初めまして、落武者と申します。
現在フリーでいろいろやりたい無職です。
なんだ無職か!って話ですが、以前TV業界の下請け制作会社で数年間イラストレーターとして働いておりました。
TVでイラストが使われるって言うとなんだかすごいと思いませんか?
いつかはTVで自分の描いたものを見たい!なんて人もいるかと思います。
また、TV業界の事についてもいろいろ気になる事あると思います。
- かなりブラックなんじゃないの?
- 給料はどうなの?
- どんな絵を描いてたの?
- 納期は短いの?
という訳でそんなTV業界の事を根ほり葉ほり書いていこうと思います。
将来TV使うイラストを描きたい!
いろんなイラストレーターのお仕事に興味がある!
TV業界の事、興味がある!
という方は是非最後までご覧ください。
仕事内容
まずは仕事内容について。
僕が勤めていた会社で一番多かった内容は2Dアニメーションです。
その他にも3Dアニメーションや映像修正なんかもありました。
※映像修正とはモザイク処理や余計に写り込んでしまったものを消したりする作業です。
もちろんイラスト単体の仕事もあります。
イラスト単体のお仕事は全体の2~3割程度でしたが、2Dアニメーション、3Dアニメーション共にイラストを描く作業が伴うので、イラストを描くスキルは必要になってきます。
一番求められた絵のジャンル
TVで見るイラストで、一番思いつくのが【似顔絵】ではないでしょうか?
しかし実はあまり似顔絵の依頼はありません。
一番多いのは状況説明イラストでした。
例えば芸能人がトークで「買い物中に財布を拾ったら財布の中に100万入っていた」なんて話をしたとすると
- 買い物してるイラスト
- 落ちてる財布を見つけるイラスト
- 中を見て驚いているイラスト
の三枚のイラスト発注が舞い込んできたりします。
放送ではそれを芸能人のトーク中にワイプか全画面で映し出されたりします。
ちなみに恐らくどの会社でも、お得意様のような番組があったりします。
ヒルナンデスで使うイラストはほとんどうちが請け負っている!
ひるおび!はあたしの会社でだいたいが請け負っている!
バイキングのイラストはうちだよ!
なんて感じです。お得意様のほうが発注側も受注側もコミュニケーションがスムーズだし、絵柄などにブレもなくなりますので双方にメリットがあります。
ではなぜ似顔絵の仕事があまりないかについてですが、理由は簡単。
似顔絵にめちゃくちゃ強い会社が既に存在しているからです。
似顔絵は依頼が来てから描くと非常に時間が掛かったりします。なのですでに大量ストックされている会社があれば、発注後すぐに納品できます。
なので似顔絵の仕事はそういった似顔絵に強い会社に持っていかれます笑
求められる絵のレベル
続いて絵のレベルについて。
TVで使われるイラストってなんだかレベル高そう!そう思われる方も多いかもしれませんが、TVは分かりやすいイラストと早さが求められます。
なので時間を掛けてレベルの高い絵なんてのはあまり求められません。
何なら写実的すぎるような絵は敬遠される場合もあります…
というのも相手はTV局ですから、本気を出せば自分たちで実写を撮れるわけです。
それをわざわざイラストで発注する理由は主に2つありまして
- 視聴者によりわかりやすく説明する為
- 著作権や許可の問題で実写を使えない為
です。
つまり写真に見えるようなイラストともなると「勝手に写真使ったな!」というクレームに繋がりかねないのです。
簡潔にわかりやすく、イラストということが人目で分かる絵
これがTVにもっとも好かれるイラストのレベルです。(もちろん例外でレベルの高い絵を求められる場合もあります。)
30分程度で大雑把に描いたものと2時間みっちりかけた描いたもの2枚を出したところ、30分程度の大雑把な絵が採用されるなんてことも実際に結構あります。
労働環境
続いて労働環境について。
これはなんとなく想像してる通りだとおもいますが、悪いです笑
取引先がTVですから、もちろん土日祝日は関係ありませんし、時間も関係ありません。
一応シフトなどは決まっていますが、残業となればいつ帰れるかの保証もありません。
月曜から金曜まで会社に泊まりで居続けたこともあります…笑
もちろん残業代もありませんでした。
特に労働環境で一番ストレスに感じたのは、帰り際の発注の電話です。
正直帰ってしまえば知ったことではないのですが、営業時間内にかかってきたものは出るしかありません。
そしてそういう退勤ぎりぎりにかかってくる発注内容と言えば
「〇〇のイラストを朝5時までにお願いします。」
みたいなのが多かったです。相手もこっちの退勤時間が分かってるので、ギリギリ電話してくるものはもう急ぎの案件がほとんどです。
そうなると会社にお泊りが確定し、翌日もそのまま出勤となるわけでした笑
なので基本約束事なんかもできないし、休日も呼び出されることもあるので安易に旅行の計画なんかもできたものではありませんでした。
給料について
続いて給料について。
僕が貰っていた金額は大学の初任給程度でした。
もっと低いかと思った。なんて声がありそうですが、低いです笑
というのも僕の勤めていた会社は残業代もなければ各種保険などもありませんし、交通費も全額支給ではありませんでした。もちろん、賞与や退職金制度もありません。
なので決して人並みの給料というわけではありませんでした。
それでも実家暮らしじゃないとやっていけない!というほどは少なくはありませんでした。貯金もわずかにはできますので、全然やっていけるレべルでは貰えました。
イラストの単価
続いてイラストの単価について。
正直会社に努めている以上イラストの単価を気にしてもしょうがないのですが、一応何かの参考までに書こうと思います。
僕の勤めていた会社ではだいたい1枚5000円~2万円程度でした。
平均で言うと1万円程度でそれ以上になると下手したら断られたりします笑
TVも今は割とお金にシビアで、イラストにあまりお金をかけたくないのが正直なところでしょう。
しかし会社でやっている以上人件費や経費も掛かってくるのであまり安売りもできませんでした。
TV関係の仕事につけてよかったこと
最後にTV関係の仕事についてよかったことを話して終わろうと思います。
散々悪い事ばっかり書いてきましたが、もちろん良い事もあります。笑
まず自分のイラストがTVで映し出されることです。
そんじょそこらのイラストレーターより自分の描いた絵の方が人目に触れています(注目度は置いといて…)。
何回も見れば感動はなくなりますが、やはり自分の描いたイラストがテレビに映るのは嬉しい事です。友人や家族にも「あ、この絵俺が描いたやつ!」なんて自慢できる機会もあることでしょう。
また自分が一番よかったなと感じることは、いろいろな技術を学べることです。
僕の勤めていた会社ではイラストだけでなく幅広い分野の仕事もしていたのでたくさんの技術が学べました。
やる気次第で、広く深く学ぶこともできます。
その為もし転職することになっても経歴に箔が付く事でしょう。
いろいろなソフトを扱うことができ、〇〇という番組で使用するイラストを描いていました。等と言えば少なからず聞こえは良い事でしょう笑
就職or転職の方法
続いてTV業界の下請け制作の就職の方法について。
僕が就職した方法はネットの求人からです。
意外とネットで探すと求人はでています。
応募条件について
応募条件については会社単位で違ってくると思いますが、案外学歴や職歴関係なく、未経験でも募集しています。
しかし、最低限の画力とやる気は必要です。
やる気がめちゃくちゃあってもまったく絵が描けません。とか、絵は描けるけどやる気がなさそうな人は面接や書類選考で落とされます。
しかし他のイラストレーターの求人よりは応募条件は低いのかと思います。
というのも幅広い分野の仕事があるので、画力だけがめちゃくちゃ高い人より、何事にも柔軟にできる人が重宝されます。
その為募集時点ではいろんな人を見たいという意味で広き門にされてる場合が多いのかと。
応募の際の注意点
まずあまりに人数が少ない会社は危険かもしれません…
前述したように、TV業界相手の仕事だといつどんな急発注がくるかわかりません。
なので少人数制だと本当に引くぐらいのお泊り連勤が続くことがあります。
大手だと恐らく大人数のシフト制できっちり休みが管理されると思いますので、就職の際は人数をひとつの目安にするのがいいかもしれません。
あとは画力があるけど描くのがめちゃくちゃ遅いという人は正直きついです。
本当に時間をめちゃくちゃ意識しなければならない仕事です。
1時間以内に!なんて発注も来たりします。
無理を承知で受けても、時間が迫ればADやディレクターから早く!と連絡が来ます。
故に時間制限の圧迫感から、焦ってミスして更に焦るという最悪の事態に陥ります。
僕もあまり早く描ける人間ではないのでかなり焦った経験も数知れずです…
もしこれから入社する人や、今後就職を考えている人はTVで使われるイラストをよく見て、「早く簡潔に、そしてわかりやすいイラスト」を描けるよう練習しとくといいです。
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ネットの反応
初めて知りました
大変なお仕事なんですね
画力も速さももとめられる
時間も拘束されるでも そうゆう方が頑張ってて
TVとか成り立ってるんだなぁと知らない世界で楽しくよませて
もらいました(°▽°)— ないんちゃん (@ninechan00) September 13, 2019
読ませて頂きました。
落武者さんが元イラストレーターだったことを今更知り、画力の高さに納得です!😌
突っ込んだ話が聞けて面白かったですし、絵を描いて生きていく厳しさも伝わりました。
いつか自分も『元ニートから超一流イラストレーターになるまで』みたいな記事を書けるよう頑張ります!!
— からぽん (@Syo_031) September 13, 2019
TV業界下請けイラストレーターの話のまとめ
という訳でいかがだったでしょうか…?
なんだか暗い話が多かった気がしますが、やりがいは感じる事の多い仕事だと思います。
また、未経験でも採用してくれるのはイラストレーターを目指したい人の希望にもなるのではないでしょうか。
悪い事でも物は考えようで、会社に泊まれるのは出勤や退勤時間を減らせ、その時間を技術湖向上に使えたりします。会社にいると余計な誘惑もないですしね。
また、時間や絵柄の制限の下で絵を描くということは絵の上達に繋がる事だと思います。
いつか有名なイラストレーターの修業の場!なんて考えて働くのもいいかもしれません。
僕は無理でしたが。
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