「これからプロのイラストレーターとしてやっていきたい!」「自分のイラストでオリジナルグッズを作って売りたい!」そんなイキイキとした夢を阻む最初の壁…それが“値付
け”です。
ほぼ全ての初心者の方が「あまり高すぎると依頼が来ない(買ってもらえない)かも…」という不安を抱え、自分の実力や労力を度外視した安値で設定しがち。
そんなあなたのために、この記事では「簡単な値段の付け方のコツ」を書いていきます。
“ちょっとした”値段のつけ方のコツ6つ
初心者さんや「計算がちょっと苦手…」という方に向けた、私の考える値段の付け方の「ちょっとしたコツ」を6つ紹介します。
- 自分のつけた金額に必ずプラスする
- 原価だけで考えない
- 家族や友人に価格を相談しない
- 自分の作業時間をおおまかにでも把握する
- 修正時間分を最初から入れる
- 後から値上げしてもOKと思う
ひとつずつご説明していきますね。
①自分のつけた金額に必ずプラスする
まず、自分のイラストやオリジナルで制作したグッズをパッと見て「これなら〇〇円くらいで依頼してもらえる(買ってもらえる)かな…」と思える金額がありますよね。
多くの場合、その金額は間違っています。
初心者イラストレーターは、ほとんどの人が自分の見積もりがものすごく低いのです。
また、最初は「それで生活する」ことよりも「とりあえず依頼してもらう(買ってもらう)」ことを目標にしているので、確実にお金を支払ってもらえるような安価で出しがちです。
なので、初めのうちは「自分が考えた適正価格に、必ず+〇〇円足す」という考え方で価格設定をしてみてはいかがでしょうか?
〇〇に入る金額は300円でも2000円でもOKです。
自分の考えた適正価格より高い値段で依頼を受ける(グッズが売れる)と、自信にもつながります。
②原価だけで考えない
主にイラストグッズやアナログイラストで活動している方向けの話ですが、「原価より多い価格をつければプラスになる」と考えている方が多いです。
そのグッズ用のイラストを描くのに何時間かかりましたか?
その原画を描くのに何時間かかりましたか?
価格を決めるときは、必ず自分の「作業時間料」を計算しましょう。
原価だけで考えていると、ちゃんと計算してみたら自分の作業料が時給100円程度だった…ということになりかねません。
デジタルイラストレーターには「原価」という考え方はあまり関係ありません。
しかしパソコンやタブレットなど最初にドカンとお金を払ってしまうと、後はその都度で払うものがないため(Adobe CCなど月額料金がかかるものもありますが)「無料(コストなし)で描けている」という錯覚に陥ることもあります。
絵を描く材料費(パソコンやタブレットや周辺機器代)がかかっていることをお忘れなく!
さらに、あなたがそれだけ絵を描けるようになるまでに投資した時間や費用のこともちょっと考えてみてくださいね。
原価の話でよく思い出すのは、
「お前、イラストレーターだろ?タダでちょっと挿絵描いてよ」
「嫌です。あなたが一からデッサンを習って美術学校へ通って卒業して描けばいい」
「なんだと!どれだけ時間と費用がかかると思ってんだ貴様!!」
ってよくできた話のやつです。 https://t.co/88gRmIZ4bd
— 田中泰延 (@hironobutnk) 2017年5月9日
③家族や友人に価格を相談しない
自分のつけた価格に自信が持てず、家族や友人に「この金額で大丈夫かな?」と相談する人がいます。
かくいうわたし自身もそうでした。
あなたのイラストにお金を支払ってくれるのは、基本的には「他人」です。
家族や友人はお金を払ってくれないことが多く、また、あなたのことをよく知っているので、必然的にあなたの(作品の)価値を低く見積もってきます。(もちろんそうでない家族や友人も世の中にはいますが)
「そんな金額じゃ売れないんじゃない?」
「高すぎるんじゃないかな?」
初心者イラストレーターの心を打ち砕く、呪いの言葉をかけられることがしばしばです。
最悪の場合、「あなたのためを思って言っている」という最上級の呪いがかけられる場合があります。
自信を喪失するだけなので、家族や友人に意見を求めるのはやめましょう。
④自分の作業時間をおおまかにでも把握する
初心者イラストレーターの多くが、「絵を1枚(1点)描くのにどのくらいの時間がかかっているか」を把握していません。
なんとなく3日くらいでできた、とか1週間で描けた気がする、というおおざっぱな把握の仕方はやめて、「約何時間かかるか」と時間単位で把握しましょう。
そうすると、自分の時給計算をした時に「この絵には○時間かかったから、〇〇円」と決めやすいです。
ただし単純に「自分の時給を3000円として、20時間かかったから6万円だ!」と考えるのはちょっとキケンです。
なぜなら「20時間かかったのは、あなたの手が遅いだけ」という可能性があるからです。
同じくらいのクオリティの絵を5時間で仕上げ、請求額が3万円のイラストレーターがいれば、あなたではなくその人に仕事を振られることもあります。
常に「自分の作業速度をより早める工夫をする」という意識は忘れないようにしましょう。
⑤修正時間分を最初から入れる
自分のイラストの制作時間を把握できても、もうひとつ落とし穴があります。
それは「修正時間分を料金に入れないこと」です。
たとえば自分のイラスト制作時給を2000円として、「このくらいのイラストなら2時間でできるから、価格は4000円だな」と決めるとしますね。
もしそのイラストに何度か修正が入り、完成まで4時間かかったとしたら、自分の時給は1000円となります。
希望時給の半額です。
「修正が増えるたびに追加料金を請求する」という方法もありますが、初心者イラストレーターで「追加料金をください」と言える勇気を持ち合わせている人はほぼいません。
また、依頼主側も「追加料金」に苦い顔をする方が多いです。
ということで、最初から「修正ありきの制作時間と制作料金」で考えましょう。
そうすると、自分の想定していた作業時間を多少オーバーしても心が穏やかでいられます。
とはいえ、「自分はどの依頼主でも修正回数が多いから、その分の金額を上乗せしておこう」と単純に考えるのもキケンです。
なぜかというと、「自分に依頼主の意図をきちんと把握できる能力がない」という場合もあるからです。
修正回数は少ない方がお互いのためでもあります。
依頼主から制作指示をいただく時に、「この資料が欲しいな、追加で請求しておこう」とか「このイラストを入れたい意図をきちんと質問しておこう」とか、修正を減らす工夫をすることも心がけましょう。
ただし依頼主が「最初に言っていた指示と全く違うことを言い始めた」とか「新しくイチからイラストを描く必要がある修正を言ってきた」という場合は、追加料金を請求しても
いいとわたしは考えています。
修正といえばこの漫画↓
⑥後から値上げしてもOKと思う
値段をつける時にものすごく悩んでしまうのは、「もう後から変えることはできない」と思うからです。
確かに、一度安く売った商品を後から値上げして売るのはたやすい事ではありません。
それでも、「後から値上げしてもOK」という気持ちは持っておきましょう。
短いスパンで何度もコロコロと金額を変えるのは良くないですが、例えば何年かやってきて「スキルが上がったな」と感じたら料金を上げてもいいし、グッズに関しては「材料費や印刷代が値上がりした」というタイミングの値上げも考えられます。
また、実際にやってみて「思ったより大変なイラスト仕事だった、見積もりが甘かった」ということもあるでしょう。
そういう時は、次に同じような仕事がきたら値段を変えてもいいのです。
ただし、同じ依頼主の場合は「なぜ金額を上げるのか」という理由を明確に説明できなければなりません。
「大変で時間がかかったから」という理由ではなく「こういう指示がありますので、こういう金額にします」と説明できるようにしておきましょう。
イラストレーターの仕事の単価をあげる3つのノウハウとオマケを紹介!
自分のイラストの価値は自分で決める
初めのうちは誰でも「こんな金額でいいのかな」と思うものです。
インターネットでイラストの相場を検索してみてもピンキリ過ぎるし、「この人は凄いイラストレーターだからこの金額でも仕事が来るけど、自分なんて…」と自虐に走り、結局参考にならないこともしばしばです。
他人の意見ではなく「自分の価値観」でイラストの金額を決められるようになるのを目指しましょう。
そのためにはまず自分の作品や仕事に「自信」を持つこと、それが持てるくらい「たくさん描くこと」です。
わたし自身、何度か値上げをしたにも関わらず「その金額は安すぎるんじゃないか」と言われます。
ただし、基本的に人の意見で自分の料金は一切変えません。
現在のわたしは、自分の価値観で仕事をしているからです。
他人の言う「高すぎる」にも「安すぎる」にも心を揺らすことなく、自分で自分の価値を見つけて信じてあげてくださいね。
ごきげんよう、さようなら。
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