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個展で念願の仕事を獲得した漫画家が教える個展開催のポイント

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小石川カナリ
千葉県酒々井町在住、漫画家・イラストレーター。学研の漫画雑誌でデビュー後、雑誌・書籍・広告他で漫画・イラストを発表。女性向け・子供向けの作風です。 「漫画で、イラストで、ときめきをお届けします」/foriio
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はじめまして。

千葉県酒々井町在住漫画家・イラストレーターの小石川カナリ( @canarycage )です。

私は地元でよく個展を開催しています。

べつに絵画を展示して販売する画家というわけではありません。

グッズを販売して収入を得るクラフト作家でも、誰もが知っている有名漫画家でもないです。

そんな私が個展をやる理由は

地元でご当地作家としてお仕事をしたいと考えているからです。

千葉県酒々井町で集客できれば顧客との関係も築きやすく息の長いクリエイターとして活動できるようになるはずです。

そのために、地元に自分という作家がいるということを知ってもらうことを目的に個展を開催しています。

この記事では、個展を通して念願の地元企業からの仕事を依頼された私が

・オススメの個展会場の選び方
・個展で自分を広く宣伝する方法

について詳しく解説していきたいと思います。

これから個展を開催したいと思っている方の参考になれば幸いです。

 

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オススメの個展会場の選び方

個展を開催するにはまず日程と会場を決めなくてはいけません。

開催する場所はどこにするのか。

これは目的によって変わると思います。

例えば、以前ジャンルの違う商業作家と仕事に繋がるようなカタログ的な展示というテーマでグループ展を開催した際には、出版社や編プロの多い飯田橋でギャラリーを借りました。

私の個展の目的は「地元にご当地作家として認知される」ですから、当然酒々井町を中心にお隣の成田市・佐倉市あたりも含めた地元で探すこととなります。

どういう目的で個展を開催するのかを考えましょう。

目的を達成できる場所、条件で会場を選定します。

 

ギャラリー選びのポイント

物販を目的とするのであれば

「大きな駅の近くの人通りの多い通り沿いで外から中が見やすい1階にあるギャラリー」

等の条件が一般的です。

当然のことながらこれだけの条件を満たすとなるとギャラリーの料金も高くなります。

グループ展であればメンバーで頭割りもできますが、個展ですので自分ひとりで負担しなくてはいけません。

物販を目的としなければ選ぶ条件も変わってくるかと思いますが、展示から得る直接の収入はないものと考えると会場費はやはり大きな持ち出しとなってしまいます。

ここでオススメしたいのが、使用料を支払って借りる貸しギャラリーではなく、公募をしている企業のギャラリーです。

企業のギャラリーは物販は不可のところも多いのですが、無料で立派な会場を貸してくれるので、販売を目的としていない個展の会場としては大変魅力的です。

個展を開催するには結構費用がかかります。

・パネル印刷代
・アナログの絵を入れる額やマット
・フライヤーや招待状の印刷代
・発送代
・会場費

等々。この中でも高額な会場費を無料にできるのはかなり大きいです。

開催したい場所の周辺でそのような企業の運営するギャラリーがないかネットで検索してみるか、もしくはその地域に実際に足を運んで探してみて下さい。

企業のギャラリーの公募の際の条件は、会場によって違うのですが、

  1. 個展経験がある
  2. 地元在住、地元ゆかりの作家限定
  3. 物販禁止
  4. ギャラリーによる審査がある

等がよくある条件です。

その他の条件がある場合もありますので、よく調べてから自分に合った会場に応募して下さい。

応募期間を限定している会場もあるので要確認です。

企業のギャラリーは貸しギャラリーと比較しても大きなものが多いので、①の個展経験があるという条件は満たしていないと作家側も大変だと思います。

個展の経験値をあげる最初の一歩としてオススメなのが

・グループ展に参加してみて展示慣れしてる人からノウハウを得る
・比較的気軽に安価で借りられる場所でミニ個展を開催してみる
(壁を展示スペースとして貸し出しているカフェや、一角を展示用に住民に貸し出している公共施設等)

こういった方法で本格的な展示をひとりでできる位に経験値を上げておいた方が安心です。

その場合勿論応募の際の実績にもなります。

私もグループ展に何回か参加させてもらったり、知人のお店の壁をギャラリースペースとして常設で展示を任されたことがありましたので、いざ個展となっても準備するべきことは理解できていたので困ることは特になかったです。

④の審査に関してはギャラリーによって基準が違います。

企業のイメージもあると思いますので、あまり過激な作風は歓迎されないかもしれません。

コンペ的な募集をかけているところもありますので、作品が一定のレベルに達しているか、という基準を設けているギャラリーもあると思います。

とはいえ、敷居の高そうなギャラリー(普段は美術・工芸・写真等の展示をしている)でも応募してみたら案外貸してくれたりしましたので、ここでやりたいと思う会場があれば臆せず果敢に応募してみてください。

 

オススメの企業ギャラリー

私が今までお借りした(これからお借りする)企業ギャラリーをご紹介します。

■まがり家ギャラリー
地元、千葉県酒々井町にある飯沼本家という酒蔵の商業施設内にあるとても雰囲気のあるギャラリーです。
古民家の一階がカフェと売店、中二階と二階がギャラリーです。
物販可で1階の売店でお会計してくれます。
千葉県ゆかりの作家のみ応募可。無料。個展経験必須。審査あり。

■NAAアートギャラリー
成田空港第1ターミナル5階にあるギャラリーです。

こちらは地域関係なくどちらにお住まいの方でも応募できます。
空港という場所柄LCC等を利用して全国からアクセスしやすいのも魅力です。
無料。物販不可。応募者多数の場合は抽選で決定。審査あり。

■ちばぎんひまわりギャラリー
東京日本橋のコレド室町内にあるギャラリーです。

常駐のスタッフもいて美術館の展示室のような雰囲気です。
千葉県ゆかりの作家のみ応募可。無料。個展経験必須。物販不可。審査あり。
次回開催予定の個展の会場です。(6月~)
皆様どうぞ実際に会場に観に来てください!

 

個展で自分を宣伝するために

個展開催が決まったら、まず最初に会場のあるエリアのタウンペーパーや地元情報紙に積極的にイベント情報の掲載依頼を行います。

個展開催時に顧客となりうる方々に、実際に展示会場へ足を運んでもらい世界観をじっくりご覧頂ければベストですが、そこにまで至らなかったとしても各媒体に個展開催の告知をすることで「作家名」と「イラスト」がセットで掲載され多くの方の目に触れさせることができます。

それ自体が個展だけではなく自分自身の宣伝にもなります。

意外と、イベント情報だけでなくインタビュー記事を作成頂けたり、作品を大きく掲載してくれるケースが多く、これまでも想像以上の宣伝効果がありました。

また、折角の機会なので取引先や営業先に個展のフライヤーを送付し、その際には一緒にポートフォリオを同封する等営業に結び付けるのもオススメです。

1回開催しただけでは時間の経過と共に忘れられる可能性が高いので、可能な範囲で継続的に開催して存在をアピールし続けることも大事なんじゃないかと思います。

タウンペーパーの掲載依頼は余裕をもって2カ月前位には行った方がいいです。紙面の内容が既に決まっていてスペースがあまり取ってもらえなくなってしまうので。

 

賢い展示作品の作り方

会場で展示する作品を準備するのが大変ではないかと質問されたことがあります。

さすがに全て描きおろしとなると厳しいです‥‥。

私は過去に仕事で描いたものから展示に適したものを選んでいるので、描き下ろすのはフライヤーに使用するキービジュアルと数点位です。

この方法なら、仕事をしながら展示用作品も作れるので効率的でもあります。

私を知らない人にも楽しんでもらえるよう、会場によってコンセプトを変えて展示の構成を考えていますが、同時に営業的にも世界観と作風が伝わりやすい展示をこころがけています。

年末年始に成田空港で開催した個展の記事がありますので、宜しければ参考までにご覧ください。

 

個展では思いもよらない縁ができることも

個展会場には可能な限り在廊することをオススメします。

商談会のように営業目的の人が次々やってくる訳ではありませんし、いつどのような人がやってくるか実際やってみないと全くわかりません。

準備が大変な割になかなか途方もない話ではありますが、商談会ではないような面白い出会いも結構ありますので、釣り糸を垂らした釣り人のような根気を持って、じっくり機会を待ちながら、ご縁を逃さないようにして下さい。(私は会場に仕事や資料を持ち込んで暇な時は作業しています。)

私の場合、タウンペーパーを見た地元自治体の方がご来場下さり念願の地元のお仕事に繋がっています。

皆様にも素敵なご縁がありますように。

 



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