「仕事が来た」という言い方をしますが、フリーランスのイラストレーターにとって仕事はこっちから得ようとしなければ、受注することはできません。
仕事は「来る」ものではなく「得る」ものなのです!
仕事の相談や問い合わせがきても受注を確定できるわけではありません。
イラストレーターがしっかり仕事を獲得するためには毅然としたやり取りと交渉が必要です。
今回は私が実際に受けたお問い合わせに対して、どのようなやり取りをして受注まで持っていくのかをポイントに分けて解説してみたいと思います。
仕事の問い合わせは来るけどなかなか受注できないという方の参考になれば幸いです。
実際にあった問い合わせ例
はじめまして。株式会社〇〇の▲▲と申します。
現在、弊社で運営している□□というメディア内のLP(URL)で漫画を描いてくださるイラストレーター・漫画家さんを探しております。
10Pほどで1ヶ月くらいを納期と考えています。
現在、漫画制作の依頼を受けていらっしゃいますか?
ご検討の程宜しくお願いいたします。
といった感じのお問い合わせです。
こちらに対して私は
お問い合わせありがとうございます。イラストレーターの南姫です。
現在漫画のご依頼も請けつけております。・・・①
どのようなテイストが欲しいか具体的なイメージはお持ちでしょうか?また、お任せ頂ける仕事の範囲は作画のみでしょうか?絵コンテや構成も含まれますでしょうか?・・・②
これまでの実績サンプルと原稿料のお見積もりをお送りしますので、ご検討いただけたら幸いです。・・・③
このようにお返しします。メールにはサンプルのマンガを複数と、それぞれのマンガの見積もり金額をPDFにまとめたものを添付します。
メールの文章の意図について解説していきます。
①聞かれたことに対して簡潔に解答する
クライアントによっては、打診してもイラストレーターが忙しく、断られることも予想しています。
また、以前は漫画をやっていたけど今は請けつけていない、ということもあるため仕事の可否を聞かれているので、これに対しての疑問を解消しています。
言わなくてもわかるだろう、と自分勝手に返答せずに聞かれたことはしっかり返信するように心がけましょう。
その場合は「手持ちの仕事もあるため、ご依頼の内容によりますが・・・」と、どのぐらいの分量の仕事なのか、先に提示させてから決めるようにしても良いでしょう。
②仕事の詳細をヒアリングする
問い合わせのメールで仕事の詳細まで記されていない場合もよくあります。
テイストについてや、仕事の範囲がどこまでか、など不明な点はしっかり確認しましょう。
イラスト、漫画と言ってもそのテイストは様々です。
ポケモンのようなタッチを求めている人に少女漫画のテイストのものを出しても仕方がありません。
クライアントの方でイメージが固まってないことが多いので
- ネットなどで近しいイメージ画像を探していただいて、参考までに送っていただけませんか
- 今まで使っていた素材があれば参考にしたいので送っていただけませんか
など、相手がイメージしやすく、手に入りやすい資料を提示してもらうと意思の疎通がしやすくなります。
③見積りをわかりやすく提示する
単価、納期に関しては先に提示することをおすすめします。
クライアント側は経費を抑えたいがために低価格で提示してくることが多く、後から金額を高くしようとしても無理なことが多いです。
かと言って高く見積もりすぎると予算に合わない、とあきらめてしまうこともあるので、どのくらいの金額を提案したらいいか悩みどころですよね。
そこで「自分が無理なく、このぐらいの金額なら気持ちよく仕事できる」という金額を設定しましょう。
1枚の絵を完成させるための労力や時間、複雑なタッチなのか簡易なデザインなのか、修正に対応しようというモチベーション等々を踏まえて、1枚5000円なのか、1万円なのか・・・妥協せずに提示しましょう。
参考記事>>
絶対に損しない!クリエイターの金額交渉術と見積もりの計算方法
サンプルがついていれば「このぐらいの品質で、このぐらいの金額でやってくれるんだ」という目安が依頼主に伝わることで、検討できます。
「交渉がスムーズにいくか」というのも、クライアントが依頼をするかどうかのポイントでもあります。
サンプルの送付は出来るだけ速やかに行いましょう。
相手に対してスムーズに取引できる印象が強くなると同時に、「この人は仕事に慣れているな」と思わせることができます。
日ごろからすぐサンプルが出せるように自分のポートフォリオを定期的にチェックして最新のものを出せるよう準備しておくことが大切です。
ある程度実績を積んでいくと人伝いに仕事の問い合わせがくることもあります。
その場合は「〇〇さんには以前大変お世話になりました」と一文足すだけで、紹介者と関係が良好だったこと、それに対して礼儀を尽くしていることをさりげなくアピールできて良識のあるイラストレーターであることを印象付けることができます。
どのようなイラストレーターが求められるか
速やかに情報を提示し、さっさと検討してもらい、仕事になるなら早く始めた方がお互い助かります。
きちんとした取引先であれば、この態度をとてもありがたかってくれ何度も依頼してくれます。
そのために仕事の対応面で私が気をつけている点は以下の3つです。
- レスポンスが速い(クライアントからのメールへの返事はできるだけその日中に)
- 細かいヒアリング(どこをどう修正したいのか具体的に聞く、子供向けの絵といってもA案B案つくって反応を見るなど)
- 納期に遅れない、万が一遅れそうならその理由と代わりの納期を出来るだけ早く打診する
最初に自信を持って自分に優位になりそうな金額を提示したあと、このようにしっかり対応することで確実に依頼を受注することができるようになります。
まとめ
誠実な対応ができれば問い合わせを受注確定まで持っていくことができます。
- 聞かれていることに簡潔に解答する
- 詳細をしっかりヒアリングする
- 速やかにサンプルや見積もりを提示する
などスムーズに交渉ができる返答を心がけることが重要だったりします。
好きな絵を描くだけではなく、いかに気持ちよくクライアントと仕事をしていくか、積極的な姿勢と根気よくお付き合いしていく地道な活動がイラストレーターには必要なのだと思います。
×「金額を安くすること」
◎「相手の求める品質で確実に届けること」
だということを学びました。