イラストレーター・シルクスクリーン作家の森 温(もりはる)と申します。
5年前に美術教師を辞め、フリーランスイラストレーターとしてやっていくことを決意し、今現在は企業さんのオリジナルグッズやロゴ、イベントポスターなどを手掛けています。
(美術教師の仕事や給与事情についてはコチラの記事をご覧ください:【美術教師のなりかた】給料事情や大変なところなど経験者が教えます)
ところで普段、皆さんはどんな画材を使って絵を描いていますか?
私の場合、「シルクスクリーン版画」をよく使います。
今回は素敵な画材なのにあまり知られていない「シルクスクリーン版画」をご紹介していきます。
シルクスクリーンって何?
昔、プリントゴッコという商品があったのをご存知ですか?
好きな絵や文字を自分でプリントできる、シルクスクリーンの簡易版です。
これで年賀状を作っていた同世代の方、多いのではないでしょうか?!
私はこれがきっかけでシルクスクリーンにハマりました。
四角い枠に、網戸のようなメッシュ素材の布をピーンと貼ったものに穴を開けて、そこからインクを落として下に置いた紙に刷るという方法です。
昔はそのメッシュ素材の布を、シルクの布でやっていたことからこの名前の由来になりました。
実は、皆さんが普段着ているTシャツのプリントは、ほとんどがシルクスクリーン印刷で作られているんですよ!
シルクスクリーンは、印刷する面が平らなものであれば、何でも印刷できます。
看板や皮製品の名入れなど、意外なところにシルクスクリーンが使われています。
プリントの完成度の高さ、インクがペタッと乗った様子などが大好きで、私はイラストのお仕事だけでなく、シルクスクリーン作家としても作品を作ったり、ワークショップなどを開催したりしています。
収入の3〜4割はシルクスクリーン関連です!
シルクスクリーン活用法
シルクスクリーンを使ってで私はこんな活動をしています。
1. オリジナルグッズ制作
ポストカードや、トートバッグ、Tシャツなど、紙や布に自分のイラストをプリントして販売しています。
手で刷った温かみと、手で作ったとは思えないクオリティが出せるのがシルクスクリーンの独特の良さです!
2.Z I N Eを作って作品のPR
「Z I N E」も作れます。
Z I N Eは、小部数の自費出版本のことで、内容は作品集、詩集、マンガ、エッセイなど表現方法はいろいろです。
シルクスクリーンの沢山印刷できるメリットを活かして、Z I N Eを手作りしてみるのも面白いと思います。
私の場合は、絵本のように物語を考え、シルクスクリーンで印刷し、それを製本してアートブックのようにしています!
ZINEについて詳しくはこちらで紹介しています。
3.ワークショップの開催
シルクスクリーンができるようになったら、ワークショップの開催で活動をさらに広げることができます。
今、ワークショップがかなり熱いです!
一般の方から、企業の方までイベントなどでプロモーションのために効果的なワークショップを探しています。
シルクスクリーンは、まだあまり知られていないこともあってか、講師としてお声がかかる事も多々あります。
ワークショップの内容は、例えば
- シルクスクリーンの作り方を教える
- 好きなイラストをプリントして、オリジナルのバッグが作る
- お店とコラボして、ロゴをプリントする
などなど。
お客さんの参加費だけでは、ほとんど利益はありませんが、お店のオリジナルイラストを描くお仕事とタイアップすることで収入に繋げています。
また、教室のように定期的に開催したり、自分の工房を構えてプリントを請け負うようになると、それだけでひとつの事業が完成しますよね!(私はまだまだそこまで幅広くできていませんが・・・・笑)
シルクスクリーン印刷の始め方
この記事を読んでシルクスクリーンに興味を持っていただいた方は是非、チャレンジしてみてください!
きっと新たな表現が見つかるはずです!
始め方を解説していきます。
キットを使う
まずは手軽にやってみたい、という方は市販されているキットを使いましょう。
要領がつかめればホームセンターや100均で道具を揃えることもできます!
サン描画スクリーン
(株)新日本造形が出している、手書きタイプのシルクスクリーンキット。安価で、失敗しにくいので初めての方もトライしやすいです。
Tシャツくん
(株)太陽精機HORIZONが販売している、シルクスクリーンキットのロングセラー!
自分のイラストや出力した文字など、そのままプリントできます!
SURIMACCA
大阪のシルクスクリーン工房「レトロ印刷」がオリジナルで作っているキット。
いろんな大きさの枠が作れる上、難しい版作りも、代行して作ってくれるのでお手軽です。
マイスクリーンa4
SURIMACCAと仕組みは同じですが、パソコンからデータを出力して、スクリーン作りが一瞬で完了するという点が優れています。
お値段もかなりハイスペックですが、本格的に、また頻繁にシルクスクリーンをやりたい方に!
体験ワークショップに参加する
キットを揃えて自分でやってみるのも良いですが、体験できる教室やワークショップに参加するのがオススメです!
シルクスクリーンの手順を教えてくれる上、道具などもレンタルできるので初期費用も少なく、効率が良いです。
また、同じように学ぶ仲間ができるので、それも刺激になっていいですよ。
私が過去にお世話になったところは、
・神戸アートビレッジセンター アトリエK A V C
・レトロ印刷 JAM
(どちらも関西圏ですが、関東方面も工房はあるはず…)
あと、手前味噌ですが、私もワークショップを開催しています。
出張もOKです。ぜひこちらもチェックしてください!
シルクスクリーン作家として生きていく
シルクスクリーンは意外と需要があるので、制作できると重宝されたりします。
ZINE人気から、小さな出版社さんが自社のシルクスクリーン工房を作っていたりもします。
実際に編集さんからシルクスクリーンの問い合わせを受けることもよくあります。
また、韓国・台湾・上海などアジアにも手作りブームが広がり、海外からの勢いもすごい!
そんな状況なので、シルクスクリーン作家として生きていくのは、ありがたい時代ともいえますが、実際、売り物にするのはそれなりのスキルが無いと、正直難しいのが現実です。
実は私も、シルクスクリーンの習得に10年かかりました。
簡単そうに見えて、意外と手間がかかりますし、コツも必要です。
その辺りは、どの画材やツールを使いこなすにも同じことが言えると思います。
しかし、マイナーな技術であるからこそ、競争率も低いです。
安価な方法で、いろんなモノが出回った結果、一周回って手作りの良さが再注目されている今は、チャンスだと言えます。
ぜひ皆さんも、シルクスクリーンを一度体験してみてください!きっと、ハマりますよ笑