これだけインターネットが普及した現代でも、「イラストレーターなどの特殊な職業をするには都会へ出なければいけない」というイメージは根強く残っています。
もちろん都会が有利な面は多々あります。
しかし、何らかの理由があって「どうしても地方から出られない」という方が、イラストレーターの夢を諦める必要はないとわたしは考えています。
この記事は、現在「陸の孤島」「どこからも遠い町、島根」などと言われる島根県在住のイラストレーターが、どのように営業活動をし仕事を得ているかをご紹介していきます
。
地方在住イラストレーターの営業方法
わたしが実際に行っている営業方法は以下の通りです。
- SNS発信
- ブログやウェブサイトでの発信
- 無料マガジン作成
- 人に会える所へ行く
- 公募に出す
- 直接メールを送る
この6つの方法は、「待ちの営業」と「攻めの営業」に分かれます。
片方しかしていない、特に「待ちの営業」しかしていない人は破綻しやすいので要注意です。
「待ちの営業」3つ
待ちの営業は「作品などを発表しながら、人から仕事をいただけるのを待つ営業方法」です。
主にインターネットを利用する手法で、コストがかからないものが多いので手をつけやすいです。
①SNS発信
これは既に多くのイラストレーター(または目指している人)がやっている事だと思いますが、わたしが実際にSNS発信をきっかけにしたご依頼を受けて感じたのは、
- なぜか地方はTwitterよりFacebookが強い
(といっても島根・鳥取の印象なので、他の地方は違うかもしれません) - SNS発信、プラスαで仕事が来る
(SNS発信だけでいきなり依頼につながることはほぼ無い)
ということです。
わたしの経験では、地元企業や個人事業主の方からご依頼をいただく場合ほぼ9割くらいFacebook経由です。
なぜかというと、「どこかの企業に属している偉い立場の人」または「お店を経営しているオーナー・店長」が個人アカウントでFacebookを登録しており、そういう方へわたしの投稿が届くきっかけが多いからなんですね。
Facebook使用年齢層が高いせいもあるかもしれません。
もちろん、ただイラストを毎日投稿してそういう方たちの目にとまるという事はないので、投稿内容は工夫しなければなりません。
地元ネタを混ぜるとか、「おっ」と思われるような自分の意見をガツンと書くとか…(後者はあまりやりすぎると、地方では特に「やばい奴」と思われがちなのでほどほどに)。
ただしSNS発信を見て「面白い人がいるなあ」と思ってもらえても、すぐ依頼には繋がりません。
おそらく島根県に限らず、地方は「直接会う」「本物を見る」ことに重きを置いているので、
- SNS発信で興味を持ってもらう+直接会うきっかけを作る
- SNS発信で興味を持ってもらう+ポートフォリオを送る
- SNS発信で興味を持ってもらう+公募に応募する
などの合わせ技が有効です。
実績ゼロでもイラストの仕事が獲得できるSNSの使い方とは・・・
②ブログやウェブサイトでの発信
地方でイラストレーターをするに当たって大事なのは、「ひとつの取引先に依存しないこと」だと考えています。
地方イラストレーターはただでさえチャンスが少ないので、大口の依頼先が何らかの理由でなくなってしまった場合、潰しがきかなくなってしまうんですね。
さらに地方の依頼は、基本的に都会よりも予算が低いことがほとんどです。
地元の仕事だけに依存していると「やたら忙しいのに収入はない」という事態になりがちです。
ということで、わたしはブログ発信を利用しています。
なるべく検索に引っかかりやすい内容でブログを書き、検索流入から依頼につながるのを狙っています。
あわせてウェブサイト(ホームページ)発信も有効です。
自分の画風サンプルや今までの業務実績を一度に見られる場所があると、ブログで興味を持ってくださった方は必ずそれらも見てくださるし、そのうえ依頼につながりやすいです。
ブログやウェブサイト発信のいいところは、「地元以外の場所から依頼を得られる」ということです。
実際、ブログやサイト更新だけで東京・大阪などの都市圏からご依頼を請け負うことがありました。
「SNSを頑張って更新しているのに、仕事がぜんぜん来ない」という方はブログやウェブサイトの利用をおすすめします。
Jimdoなど無料で簡単に作れるツールもありますね。
初めから完璧なブログやサイトを作ろうと思うと絶対に手がつけられなくなるので、最初は「ちょっとショボくてもいい」くらいの気持ちで作り始めるとやりやすいですよ。
ブログもサイトも成長していくものなので、最初は多少ショボくてもいいのです。
ネットやデジタルツールに無知だった主婦がブログで漫画連載して仕事を依頼された話
③無料マガジン作成
わたしは毎年1月、自分の活動紹介用の無料マガジンを作成して、メールフォームで請求してくださった方に無料発送しています。
これは日本セルフマガジン協会を立ち上げた「かさこ」さんの影響で始めたことです。
印刷するというコストがかかってしまいますが、最近は安い印刷所もありますので、少ないページ数や発行部数であればそこまでのコストはかかりません。
CMYKデータや冊子作り・編集の自主学習(スキルアップ)になるし、マガジンをきっかけにご依頼してくださる方もいらっしゃるので、一石二鳥です。
これは限りなく「攻めの営業」に近い「待ちの営業」です。
請求してくださった方だけに送る&あとは読んでくださった方からの依頼をひたすら待つ…だと完全に「待ちの営業」なのですが、このマガジンをポートフォリオ冊子として自主的に発送すれば、一気に「攻め」に転換します。
しかも毎回いちいち印刷したりファイルにまとめたりする手間がなくなるので、営業活動もスムーズに行えます。
「攻めの営業」3つ
攻めの営業とは「自分から動いて依頼主にアピールし、仕事を得る営業方法」です。
この営業方法が一番ご依頼に繋がりやすいのですが、「待ちの営業」に比べてコストがかかったり、体力・精神力を使ったりするので、これだけをやっていると疲れ果ててしまうデメ
リットもあります。
④人に会える所に行く
「待ちの営業」①にも書きましたが、地方は都会よりも「直接会う」ことに重きを置いている印象があります。
なので、人に会えそうな所には積極的に行くのがいいです。
直接的な依頼に繋がらなくても、同業者の知り合いを作る事でステップアップができたり、展示会のお誘いや仕事の紹介などにつながる場合もあります。
ちなみにわたし自身は友人が経営するバーへ飲みに行ったら、偶然わたしのSNSをチェックしていたお客さんがいらして、イラストのご依頼を頂けたことがありました(笑)。
何がご縁になるかはわからないのです。
直接参加のイベント出店(出展)も勿論いいのですが、無名の時にやみくもに出店していると赤字になるだけだったりしますので(※経験談)、計画的に出店していきましょう。
⑤公募に出す
こちらはもう読んで字のごとくですが、ひとつポイントがあります。
それは「地方の公募に出す」ということです。
地方の公募はプロイラストレーターの死角になっていることが多く、さらに「応募資格:〇〇県在住の方のみ」という条件付きだったりするので、競争率がいちじるしく低い場合
があります。
ぜひ、ご自分のお住まいの地域で「死角」になっていそうな公募を見つけ出してください。
もちろん、都会の公募に挑戦するのもOKです。
企業に直接営業するのは怖い…という方に、公募は特におすすめの方法です。
直接営業の場合「求めているかいないのか分からない」という状態でコンタクトを取ることが多いのですが、「公募する」ということは、最初から「求めている」ということですので。
イラストの公募・コンペ・コンテストを開催している情報はコチラにまとめました!!
⑥直接メールを送る
とにかく自分が「気になる!」と思った所へメールを送る方法です。
企業でもキュレーションサイトでも憧れの人でもかまいません。
SNSを毎日更新しながら企業に声をかけてもらうのをじっと待っているくらいなら、自分からコンタクトを取る方が一番手っ取り早いです。
もちろん「なんでもしますので、使ってください!」みたいなメールではなく、外注業務を請け負うイラストレーターを必要としているのかという確認や、自分はどういう制作業
務でお役に立てそうかというアピールを書かねばなりません。
かといってダラダラと長文を書いても、読んでもらえないおそれがあります。
わたしの場合はメール文章を簡潔にして、「ポートフォリオサイトはこちらです」とURLを案内したり、「よろしければポートフォリオ冊子をお送りしたいのですが…」と無料マガジン送付のお願いをしたりしています。
もちろん時には無視されることもありますが、そんなことで毎回傷ついていたらフリーランスはやっていけません。
そして、自分が想像しているよりも意外と丁寧に対応していただけるものです。
一番大事なのは営業の仕方ではなく、自信を持つこと
6つの営業方法を書いてきましたが、はっきり言って最も大事なのは「営業の仕方」ではなく、自分の仕事や制作・作品に自信を持つことだとわたしは考えています。
なぜかというと「こんな営業の仕方がありますよ」とお伝えしても、多くの方が
「自分はまだそこまでの実力に至っていない」
「自分なんかのレベルでそんな営業をするのは怖い・恥ずかしい」
という気持ちを持っていて、そのために尻込みしてしまうからなんですね。
だから、自分のイラストに自信を持てるような活動をしていくことが大事です。
そしてもうひとつは、「また頼んでもらえるような仕事をする」こと。
営業による新規開拓も大事ですが、リピーターがつくような仕事ができるのも大事なことです。
堂々と胸を張れるようなイラスト仕事を沢山して、自信をつけていってくださいね!
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