イラストレーターの仕事

器用貧乏なイラストレーターだった僕が絵のタッチを描き分けなくなった3つの理由

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ひらのんさ
島根県出身。2010年よりフリーのイラストレーターとして営業開始して、 何とかかんとか絵のお仕事だけで11年やってこれました。 現在は、書籍・雑誌を中心にwebやパンフレットのイラスト、漫画を描いております。
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はじめまして、イラストレーターのひらのんさ( @hiranonsa )と申します。

普段は書籍やwebなどで、挿絵を描いております。

僕がイラストレーターを始めた頃は、色々なタッチでイラストを描いていました。

多分、ある程度絵が描ける方には、わかって頂けると思うのですが、なんとなく色々なタッチを真似て描けるので、イラストレーターとはそういうものだと思っていました。

これが、僕が人からよく言われる「器用貧乏」たる由縁なのですが、当時はとにかく自分のできるものだったら「なんでも受けてやる!」という気持ちだったので、来る仕事は拒まず、基本断りませんでした。

タッチはその都度その都度、合いそうなものを選んで提案したり、逆にお客さんから渡されたサンプルイラストを、僕風にアレンジするような、グレーなお仕事もしておりました。

 

フリーのイラストレーターになってから、5年経った頃。

イラストレーターとしての未来や、我が子が大きくなるにつれてお金がかかることへの不安、高くなる税金にうなされつつ、慢性的な不完全燃焼のようなモヤモヤした状態だったのを覚えています。

そんな時、あるきっかけでタッチの描き分けをやめることにしたのです。

その3つの理由をご説明します。

僕と同じく器用貧乏でモヤモヤした思いを抱えるイラストレーターさんに是非読んで頂きたいです。

 

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理由1:ポートフォリオが散漫になる

そんな頭打ちを感じていた時に、フェイスブックで流れてきたイラストの講座を受講することにしたのです。

イラストレーターのサトウリッチマン先生の講座で、イラストの講座を受けた後、ポートフォリオの講評をしていただきました。

その時、僕は一応5年キャリアがあり、多少の自信をもってポートフォリオを提出したのですが、サトウリッチマン先生に、こう言われました。

「色々なタッチを載せているポートフォリオは、見る側には「上手いね」という印象しか残ら
ないよ。ポートフォリオに載せるイラストは絞ったほうがいい」

言われてみれば確かにその通り。

僕が受けている仕事のほとんどは、僕のイラストへの依頼というよりは「イラストが描ける人」への依頼ばかりだったのです。

 

理由2:制作物のクオリティに差が出てしまう

サトウリッチマン先生にアドバイスをいただいてから、僕の中にも、色々なタッチを描く事の弊害が思い当たりました。

イラストの仕事をする時、確かに色々なタッチが描けて重宝がられる事はありました。

ただ、タッチによっては得意なものと不得意なものがでてきてしまうのです。

あるお仕事で、一つの書籍の中の章ごとにイラストを変えて表現したいというご要望がありました。

色々なイラストレーターに頼むより、複数のタッチが描ける僕ひとりに頼んだほうが効率的なのでというご依頼でした。

いくつかのタッチはうまくいきました。

でも1点だけ「萌え系」のイラストというご指示があったのです。

僕はそういう絵は描けませんと一度はお断りしたのですが、僕のポートフォリオにあった女性のイラストサンプルのような感じでお願いしますと依頼されてしまいました。(普段女性イラストはほとんど描きません…)

仕方なくお引き受けすることにしたのですが…。

何度かトライして提出してみたものの、なかなかOKがもらえず。

自分としても正解がわからない事でストレスが溜まりました。

最終的には、そこだけ別のイラストレーターさんにお願いすることになり、大変ご迷惑をかけ
てしまうという最悪の結果になってしまったのです。

たくさん描けるという事は、タッチを作り上げる「練り」のようなものが足りないので、自分の中の正解がわからず、中途半端なものを作品として提出してしまうという悪い例だったと思います。

 

理由3:絵を描くことをストレスにしたくない

僕がタッチを描き分ける事で一番の問題だと思っているのが、「なんのためにイラストレーターになったのか」という問題です。

ただ単に「イラストで食べていけるだけで幸せ!」だったら良いのですがイラストレーターという職業は、絵を描くのが好きというスタートの方が多いと思います。

自分が得意なタッチなら問題なくとも、あまり得意でないタッチのご依頼の場合、上述した例の通り、自分の中での正解がないためストレスが溜まるだけの、ただしんどい作業になってしまいます。

もちろん、お金のためだと我慢する事もできますが、そういうストレスが溜まるイラストを描
いていると

「なんのためにイラストレーターになったのか…」

と自問自答してしまうのです…。

好きで始めたイラストの仕事がストレスになるのなら、アルバイトでもなんでもいいやとなってしまうのは、もったいないと思いました。

 

タッチを絞ったイラストレーターさんの証言

依頼する側の立場に立った時、完成の未来が想像しづらいだろうなと思ったんです

こういう思考は重要ですね!!

 

before afterのポートフォリオ画像をご覧いただければ、どちらが依頼しやすいか明白…!

タッチを絞ったことで見える光明

以上3つの理由から、僕はタッチを絞ることにしました。

ちなみに、サトウリッチマン先生からは

「タッチを1つにすべし」

とアドバイスを頂いたのですが、僕はチキンハートなので一番描きやすく受注が多かったタッチと、講座で「このタッチいいじゃん!やっちゃいなよ!」と褒めて頂いた「少し面白いイラスト」の二つに絞って仕事をするように変えました。

実はタッチを絞ったポートフォリオで営業をするようになってからの方が受注が増えました!

特にオリジナルで描いた「息子とカルタ」のタッチでお仕事を頂けることが多くなりました。

現在は、その「少し面白いイラスト」がメインでお仕事をさせて頂いております。

それに、なんだかんだと今の仕事が、嫌にならずに11年続けてこれたのは、タッチを絞ることで、できるだけストレスを減らせたことも一つの要因だと思います。

タッチを絞ると仕事が減るのではないかという不安もあるかと思います。

でも器用貧乏に泣いているイラストレーターさんは是非、得意なタッチを磨いて、唯一無二の武器にして営業してみてください!

もしかしたら仕事量が増えて、ストレスも軽減できるかもしれません!

どうしても1つに絞れない場合は、タッチ毎にポートフォリオを分ける戦略もありだと思います!

 



 

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