは、求人の資格より「動くサンプル」です。自分の絵をパーツ分けし、FREE版でモデリングして、まばたきや口パクが動く1体を作る。それを動画やGIFにして見せられる状態にするだけで、「絵が描けて、しかも動かせる人」という他のイラストレーターにない看板になります。
ステップ2:クラウドソーシングで小さく受け始める
最初の受注は、個人間でやり取りできるサービスが入りやすいです。よく使われるのは次のあたりです。
- ココナラ…スキル販売の定番。購入者レビューや仮払い(エスクロー)があり、初心者でも始めやすい。販売額に手数料がかかる(率はプラットフォームで要確認)。
- SKIMA…イラスト寄りの依頼が多く、ココナラと併用する人が多い。
- クラウドワークス…未経験・初心者歓迎の案件も出る。
はじめは実績ゼロだと相場では売れにくいため、低めの価格でスタートし、良いレビューが溜まってから段階的に値上げするのが定石です。ただし「今だけ特別価格」のような曖昧な煽りは景品表示法の観点で避け、いつ値上げするかを買う人に分かるようにしておくのが安全です(仕事の取り方の解説)。
ステップ3:実績10件を超えたら単価を上げる・幅を広げる
現役モデラーの体験でも、10件以上の実績と良いレビューが溜まると、初期の3万〜8万円帯から15万円以上へと単価を上げられたという流れが語られています(akamaruproの体験談)。制作者同士が集まり、営業や進行をまとめ役が担うギルド(制作チーム)に入って、制作に集中するという道もあります。
動かせる絵描きになると、仕事の幅はここまで広がる
Live2Dを覚える本当の価値は、目先の単価だけではありません。「静止画しか出せない絵描き」から「動かせる絵描き」へ移ることで、受けられる仕事の“種類”そのものが増えます。
たとえば、同じ1枚のキャラクターでも——
- VTuber・配信者向け…立ち絵モデルとして継続的に。差分や衣装替えでリピートも生まれる。
- ゲーム向け…会話シーンやホーム画面で動くキャラ演出。1タイトルで複数体の依頼になることも。
- 広告・プロモーション向け…商品やキャラクターを短い動画で動かし、SNS広告やLPで使う。
とくに広告の領域は、「描けて、動かせて、売る目的に合わせて構成できる人」の価値が高い場所です。静止画のバナーより、少し動く広告のほうが目に留まりやすい——その“少し動く”を自分の絵でまかなえると、イラストレーターの仕事は一気に外へ広がります。実際、絵を動かして広告として届ける動きは専門のスタジオも増えていて、たとえば粕田屋のAdAnimeSTUDIOのように“動く広告アニメーション”を軸にした現場も生まれています。
「自分の絵を動かす」には、Live2D以外にもアプリやAfter Effectsといった選択肢があり、それぞれ向いている仕事が違います。何から手をつけるか迷ったら、この記事が地図になります。
Live2Dはそのうちの“キャラクターを滑らかに動かす”入口。まずはここから「動かせる絵描き」への一歩を踏み出すのがおすすめです。
受ける前に知っておきたい注意点
最後に、Live2Dの仕事を受け始める前に押さえておきたい実務の注意点を3つだけ。ここを知らずに受けると、あとで揉めやすい箇所です。
① 納品形式と“動かす側”の指定を最初に確認する
パーツ分けだけを受ける場合、モデリングは別の人が担当することがあります。レイヤーの分け方や命名規則、psd納品かどうかは案件ごとに作法が違うので、着手前に必ずすり合わせましょう。ここが曖昧だと、動かす段階で手戻りが発生します。
② 商用範囲と二次利用の条件を決める
VTuberや広告の案件は、商用で長く使われるのが前提です。どこまでの用途で使ってよいか、収益化配信やグッズ展開は含むか、を見積もり段階で確認します。相場が幅広いのは、この商用範囲の違いも大きな理由です。
③ 修正回数を先に決める
「動き」が絡むと、主観的な修正依頼が増えがちです。基本料金に含む修正回数と、超過時の追加費用を先に書面(メッセージでも可)で決めておくと、消耗を防げます。見積書・請求書の整え方は、こちらの記事が参考になります。
よくある質問
Q1. 絵は描けますが、Live2Dは完全に未経験です。仕事にできますか?
できます。パーツ分けは絵の描き方の延長で、モデリングもFREE版で独学できます。まずは自分の絵で1体、動くサンプルを作ってポートフォリオにするのが最短です。
Q2. パーツ分けだけの仕事と、モデリングまでの仕事、どちらから始めるべき?
絵が主軸ならパーツ分けからで問題ありません。ただしモデリングまで覚えると、受け取れる単価の帯(セットで10万〜50万円)に乗りやすくなります。段階的に広げるのがおすすめです。
Q3. ソフト代はいくらかかりますか?
年商1,000万円未満の個人・小規模事業者なら、FREE版で商用利用まで無料です(Live2D公式)。上限に当たり始めたらPRO版を検討すれば十分です。
Q4. いくらから受ければいいか分かりません。
実績がないうちは低めの価格から始め、良いレビューと実績が溜まってから段階的に上げるのが定石です。時間×希望時給で下限を決めると、安く受けすぎを防げます。
Q5. 3DのVTuberモデルとは何が違いますか?
Live2Dは描いた絵の絵柄をそのまま動かせるのが強みで、平面的で手描きの質感を活かせます。立体的に回り込む表現は3Dが得意、という住み分けです。イラストレーターの資産を活かしやすいのはLive2Dです。
まとめ
Live2Dの仕事について、要点を5つにまとめます。
- Live2Dは描いた絵をその絵柄のまま動かす技術。VTuber・ゲーム・配信・広告で使われ、絵が描ける人と相性がいい。
- 入口のパーツ分けは“動かす前提の絵の描き方”。レイヤー分けと塗り足しが中心で、絵描きの延長でできる。
- 単価は受け取る側で、イラスト+パーツ分け3万〜15万円/モデリング単体3万〜30万円以上/セット10万〜50万円(目安・幅)。動かす工程を足すほど単価が上がる。
- ソフトはFREE版で無料スタート。年商1,000万円未満ならFREE版で商用利用も可(Live2D公式)。
- 未経験は1体作る→見せる→小さく受ける→実績で上げる。動かせる絵描きになると、仕事の“種類”が増える。
出典(2026年10月時点)
- Live2D公式:Cubism Editor ダウンロード(FREE/PRO・42日トライアル)
- Live2D公式:使用許諾契約(ライセンス区分) / Live2D公式ヘルプ:ライセンス
- クラウドワークス:Live2Dの依頼相場
- ジーアングル:Live2Dの制作依頼の相場
- ココナラマガジン:Live2Dイラストの相場・パーツ分け
- akamarupro:現役モデラーのLive2Dモデル単価相場
- Live2Dモデリングの仕事の取り方(ココナラ・SKIMA)
- 東洋美術学校:Live2Dクリエイターになるには / prismplane:Live2Dのフリーランス入門
※金額はすべて受け取る側の目安で、実績・クオリティ・商用範囲・修正回数により変動します。ライセンス・料金は改定されることがあるため、最終的な条件はLive2D公式および各プラットフォームでご確認ください。











