カスダ(@ksd_illust)です。
いきなりですが、僕は新卒でフリーランスのイラストレーターになり、1年で大失敗しました。
仕事はない、取り方もわからない、お金もない。Mr.Childrenのファンクラブ会費(年間3,000円)すら払えず退会したほどです。結局は就職して「会社員イラストレーター」になり、そこから出直すことになりました。
この記事は、当時の自分と同じ入り方をしようとしている人に向けて書いています。
「好きだから」「なんとなく格好いいから」だけでフリーランスに飛び込むと、ほぼ同じ場所で転びます。でも、転んだ理由と、今ならこう準備するという順番さえ分かっていれば、同じ失敗は避けられる。
当事者だからこそ書ける「何がダメで、何を準備すればよかったのか」を、順番にシェアしていきます。
- 新卒・未経験でフリーランスイラストレーターを目指している
- 準備不足で独立するとどうなるのか、先に知っておきたい
- 会社員として絵を描く道とどっちがいいのか迷っている
こんな人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
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結論:新卒フリーランスイラストレーターは、準備ゼロだと失敗する
先に結論を言います。
技術・営業・お金・知識の準備がないまま新卒でフリーランスになるのは、かなり危険です。
僕自身がそれで失敗しました。ただ、ここで言いたいのは「やめとけ」ではありません。
失敗には再現性のある原因があって、その原因は準備でほぼ潰せるということ。そして、そもそもイラストレーター=フリーランスではないという、当時の僕が気づけなかった前提です。
このあと、失敗した原因 → 実際に起きたこと → 今から始めるなら何を準備するか、の順で話していきます。
なぜ新卒でフリーランスイラストレーターになり、失敗したのか
そもそも、なぜ僕が新卒でいきなりフリーランスを選んだのか。理由は大きく3つでした。
- 絵を描くことが好きだったから
- 会社に就職している自分が想像できなかったから
- 「イラストレーター=フリーランス」だと思い込んでいたから
ひとつずつ振り返ります。共感してしまった方は、ちょっと危ないかもしれませんよ。
理由①絵を描くのが好きだった
当時僕は某マンモス大学の法学部に在籍していましたが、絵を描くことに目覚めてしまい、勉強そっちのけでした。
毎日毎晩、朝方まで絵の具を使って絵を描き続けていたのです。周りの友人からは

なんてもてはやされ、バイト先の立飲み屋では常連客の似顔絵を描いたりもしていました。
他には目もくれず、完全にのめり込んでいたわけです。徐々に「これは趣味の範疇でおさまるものじゃないな…」なんて思いはじめていました。
好きなことに全力なのは、悪いことじゃない。ただ、「好き」だけで食べていけるほど仕事は甘くなかったというのが、このあと分かります。
理由②会社員になりたくなかった
とにかく、就職している自分が想像できませんでした。
親は自営業でしたし、バイト先も飲食店が多かったので、恥ずかしながら

とガチで思っている大学生でした。やばいですね。
わからなければ調べればいいものを、それすらしなかった。まず興味がなかったんです。
今思えば、就職説明会くらいは足を運んでみるべきでした。いわゆる“就活”を一切してこなかったし、「絵を描く仕事しか自分にはない!」と思い込んでいました。
理由③「イラストレーター=フリーランス」という思い込み
バイト先でイラストレーターという職業があると聞き、舞い上がった覚えがあります。絵を描くことが仕事として認められている人がいるのかと。
そこから自分で調べはじめたのですが、この時どういうわけか
イラストレーター=会社に属さない人
という図式が、僕の中に刻み込まれてしまいました。
これは、大きな間違いです。
たぶん、就職したくなさすぎて自己暗示していた部分もあります。
確かに、世で目立っているイラストレーターは独立している人が多い。だから目につく。でも、会社やスタジオに所属して絵を描いている人も、普通にたくさんいます。
実際、僕は失敗したあと会社員イラストレーターになりました。あの頃「会社員として絵を描く道もある」と知っていれば、わざわざ最初からハードモードに突っ込まなくてよかったんです。
こうして僕は、
- 好きなことでお金が稼げる
- フリーランスって何か格好いい
という憧れと希望(だけ)を持って、新卒フリーランスイラストレーターになりました。
技術・準備・戦略・構想は、ほぼ皆無。そんな奴がフリーランスになるとどうなるか。恐いですねぇ〜。
準備不足のフリーランスに起きた3つの現実
当たり前の話なのですが、こんな問題に正面からぶつかりました。
- 仕事がない
- 仕事の取り方がわからない
- お金がない
「だいたい想像できるだろ!」と自分でも突っ込みたくなりますが、夢見る男子だった当時の僕は、秘めた才能を開花させることに必死で、重要な問題から目を逸らしていたのです。
現実①仕事がない
需要があるから供給がある。求められるから、はじめて仕事になる。
大学在学中は、バイト先で知り合ったミュージシャンのCDジャケット(インディーズ)を描いたりしていたので、なんやかんや仕事は降って湧くものだと思っていました。
あるわけないだろッ……!そんな…都合の良い仕事ッ……!
無名で、実績も発信もない人間に、向こうから仕事が来ることはありません。ここが準備不足フリーランスの最初の壁です。
現実②仕事の取り方がわからない
そこで辿り着いた受注方法が「mixiの案件募集に応募する」でした。
今の若い方はmixiを知らないかもしれませんが、FacebookやTwitterのようなSNSの先駆けみたいな存在です。そのmixiの「イラスト関係の仕事募集コミュニティ」に出る案件に、ひたすら応募していました。
一応ちまちま受注はできたものの、正直お小遣い稼ぎにも満たない稼ぎ。
それでも、絵を描いてお金をもらえた感動はハンパじゃなく、初めてファッション誌に自分の絵が載った時は数冊買って周りに配り歩きました。(おかげで赤字です)
今ふり返ると、失敗の核心はここです。営業の入り口がmixi一本しかなかった。ひとつのチャネルに全部ぶら下がっていたので、そこがダメなら即、仕事ゼロだったわけです。
現実③お金がない
そんな状態なので、お金が全然ない。
当時加入していたMr.Childrenのファンクラブ会費(年間3,000円)が払えず、泣く泣く解約したほどです。好きなアーティストのファンクラブを、たった3,000円で手放す。これが準備ゼロで独立するということの現実でした。
仕方なくアルバイトを始めるのですが、本業はイラストレーターだと思っていたので、できるだけ時給が高く、少ない出勤で生活費を稼げるテレアポ営業をチョイス。
ところが最初は週2だったのが、週3になり、繁忙期は週4に…。

生活費を稼ぐための副業に、本業の時間を全部食われる。手段だったバイトが目的になり、本末転倒していくのを止められませんでした。これも、生活防衛資金がゼロだったせいです。
転機は就活だった
さすがにこのままじゃヤバい、と感じました。当時はストレスで肌もボロボロです。
そんな時、ふと閃いたのです。

「やっとかよ」と思われるかもしれませんが、僕としては青天の霹靂でした。調べてみると、普通に求人がある。
いくつも落とされましたが、1社だけアルバイトとして拾ってもらえて、無事に安定収入のあるイラストレーターになれました(のちに正社員化)。
遠回りに見えて、ここが僕のキャリアの本当のスタートです。会社で技術と実績を積んでから独立するという、当たり前の順番にようやく乗れたんです。
今、新卒・未経験からフリーランスで始めるなら準備すべき5つのこと
ここからが本題です。
僕が失敗したのは十数年前。SNSもクラウドソーシングも、今ほど整っていませんでした。当時なかった武器が、今はそろっています。だからこそ、同じ失敗をする必要はありません。
当時の僕に足りなかったものを、今から始める人向けの「準備リスト」に作り替えました。

準備①SNSとポートフォリオで「見つけてもらう」土台を作る
当時いちばん足りなかったのが、これです。
無名のまま待っていても仕事は来ません。でも今は、XやInstagram、pixivで作品を出し続ければ、向こうから見つけてもらえる時代です。
独立する前から、会社員・学生のうちにSNSとポートフォリオを育てておく。これだけで、独立初日のスタート地点がまったく変わります。作品が検索・回遊される導線(ポートフォリオサイトやまとめ)も一つ持っておくと強いです。
準備②営業の経路を複数持つ(mixi一本にしない)
僕の最大の失敗は、受注の入り口がmixiしかなかったことです。
ひとつの経路に全部ぶら下げると、そこが枯れた瞬間に収入ゼロになります。これはフリーランス全般に言える鉄則です。
今なら、営業の経路はこれだけ選べます。
- SNSからの直接依頼
- ポートフォリオサイト経由の問い合わせ
- クラウドソーシング(実績づくり・最初の一歩に)
- フリーランス向けエージェント(在宅・業務委託案件)
- 知人・前職からの紹介
全部を一気にやる必要はありません。ただ、最低でも2〜3本は入り口を持っておく。これだけで「仕事がない」リスクはかなり下がります。
準備③収入源を複数に分ける
イラスト一本だけで参入するのは、正直こわいです。自分より上手くて有名な人なんて、わんさかいますからね。
だから「イラスト+何か」で勝負したい。単価的にもその方が戦えます。たとえば僕の場合は、映像やアニメーション制作も請け負えるので、それが武器になりました。
イラストに加えて、
- 関連スキル(映像・アニメ・デザイン・漫画など)
- ストックイラスト・素材販売のような積み上げ型収益
- ブログ・情報発信からの収益
このあたりを少しずつ育てておくと、受注が途切れた月の精神的な支えになります。収入の柱は、多いほど転びにくい。
準備④半年分の生活防衛資金を貯めてから独立する
お金の準備は、いちばん地味で、いちばん効きます。
いろいろ調べた結論として、最低でも半年間、無収入でも耐えられる生活費は用意しておきたいところ。独立直後は仕事が安定しないので、この「待てる時間」がそのまま精神的な余裕になります。
僕が失敗したのは、まさにここがゼロだったから。資金がないと、目先の生活費のためにテレアポ週4みたいな本末転倒が起きて、本業が死にます。
金額は人によって違いますが、毎月の生活費 × 6か月を一つの目安にしてください。「これだけあれば半年は食べていける」という数字が、無茶な妥協を防いでくれます。
準備⑤税金・保険・開業の基礎を先に押さえる
フリーランスになると、会社の後ろ盾はなくなります。
- 開業届の提出(原則、事業開始から1か月以内)
- 青色申告の申請と確定申告の流れ
- 国民健康保険・国民年金への切り替え
- 経費として何が落とせるかの基礎
このあたりは、知らないと普通に損をします。難しそうに見えますが、入門書を1冊読んでおくだけでも全然違う。会計ソフトを使えば、確定申告のハードルもかなり下がります。
若い頃の失敗から、僕は「計画と準備がどれだけ大事か」を骨身にしみて学びました。この5つは、当時の自分に手渡してやりたい最低限のリストです。
会社員として絵を描く道も、正直アリ
ここまで「準備すれば独立できる」という話をしてきましたが、最後に正直なことを書きます。
いきなりフリーランスを目指す必要は、まったくありません。
当時の僕が勘違いしていたように、イラストレーター=フリーランスではない。制作会社・ゲーム会社・広告系の企業などで、会社員として絵を描いている人はたくさんいます。
会社員イラストレーターには、こんなメリットがあります。
- 毎月の収入が安定する(生活防衛の心配がいらない)
- 先輩やチームから技術・進行管理を学べる
- 実績とポートフォリオが自然にたまる
- 社会保険・税金まわりを会社がやってくれる
僕自身、会社員として技術と実績を積んだからこそ、その後の独立につなげられました。会社で力をためて、準備が整ってから独立する。これが遠回りに見えて、いちばん堅実なルートだと思っています。
「今すぐフリーランス」か「ずっと会社員」かの二択じゃない。会社員 → 副業で実績づくり → 準備が整ったら独立という段階を踏んでいい。むしろ、その方が成功確率はずっと高いです。
よくある質問(新卒フリーランスイラストレーターのQ&A)
Q1. いくら貯めてから独立すればいい?
目安は毎月の生活費 × 6か月分です。独立直後は収入が不安定なので、半年間は無収入でも耐えられる額を用意しておくと安心です。お金の余裕が、焦って安い仕事を受ける事故を防いでくれます。
Q2. 新卒でいきなりフリーランスはアリ?
おすすめはしません。実務経験・実績・営業の経路がない状態だと、僕のように「仕事がない・取り方がわからない・お金がない」の三重苦になりやすいです。まずは会社員や副業で実績を作ってからの独立が、現実的で失敗も少ないです。どうしても新卒から挑むなら、この記事の準備5つを必ず埋めてください。
Q3. 仕事(案件)はどうやって取る?
入り口を複数持つのが基本です。SNSからの直接依頼、ポートフォリオサイト経由、クラウドソーシング、エージェント、紹介。最初はクラウドソーシングで実績を作りつつ、SNS発信で見つけてもらう流れが作りやすいです。「一本に頼らない」が最大のリスク対策です。
Q4. 会社員とフリーランスの兼業(副業)はできる?
できます。むしろ、いきなり独立するより安全です。会社員で安定収入を確保しながら、副業でイラストの実績・取引先・貯金を積む。副業で「独立しても食べていけそう」という手応えが出てから、独立に踏み切るのが堅実です。※勤務先の副業規定は事前に確認してください。
Q5. フリーランスで失敗したらどうなる?
僕の場合は、就職して会社員イラストレーターになりました。失敗=終わりではありません。絵のスキルや制作経験は、会社員としても十分に活きます。むしろ一度つまずいた経験が、次の準備の精度を上げてくれる。やり直しは普通にききます。
まとめ
新卒フリーランスイラストレーターで大失敗した僕の経験を、もう一度まとめます。
- 失敗の原因は、技術・営業・お金・知識の準備ゼロだったこと
- 営業がmixi一本で、入り口が枯れたら即アウトだった
- 生活防衛資金がなく、副業に本業を食われた
- 「イラストレーター=フリーランス」という思い込みで、会社員の選択肢を見ていなかった
歳を重ねると、不安が増えてなかなか踏ん切りがつかなくなります。だからこそ、行動するために「不安を消す・リスクを抑える」準備が要るんです。
新卒当時のハチャメチャな行動力は尊い。でも、そこに準備という土台が乗れば、失敗の多くは避けられます。同じ入り方をしようとしている人の、転ばぬ先の杖になればうれしいです。
最後に、独立前に読んでおくと視界がひらける2冊を紹介します。どちらも僕が「当時読んでおきたかった」と思う本です。















