僕がイラストレーターを真面目に目指して最初に疑問に思ったテーマです。
自分なりに解答を探そうといろいろ調べたり、人に聞いたりもしましたが、どうしても二極化して相反する思想となるので考えれば考えるほどわからなくなりました。例えば
◆あらゆる絵柄を描きわけられた方が良い派意見
- 単純に武器が増える分営業しやすくなる、食い扶持が増える
- 依頼された仕事をこなすのがプロ。どんな絵も描けてこそイラストレーター
- イラストレーターは絵を描いてナンボ!ピーマンについて知らない八百屋から野菜を買いたくないように、描けない絵があるイラストレーターに描いてほしくないでしょう
これに対して
◆ひとつの絵柄を貫き通すべき派意見
- 確固たる武器を持っていないと埋もれてしまう
- 自分にしか描けない絵を追及することで価値が高まる
- なんでも屋の器用貧乏は忙しいだけで儲からない
みたいな感じ。
確かにどちらも合ってそうだし、間違ってなさそう。
いったいどちらが正しいのか。今回の記事ではそこを追及してみたいと思います。
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アンケートしてみた
ツイッターでアンケートを実施してみました。結果は・・・
【アンケート】イラストレーターって複数のタッチを描き分けられたほうがいいのでしょうか?それとも自分のタッチを追及したほうが良い??あなたの意見を聞かせてください!
— イラストレーター生存戦略の粕田 (@ksd_illust) August 15, 2018
見事に分散された結果となりました。
やはり甲乙つけがたいテーマなのでしょうか。
自分の絵柄を確立した方が「あの人だ」って認知されるからいいんだろうけど、クライアントの要望も応えたいから色々難しいねぇ… https://t.co/mByp5OTEbX
— ヤドカリコ🏠漫画化ブロガー (@yadokarikodayo) 2018年8月15日
すごく分かります…。持っている技術の見せ方はとても悩むところ💦 https://t.co/nPzURerXL9
— あや子@筆の人 (@fudenchu) 2018年8月16日
スタンスの違い
そもそもこのふたつの意見は、同じイラストレーター職でありながら全く別の仕事観を持った考え方なのです。
どちらが正しいって話ではなく、自分はどういうスタンスでイラストレーターをしているか、の違い。
あらゆる絵柄を描きわけられた方が良い派意見は職人気質。
ひとつの絵柄を貫き通すべき派意見はアーティスト気質、と言えるのではないでしょうか。
あなたはどちらが性に合ってますか??
職人気質イラストレーター
イラストレーター=装飾画家。
依頼された仕事はソツなくこなす。
あくまでもイラストは装飾なのでメインコンテンツを引き立てるために存在している。
決して派手ではないが、手堅く安定して多くの仕事を受注することができる。
なんでも描ける人の需要は高いが単価は安くなる。
アーティスト気質イラストレーター
イラストレーター=クリエイター
自分にしかできない表現を追求したい。
オリジナルの表現ゆえにライバルが存在しない。
唯一無二であれば単価があげやすいが、活躍できるフィールドは限定される。
セルフブランディング必須。
参考記事>>
脳内アーティスト稲沼竣に学ぶ月収倍増の秘密!セルフブランディングの重要性
最適解は両取り?
まったく異なるスタンスではあるものの、これらを合わせたハイブリッドなスタイルを作り上げることはできないものか。
例えば・・・
複数のタッチを描き分けられる技術があるに越した事はないと思うんですが、幅が広すぎると依頼側に「どんな絵を描く人か」という印象が残りにくい気もするので、いっそ名義(作家名)を分けて活動してみるのもアリかもしれませんね。
— サタケシュンスケ|イラストレーター (@satakeshunsuke) August 16, 2018
じつはぼくも数年前から別名義でも絵を描いています。仕事にもなっていて、とある年鑑にも載せてもらってますが、下手なので内緒にしています。お会いした方にだけこっそり伝える小ネタとしてもう少し温めておきます。
— サタケシュンスケ(イラストレーター) (@satakeshunsuke) 2018年8月16日
・・・という考え方もあります。
WEBサイトを作るのも(少し調べれば)個人でいくらでも簡単に作れる時代です。
SNSアカウントもいくらでも作れますし自分で自分を売り出す方法はたくさんある。
であれば、絵柄(タッチ)別に作家名を分けて売り出して管理してみてはいかがでしょうか?
例えばあなたが「リアル系人物」「ゆる可愛い動物」「コミカルなエッセイ漫画」をそれぞれ仕事として描きたいと思っているとしましょう。
このバラバラなテイストをひとくくりに描いているイラストレーターです!と売り出すのも良いのですが、人によっては専門性に欠けるパッとしないイラストレーターと捉えられるかもしれません。
それを回避するために作家名を3つに分けてポートフォリオサイトもそれぞれ作ります。
- 老若男女、写真のようにリアルな人物描写専門のイラストレーター
- ゆる可愛い動物キャラクターデザイン専門イラストレーター
- 笑えるコミックエッセイしか描かない漫画家
としてそれぞれ売り出すことで、専門で描いてる人だ!というブランディングができるうえに1種類に絞らないのでリスクも分散できます。
この方法は結構効果的なんじゃないかなーと思います。
ホームページを3つ作ったり、それぞれ別に売り出したりする必要があるので管理運営は大変になりそうですが。。
既に実行されて仕事にもなっているというサタケさんには脱帽です!
例えば頭痛を治す薬を求めて薬局に入ったとします。そこに
- 頭痛や腹痛、生理痛から筋肉痛までなんでも効く万能薬
- 頭痛で悩むあなたのための頭痛薬
がふたつ並んでいたらどちらを購入するでしょうか?
ほとんどの人が頭痛薬を購入するでしょう。
ひとは専門的に特化したものを使いたくなる傾向にあります。
あなたの目指すイラストレーター像は?
職人気質、アーティスト気質。どちらが優れているとかって話ではなく、結局はどういうイラストレーターになりたいか。目指す方向性で描き分けられたほうがいいのか、ひとつの絵柄を貫いたほうが良いのか決めたらよさそうです。
ただ、それぞれメリット・デメリットはあります。
イラストレーターとして生き残るためには得意なタッチの専門家として複数アカウントを運営するという方法もありなのではないかと思う次第です。
自分の売り出し方について今一度考えてみてはいかがでしょうか?